ランニング
1日100kmという気の遠くなる距離を100日間走り続けたウルトラランナー!
パトリック・マランダインという男は昔からウルトラランナーだったわけではない。もちろん、昔から体力は十分にあり、ランニングの大会にいくつか出場した経験もあったが、ある日、1日20kmのランニングを毎日続けてみようと思い立ったのがウルトラランニングにはまるきっかけとなった。そして来る日も来る日も20kmを走るうちに、ランニングが人生で最も大きな部分を占めるようになっていった。
こうして、オーストラリア大陸の東西横断と北米大陸の西東横断を達成した彼は、次に母国フランスで1日100kmの距離を走ることを100日間連続で続けてみようと決心し、見事に達成。今回は記録達成直後の彼にインタビューを試みた。
100日で10,000kmという距離を走破しようと思った動機は? なぜこのようなチャレンジに挑もうと思われたのでしょう?
10,000kmを目標としたのは、単純にこれがきりの良い数字だからさ。僕はこのチャレンジのアイディアをしばらく温め続けてきたんだ。僕がオーストラリア大陸横断に挑んだ際、目標とする記録を突破するためには1日91kmを走破する必要があった。それならば、1日100kmを走ることだって十分可能だって気付いたんだ。ちょっとした偶然の産物だよね。チャレンジを始めた当初は予想以上にきつかったけど、ある時点を過ぎると身体も馴れてきて、快適に走れるようになったんだ。途中からは、このチャレンジは達成できると信じて疑わなかった。
このチャレンジにおけるそもそもの動機をたどってみると、「走ることによって生の実感を得たい」という思いに尽きるんじゃないかな。僕はチャレンジすることが好きで、自分のためにやっているんだ。壁や障害物に直面して、それを乗り越えるのが好きなのさ。こうした大きな目標を成し遂げることで、自分が存在しているという感覚が得られるんだ。
このようなチャレンジで難しいのはフィジカル面とメンタル面のどちらでしょうか?
メンタル面のほうがより難しいかもしれないね。うまくいかない日は確かに何日かあったけど、それでも止めてしまおうとは思わなかった。疑いが生じる時や、やる気を削がれる時があったとしても、僕は決して止めることはできなかった。僕の背中を押してくれたのは、家族や息子、そしてこのプロジェクトを支えてくれる人々への思いだ。奇妙に聞こえるかもしれないけど、オンライン上で僕のGPS位置情報を見ていてくれる人々の思いも確かな力になったんだよ。彼らが自宅のスクリーンに浮かぶ青い点を見ていてくれると思うと、僕の足が勝手に前に進むんだ。これは個人的なチャレンジだけど、これを実現するためには沢山の人々やパートナーの支援が必要だった。僕を最初から信じてくれる人々をがっかりさせたくないという思いでいっぱいだったね。
ランニングが最も難しかった場所は?
ノルマンディーとブルターニュかな。ひどい悪天候に見舞われたので、走ることがかなり難しかった。そのコンディションに身体が慣れるまでは予想以上に多くの時間を要したけれど、僕に出来るのはとにかく忍耐強く、時間をかけて対処することしかなかった。
チャレンジを続けるモチベーションは?
夢を持つ人は多いけど、それを本当に実現できる人はごくわずかだ。多くの人々はトライすること自体を怖がり、そのことによって自分自身が変わってしまうことを恐れているのかもしれないね。そういう人たちが僕のチャレンジを見て、自分自身を投影して、感動をシェアしてくれればと思っている。
僕は人生を通じてインスピレーションを与えてくれる人たちに出会ってきた。その出会いが自分のプロジェクトをやろうという気持ちにさせてくれたんだ。今度は、僕が他の誰かにインスピレーションを与えて、自分の夢やゴールを実現してもらえたらと思う。それがモチベーションだね。
数字で見るパトリックのチャレンジ
・履きつぶしたシューズ:18足
・1日の消費カロリー:6,500–7,000kcal
・1日の平均ピットストップ数(歩きながらも含む):30回
・1年で減った体重:24ポンド(約10.8kg)
・1日の平均ランニング時間:14時間
・100日間の総走行距離はフルマラソン237回分に相当
・100km走破の最長時間:16時間
・100km走破の最短時間:12時間5分