RB OMIYA ARDIJA Sekiguchi Kaishin
© Eibun Miyake
サッカー

【RB 大宮アルディージャ】関口凱心、笑顔に秘めた「勝ち続ける」という強い意思

2025年のJ2リーグで自身最多の28試合に出場し、終盤戦では右サイドバックとして活躍。公式戦で2戦連続ゴールを決めるなど、攻守の要として活躍中の関口凱心(せきぐち・かいしん)。アンダー世代では無名な選手だった彼は、いかにして覚醒したのか?
Written by Written by Wataru Funaki/Hair & Make by Mayo Nakada
読み終わるまで:9分Published on
《This is OMIYA》をテーマにRB 大宮アルディージャというチームや選手たちの内側にスポットライトを当て、その魅力をお届けする新企画が始動。
まずは、アカデミーや埼玉にルーツを持つ若手選手らを主人公に、素顔はもちろん、チームへの愛着や育成環境に対する思い、彼らを形成するOMIYAイズムに迫る。
記念すべき第1回目は《関口凱心》
関口凱心 2001年9月24日年生まれ、埼玉県出身。身長: 180cm|体重: 73kg|利き足: 右|足のサイズ: 27.5|血液型: AB

関口凱心 2001年9月24日年生まれ、埼玉県出身。身長: 180cm|体重: 73kg|利き足: 右|足のサイズ: 27.5|血液型: AB

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01

無名選手からの逆転ストーリー

日本サッカーの選手育成システムは世界的に見ても特殊だ。プロクラブのアカデミーと並行して「部活」という仕組みが整備されており、見落とされがちなタレントをプロの舞台へと引き上げられることが日本サッカー界の一つの強みになっている。
RB 大宮アルディージャで中心選手の1人として活躍する関口凱心は、日本独自の育成環境がなければプロサッカー選手になれていなかったかもしれない。
学生時代は全国的に無名な選手だった。小学3年生で本格的にサッカーを始め、セレクションを経て中学入学と同時に大宮U15に入団。しかし、なかなか定位置をつかめずU18への昇格は果たせなかった。その後に進学した西武台高校でも、山梨学院大学でも、全国レベルの実績はほとんどない。
それでもJリーグの舞台にたどり着くことができた背景には、高校時代の“急成長”があった。
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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「僕は成長期が遅かったので、高校に入ってから身長がグンと伸びました」
身体の変化とともにプレースタイルも変わっていった。中学時代はサイドハーフでのプレーが中心だったが、高校では左サイドバックやボランチ、トップ下、さらにはセンターバックやFWも経験。「中学時代はそれほど足が速いタイプではなかった」というが、体格が大きくなるにつれてスピードが武器の1つになっていき、身体能力の高さが持ち味と評価されるようにもなった。
02

アカデミーでの経験と高校での悔しさを糧に

あらゆるポジションに適応し、フィジカルの強さとテクニックを両立させたプレースタイルになれたのは、大宮U15時代に受けた指導のおかげだ。関口は「止める・蹴るの基礎は大宮時代にすごく大事だと言われていたものなんです」と明かす。
RB 大宮アルディージャ

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「大宮はどの世代でも『止める・蹴る』というサッカーの基礎を重視していて、それに長けていたチームでした。自分がU15に在籍していた時も元プロ選手の指導者に技術や駆け引きといった様々なことを教えていただいて、その経験があるから今があるのかなと思います。大宮を出ても教わったことを大事にしつつ、自分の良さであるダイナミックさやスピードを生かしたプレーをどれだけ活かせるかを意識しています」
関口は今、「プロになって初めてやった」右サイドバックとして定位置をつかみつつある。ただ、純粋なサイドバックと言えるようなスタイルではない。左足でボールを持ち、右サイドからドリブルでカットインして左足でシュートを放つことも。公式戦で豪快な左足ミドルシュートを決めたことだってある。本人は右利きであることを主張するが、「どちらの足も使えた方が武器になると思っていた」と、磨き続けてきた「止める・蹴る」の正確さをJリーグでも遺憾なく発揮している。
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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プロサッカー選手になることを本格的に意識するようになったのは、高校3年生の頃だった。「大宮U15にいた時もプロになりたいという想いはずっと持っていたんですけど、このままではなれないとも思っていました」という関口は、「ひたすら努力し続けていた」高校時代に「上」を目指す覚悟を決めた。
「夏のインターハイには出られたんですけど、最後の選手権予選は決勝で負けてしまって全国大会に出られなかった。やっぱり上には上がいるなっていうのをすごく痛感させられましたし、その高校3年生の時の経験があったからこそ、大学でもっと上を目指すというのを特に意識し始めました」
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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03

諦めず努力し続ければ道は開ける

「自分が一番成長できるところ」と感じた山梨学院大学でも地道に努力を重ねていると、4年生になるタイミングでプロクラブから声がかかった。オファーをくれたのは古巣でもある大宮だった。
「まずプロになりたいというのがあったので、大宮に戻ってくることだけを考えるのではなく、自分のことを評価してくれるクラブに行きたいと考えていました。そんな中で最初に声をかけてくれたクラブが大宮だったので、すごく嬉しかったですね」
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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大宮のトップチームにはU18から直接昇格した選手だけでなく、高校サッカーや大学サッカーを経て戻ってきたアカデミー出身者が数多く在籍している。クラブとしてもアカデミー育ちの選手を大切にし、アカデミーを離れた後も動向を追い続けているのである。
「U18に昇格できなかったことは大きな挫折であったと同時に、自分の力のなさを感じて納得していた部分もありました。今振り返ると『見ていろよ』という反骨心もあったと思います。なので、アカデミーを離れた後もずっと見ていてくれたことはすごく嬉しかったです。
スカウトの方々は大学の試合を頻繁に見にきてくれて、自分の成長のためにさまざまな角度からアプローチしてくれていましたし、大宮からオファーをもらった時は即決でした。また大宮のエンブレムを着けて戦えることは光栄で、何よりの喜びです」
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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関口は「育成がいいと聞いていたから」という理由で大宮U15のセレクションを受験したが、地元は東浦和で、子どもの頃に馴染み深かったのは浦和レッズだった。それでも大宮に強い魅力を感じ、帰ってきたいと心から思えたのはなぜなのだろうか。
04

溢れ出るクラブ愛と変革への期待感

「このクラブには人と人のつながりをすごく強く感じるんです」
そう語る関口は、さらに続ける。
「ホームスタジアムは観客とピッチの距離が近く、支えてくれるファン・サポーターの皆さんの温かさを直に感じられます。地元のクラブというのもあって、いいことがたくさんあるというか、むしろ悪いところがあまり見つからない。だからこそ、自分はまた大宮のためにプレーしていろいろなものを還元したい、恩返ししたいという気持ちでした。アカデミー出身の選手はみんなそう思っているはずです」
RB 大宮アルディージャ

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ただ、奇しくも関口のプロキャリアは大宮が大きく変わろうとしているタイミングとほぼ時を同じくして始まった。ルーキーシーズンの途中でレッドブルによる買収が決まり、2年目からは「RB大宮アルディージャ」と名前が変わることに。大事にしてきたクラブのカルチャーや伝統が失われかねない大変革である。それでも「悲観的になることはなかった」と関口は言う。
「クラブが強くなる、J1に昇格するのが目標でしたし、自分もゆくゆくは海外でサッカーしたい考えもあったので、レッドブルが入ってくることに対して自分自身としてはすごくワクワクしていました。
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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ユルゲン・クロップさん(レッドブル グローバルサッカー部門責任者)やマリオ・ゴメスさん(レッドブル・サッカーTD)と実際にお会いした時も、以前はテレビの中で見ていた世界に自分も近づいているんだと感じて本当に興奮しましたね」
レッドブルの参画によって、当然ながらクラブには様々な変化があった。指向するサッカーのスタイルのみならず、トレーニングメソッドやクラブハウスで提供される食事も以前とは違うという。また、アカデミーでもポテンシャルを高く評価される選手がレッドブル・グループ内の他クラブに練習参加できるようになるなど、個々の成長を加速させるための取り組みが進んでいる。
RB 大宮アルディージャ

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そんな変化を「本気で選手をパワーアップさせたいというのが見えるので、すごく楽しい」と、関口は前向きに受け止めている。自らが育ったアカデミーでかつてなく世界へ飛び出すチャンスが広がっていることも「早くから海外に飛び込んでプレーできることはなかなかないし、羨ましいなと思う」一方で、「僕も頑張らないとなと思う」とポジティブなエネルギーに変換していくつもりだ。
「すでにトップチーム昇格が内定している神田(泰斗)選手や酒井(舜哉)選手も、僕が高校生の時には考えられなかった立ち位置にいるので、彼らの将来もすごく楽しみですけど、自分も負けていられないなという気持ちが強いです」
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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2025シーズンの大宮はJ1昇格プレーオフ準決勝で敗退してJ1昇格を逃したが、関口にとっては飛躍の1年になった。J2リーグ戦で自身最多の28試合に出場し、終盤戦は右サイドバックのレギュラーとして定位置を確保。チームの中心選手の1人となりつつある今、アカデミー育ちの背番号37は愛するクラブと共に歩む未来をどう見据えるのか。
RB 大宮アルディージャ

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「今できることをコツコツとやるだけなのかなと思います。アカデミーからもどんどんいい選手が昇格してきますし、下からの突き上げに負けることなく、競争に勝っていかなければ生き残っていけない。僕たち選手はそうやってひたすらポジション争いをして、試合に出て、勝ち続ける。そうすれば、僕が言うのもあれですけど、レッドブル・グループ全体の成長にもつながるのかなと」
レッドブルがもたらす革新を受け入れながら、大宮が長い歴史の中で育んできたカルチャーや地元とのつながりも大事にし続け、全てを掛け合わせて強くなっていく。
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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「サッカーはピッチの上で戦う競技なので、根本的なサッカーの本質の部分、球際やチームのために走ること、戦う気持ちの強さというのは変わらず必要になります。それは大宮がクラブとしてこれまでもこだわってきたところです。やっぱりボールの扱いが上手い選手だけが揃っていても勝ち続けるのは難しいですから。
そのうえで大宮はホームタウンや人とのつながりを大事にしているクラブだと思うので、そういうところも変わらず大切にしたいです。ファン・サポーターの皆さんには勝っているところをお見せしたいですし、そのために僕たちは一生懸命に戦って、走り続けます」
RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

RB 大宮アルディージャ 関口 凱心

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関口はインタビューの最後に「大宮に対しての愛着はレッドブル・グループの一員になっても一切変わらないですし、これからもクラブの発展に選手として貢献し続けたい」と力強く言い切った。
溢れんばかりのクラブ愛を胸に宿す関口は、大宮と共に世界へ羽ばたいていくためにこれからも自らの持てる力の全てをピッチの上に注いでいく。
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