日本人初の『スマブラDX』プロプレイヤー・aMSa【レッドブル・アスリートの軌跡と情熱 Vol.1】
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日本人初の『スマブラDX』プロプレイヤー aMSa【レッドブル・アスリートの軌跡と情熱 Vol.1】

レッドブル・アスリート(eスポーツ部門)たちの軌跡と、その情熱の在りかに迫る連載インタビュー企画。第1弾は日本初のプロスマブラー、aMSa!
Written by 山本雄太郎
読み終わるまで:11分Published on

■連載インタビュー 【レッドブル・アスリートの軌跡と情熱 Vol.1<aMSa編>】

任天堂の誇るゲームキャラクターたちが一堂に会し、対戦アクションをくり広げる本作は爆発的なヒットを記録。2018年には最新作の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下、スマブラSP)』リリースし、いまなお続く大人気シリーズとなっている。

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その第2作目『大乱闘スマッシュブラザーズDX(以下、スマブラDX)』の競技シーンにて、日本人初のプロプレイヤーとして活躍を続けているのがaMSa(あむさ)だ。
『スマブラDX』のプロプレイヤー、aMSa(本名:近本昌也)。『スマブラDX』発売当初から17年以上赤いカラーの『ヨッシー』を使い続ける。

『スマブラDX』のプロプレイヤー、aMSa(本名:近本昌也)。『スマブラDX』発売当初から17年以上赤いカラーの『ヨッシー』を使い続ける。

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『スマブラDX』の発売当初から17年以上、赤いカラーの"ヨッシー"を使い続けるプロゲーマーであり、2019年2月にはeスポーツ部門のレッドブル・アスリートの契約を締結。
そんな彼のこれまでの軌跡と、彼の情熱の在りかについて、本人へのインタビューをもとに解き明かしていこう。

◆兄から依頼された"レベル上げ"で才能が開花!?

1991年10月27日、aMSaこと近本昌也(ちかもと・まさや)は兵庫県で産声を上げた。
奇しくも同年、ファミリーコンピュータ用のゲームソフト『ヨッシーのたまご』が発売されたという事実には、何か運命めいたものを感じざるを得ない。
自然豊かな郊外の土地で生まれ育ったaMSa少年は、野生児めいたやんちゃっぷりを発揮する傍ら、兄姉の影響でゲームを遊ぶようになる。
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「初めてゲームに触れたのは、おそらく幼稚園あたり。兄や姉といっしょに『スーパーマリオコレクション』や『スーパーマリオワールド』、『星のカービィ スーパーデラックス』などを遊んでは、みんなで喧嘩していました(笑)。
また、兄はRPGも好きだったのですが、キャラクターのレベル上げは弟である私に任せてくれたんです。そんなレベル上げ作業がおもしろくて。どうやったら効率よくレベルを上げられるんだろう、と熱中しすぎて兄に怒られることもよくありましたね」(aMSa)
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幼少期から任天堂の名だたるアクションゲーム群に触れていた彼は、必然的に『スマブラ64』や後継作の『スマブラDX』とも出会うことになる。
その一方で、RPGのキャラクター育成から"ゲームと向き合い成長を積み重ねること"に楽しみを見出していたaMSaは、中高生になると音楽ゲームにものめり込んでいた。
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「ゲーム内の楽曲を聞いて、すごくかっこいいなと思ったのがきっかけでしたね。家庭用の『ギターフリークス』や『ドラムマニア』にどっぷりハマって、ニコニコ動画にプレイ動画を投稿するほど熱中しました。
音楽ゲームはある意味、指標がわかりやすいんですよね。曲ごとに譜面がほぼ変わらないので、自分との戦いの中でいかにパーフェクトを出し続けるかというのが楽しかったです」(aMSa)
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『スマブラDX』におけるaMSaの、"磨き上げた操作精度を武器に、理詰めで相手を圧倒していくプレイスタイル"は、ひょっとしたらこうした音楽ゲームへの取り組みかたがルーツになっているのかもしれない。
幼少期から触れてきたゲームたちとの思い出を語るaMSa。

幼少期から触れてきたゲームたちとの思い出を語るaMSa。

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◆競技シーンへの参戦から、わずか1年半でプロデビュー

中高生時代を音楽ゲームとともに過ごしたaMSaは、東北大学への進学を契機に、仲間内でのレクリエーションのひとつとして『スマブラDX』との再会を果たす。
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「大学2年のころまでは、学部内で腕自慢と噂されている人たちが「誰が一番強いのか決めようぜ!」というノリで集まって、たまに対戦するぐらいでした。私は当時、その中でも最強プレイヤーだという自信があったのですが……。
大学3年の夏ごろだったか、突然「同じ学科にまだ強い奴がいるらしいぞ」という話が出てきまして。半信半疑で対戦してみたら、本当に強かったんです。
初めて自分が負け越すほどの相手と出会って、「世の中にはこんなに強い奴もいるんだな」と衝撃を受けましたね」(aMSa)
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その噂の実力者というのが、2019年現在もトッププレイヤーとして活躍するSanne(さんぬ)だった。
彼から『スマブラDX』の競技シーンの存在を知らされたaMSaは、次第に界隈でも頭角を現していく。
盟友・Sanneとは現在もライバル関係。「大会では毎回ギリギリの勝負。通算だと負け越しているのでは」と、aMSa。

盟友・Sanneとは現在もライバル関係。「大会では毎回ギリギリの勝負。通算だと負け越しているのでは」と、aMSa。

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「私が本格的に競技シーンに参戦し始めたときに、ちょうど東北で"北日本大会"を開こうという流れがあったんです。それを目標にしつつ、東北のプレイヤーたちとも仲良くなっていきました。
そのうち実力も上がっていって、どんどん国内大会に遠征するようになり。2013年5月に大阪で行われた"第08回スマブラDXバトルロードMelee"ではベスト4の成績を残すことができ、大きな自信になりましたね」(aMSa)
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大会デビューからわずか半年で上位入りを果たしたaMSaは、その年の夏にアメリカで開催された格闘ゲームの祭典"EVO 2013"への出場にも踏み切る。
じつはアメリカにおいても『スマブラDX』は数多くのゲーマーに親しまれており、その競技シーンは日本国内をも凌ぐ規模となっている。それだけに実力者も多く、こうした国際大会ではアメリカ勢が上位を席巻することから、「『スマブラDX』はアメリカの国技だ」と表現する者も少なくないのだ。
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「当時は"EVO"についての知識も少なく、「大きな大会の種目に『スマブラDX』が選ばれるなんて、もう2度とないかもしれない!」という思いで渡米を決断したんです。
結果、700人ほどの参加者の中からベスト32に残ることができました。現地でのフリー対戦で海外のトッププレイヤーたちとたくさんプレイできたことも、いい経験になりましたね」(aMSa)
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『スマブラDX』の本場とも呼べるアメリカの地で、それも当時は「下から数えたほうが早い」と言われた性能の"ヨッシー"を使って大会上位に現れた日本人に対し、現地プレイヤーが少なからず衝撃を受けたことは言うまでもない。
そしてaMSaはこの経験を糧に、一躍スターダムに駆け上がっていく。2014年1月にアメリカで開催された『スマブラ』シリーズの世界大会"APEX2014"にて9位入賞。
そして"EVO2014"ではアメリカ有数の強豪プレイヤーを破り、ベスト17進出を果たした。
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「"APEX2014"の最終日には、ゲーム大会の映像配信を手がけるVGBootCampさんがエキシビションマッチを企画してくれて、7~8人の海外トップ選手と連戦するという貴重な機会もいただきました。
そこでも注目を浴びたことで、2014年5月にVGBootCampさんからスポンサーシップのお声がけをいただき、「こんな経験、滅多にできるものではないぞ」ということで、契約を結んだんです」(aMSa)
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こうして、日本人初のプロスマブラーとなったaMSa。
しかし、海外大会での活躍を経てプロゲーマー活動を始めていくまでには、大きな失敗も経験したのだと彼は話す。
当時の出来事を、aMSaは努めて淡々と語ってくれた。

当時の出来事を、aMSaは努めて淡々と語ってくれた。

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「じつは、スポンサードを受ける1年前の時点では大学院への進学を考えていたのですが、"EVO 2013"ですごくいい体験をしただけに、仙台に帰ってきたら現実との落差に襲われてしまいまして……ちょうど梅雨のシーズンも重なり、非常に憂鬱な1ヵ月を過ごしましたね。
その後、入試は一応受けたものの、周囲の人間は全員受かってて私だけが落ちるという結果に。もっとも、いまとなっては「落としてくれてよかったな」とも思いますが(笑)。実際、モチベーションがないまま大学院に2年間通うくらいなら、就職したほうがいいだろうと切り替えることができたんです」(aMSa)
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その言葉通り、2014年10月にIT系企業に就職したaMSaは兼業プロゲーマーとして活動を開始する。その後、2019年2月にはeスポーツ部門のレッドブル・アスリート契約を果たしつつ、同年4月には、プロゲーマーの道1本で生活する見込みができたため、務めていたIT企業を退社し専業プロゲーマーへと至る。

◆プロゲーマーとして理想に掲げる"3本柱"とヨッシーへの愛

"兼業プロゲーマーから専業プロゲーマーへ"という、両面の経験を持つaMSa。
また、彼がVGBootCampとスポンサード契約を結んだのは2014年。ちょうど、日本国内でもプロゲーマーが次々と誕生していくようになった過渡期とも重なる。
それだけに、aMSaはプロゲーマーという存在の価値を高めていくことに対して余念がなく、語られる理想像は気高いものだった。
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「私にはプロゲーマーの理想像として掲げる、3本の柱があります。ひとつは選手としての「実力」です。自分の支えになると同時に、一般の方に納得してもらうための材料になるので、これは最優先だと思っています。
次に、人としての「価値」という部分。その選手がいることで、視聴者が集まってくれるというインフルエンサーとしての側面もそうですし、解説ができたりというスキル的な面も含めてです。
そして最後に、「収益」です。これがないと後に続く人がいなくなってしまいますし、ボランティアでやっているように見えてしまいます。自己犠牲でいいのならば、誰だってできることですから」(aMSa)
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実力・価値・収益の3本柱を高めていくことが、プロゲーマーとしてのテーマだと語るaMSa。

実力・価値・収益の3本柱を高めていくことが、プロゲーマーとしてのテーマだと語るaMSa。

© TeruhisaInoue

こうした信条を掲げるようになったきっかけとして、aMSaはプロ活動を始めて間もないころの、結果が出せずにいた日々を思い返す。
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「あの当時は、"客寄せパンダ"にしかなれていない自分が見苦しく思えてたまりませんでした。ヨッシーという珍しいキャラ使っているから注目してもらえたものの、結果を残せなければ一発屋と思われてもしかたがありませんでしたから」(aMSa)
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彼が己に課した"プロゲーマーのあるべき姿"とは、同時にヨッシーを使う者としての挟持でもあるのだろう。世間的に評価の低いキャラクターを使い続ることと、プロゲーマーとして結果を出し続けることを両立する道は険しい。
それでも、相棒が最強のキャラクターであることを信じ、理想を追い続けたaMSaの活躍によって、いまやヨッシーは"上から数えたほうが早いキャラクター"と言われるまでに評価が改められている。
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「『スマブラDX』は、対戦ゲームの中でも"1秒間あたりの操作入力数がもっとも多いゲーム"だと言われています。求められる操作精度も非常にシビアで、そのときの状況に対して最適なコマンドを、60分の1秒単位で正確に入力していく必要がある。それこそ音楽ゲーム的な側面があるんです。
ヨッシーは初心者でも扱いやすく、上級者が使っても伸びしろがあるキャラクターという位置付けです。説明書通りに使うだけでも楽しめるし、深みを出すためのテクニックも用意されている。
『スマブラDX』というゲームの中で、ヨッシーを操作するという行為にはアクションゲームの根源的な楽しさに通じるものがあると思っています。とにかくヨッシーを操作しているだけで楽しい。それが何よりのモチベーションになっています」(aMSa)
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ヨッシーのテクニックのひとつ、"卵投げ"を当てる精度のあまりの高さに"エッグ・スナイパー"の異名を持つaMSa。
そんな彼がこう語るように、『スマブラDX』でくり広げられるハイスピードかつ繊細な駆け引きの応酬は、発売から17年が経過した現在も多くのゲーマーを魅了し続けている。
緻密な操作を可能にするaMSaの指と、ネーム入りのコントローラー(レッドブルが作ったアスリートツール)。どちらも大切な"仕事道具"である。

緻密な操作を可能にするaMSaの指と、ネーム入りのコントローラー(レッドブルが作ったアスリートツール)。どちらも大切な"仕事道具"である。

© TeruhisaInoue

そしてaMSa自身、最新作『スマブラSP』の制作協力や大会解説といったステージにも活躍の場を広げつつ、『スマブラDX』を主戦場として己を磨き続ける。
2017年の11月には、元強豪プレイヤーの"カイト"に専属コーチを依頼。自身が苦手としていた、対戦相手との駆け引きや心理戦といった面で、日々インスピレーションを受けているとaMSaは話す。
こうした取り組みも実り、2019年2月にアメリカで開催された『スマブラ』シリーズの大会"Genesis 6"においては、"スマブラDX五神(5強)"の一角と言われるMang0にストレートで勝利し、見事ベスト4入りを果たした。
赤きヨッシーを駆る"エッグ・スナイパー"の進化は、まだまだ止まらない。
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