元ハイライン世界記録保持者のサラ・リクサムは、地上数10mの高さに張られた幅数cmのラインの上に立つことを子供の遊びのように見せてしまう。彼女は山や渓谷から離れている間も、スラックラインのスキルを磨く練習を週3回こなしつつ、いくつかのポイントでの実地練習を重ねている。
しかし、初心者がいきなり彼女の真似をするのは危険だ。彼女が教えてくれたヒントを参考にして、ステップバイステップで上達していこう。
1:練習を重ねる
リクサムは次のように話を始める。
「スラックラインに初挑戦する人が良く言うのは、『バランス感覚に自信がないからできません』というセリフです。ですが、スラックラインをいきなりできる人はいません。なぜなら、ラインの上でバランスを取ることに筋肉が慣れていないからです」
「わたしも仲間内では上達スピードが一番遅かったですし、バランス感覚に優れていたわけではありませんでした。ですが、ひたすら練習を続けました」
「スラックラインでは、新しいテクニックや長さ、トリックに挑むたびに必ず失敗します。ですので、早い段階から失敗から学ぶことが重要です。ラインの上で揺れたり、ラインから落ちたりすることが上達に繋がるのです」
2:様々なラインを試す
幅5cmのタイトで短いラインは素晴らしいスタートポイントだが、スラックラインのスキルを高めたいなら、このラインだけに取り組むのは良くない。リクサムも、このラインにある程度慣れたら次に進む必要があるとしている。
「ビギナーは幅5cmのタイトで短いラインから始めるようにアドバイスされるケースが多いと思いますが、このようなラインは硬いバーの上に立っているようなものなので簡単なんですよ」
慣れたあとは、複数のラインを組み合わせた練習をすることが上達のスピードアップに役立つとリクサムは続ける。
「異なる種類のラインの特徴に慣れることが上達に繋がります。種類を変えれば、新しい挑戦に対応する必要が出てきます。その分だけバランスへの対応力を広げられます」
そこで、ラインのテンションや幅、素材などを変えてみよう。リクサムは次のようにアドバイスを送る。
「このようなバラエティ豊かな練習は、異なるラインへの対応方法を学べるので、長いラインに早く慣れる助けになります。自分の動きも色々変えてみて、バランスについて包括的に理解しましょう。たとえば、移動スピードを変えて、それぞれで自分がどう感じているのかを細かくチェックしてみましょう」
3:スラックライン以外にも取り組む
スラックラインがなくても問題ない。リクサムが説明する。
「スラックライン以外にもバランス感覚を鍛える方法はいくつもあります。近所にある手すりやチェーンでも良いですし、電車やバスで手すりにつかまらないようにするのも良いですね。目をつぶって片脚立ちで歯磨きするのも効果的ですよ!」
様々なフォーマットを使った練習は自分に複数のバランス感覚を植え付ける助けになる。
「スタート / ゴール地点と中央部ではラインの感覚が異なる場合が多いので、このような練習は非常に有用です」
4:感覚に変化を加える
「バランスは感覚を通じて鍛えられます。ですので、感覚のどれかをシャットアウトすれば負荷を加えられますし、感覚が邪魔されるようなシチュエーションへの対応力を鍛えることもできます」
このように説明するリクサムは、まずはラインの上で目を閉じるか、足下を見て視線を変えるのが良いとしている。また、腕の位置を変えるだけでも、自分の体がシチュエーション毎にどのようなリアクションを取るのかを理解する助けになる。
リクサムは「たとえば、両腕を頭の上に持って行ったり、逆に下げたりしてみるのが良いでしょう」と続けている。
5:仲間と協力する
アドバイスが必要な時はどんどん他人に尋ねよう。リクサムは次のように語る。
「上達への一番の近道は、数多くの失敗を経験している仲間から学ぶことです。また、映像やチュートリアルも数多く存在するので参考にしましょう」
「フォーラムやソーシャルメディアのファンページなどをチェックして、色々なスラックライナーと交流してみるのも良いですね。また、一緒に練習するパートナーがいれば、モチベーションの維持に役立ちますし、お互いを高め合うこともできます」
6:恐怖を合理化する
リクサムをワールドクラスのスラックライナーにしている資質のひとつが、恐怖心を合理化できる能力だ。ライン上で感じる不安や孤独を彼女は合理的に処理している。
「わたしは、ギアの耐久力を理解し、ラインの安全性(ラインのどこかに問題が起きても安全が確保される状態かどうか)を確信することで恐怖を合理化しています。『恐怖を合理化するなんて無理』と思うかもしれませんが、何が起きても安全だということが理解できていれば、実はどんな恐怖も合理化できるんです」
また、リラックスも大きな助けになる。リクサムはマントラを繰り返すことで集中力を保ち、“無” の状態でラインを渡っている。
リクサムは「マインドが落ち着いていて、無になれている状態がスラックラインには理想的ですね」としている。
