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『リーグ・オブ・レジェンド』:韓国の成功を紐解く
政府からの資金援助、超高速インターネット回線、タレントの育成… 韓国が『LoL』をはじめとする多くのeスポーツタイトルで成功を収めてきた要因を深掘りする。
『リーグ・オブ・レジェンド』(以下『LoL』)のファンは過去10年以上に渡り、『LoL』および自分たちが注力すると決めたあらゆるeスポーツタイトルにおける韓国の圧倒的な強さを、畏敬と困惑が入り混じった感情とともに見守ってきた。
もちろん、例外もある。たとえば、『カウンターストライク』ではヨーロッパが圧倒的な強さを見せている。しかし、やはり『LoL』では、東アジア、特に韓国が他国に対して大きなリードを築いている。
過去15回のLeague of Legends World Championships(以下Worlds)において、韓国勢は第1回を欠場したが、これまでに通算10回優勝している。ちなみに、2013年の第3回目まで韓国のゲーマーたちは専用サーバーなしの状態ながらラグなしでソロキューをプレイしていた。
そして、韓国サーバーが設置されたあとは、LCK(『LoL』の韓国リーグ:League of Legends Champions Koreaの略)所属チームが13回中10回のWorldsを制しており、そのうち6回は、eスポーツ史上最高のプレイヤーのひとりに数えられているLee “Faker” Sang-hyeokが率いるT1(旧SKT)が手にしている。
なぜ韓国はここまで強いのだろうか? その理由はFakerだけではない。様々な要因が組み合わさることで、韓国は『LoL』強国になったのだ。
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要因①:超高速のインターネット回線
韓国よりもPCゲーミングのインフラが整っている国は存在しない。韓国は過去10年以上、世界最速のインターネット平均速度を誇っている。Roland Liの著作『Good Luck Have Fun: The Rise of eSports』でも述べられているが、韓国はこの環境に投資したことで “ゲーミング・ヘイヴン” になったのだ。
アジア通貨危機に見舞われた1997年以降、韓国政府は投資分野を化学・工業から技術・通信へ転換し、通信インフラの整備に110億ドルを回した。この結果、超高速ブロードバンドにアクセスしやすくなり、利用料金も下落したため、多くの韓国人が「安価なエンターテインメント」としてゲーミングを楽しむようになった。
ここに、歴史的に韓国は任天堂やPSなどの日本製ゲーミング機器を忌避してきた事実も加わり、国内のPCゲーミングの人気がより一層高まっていくことになった。
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要因②:豊かなPCゲーミングカルチャー
PCゲーミング人気と不況が同時に訪れると、企業からレイオフされた人たちが国内の優れた通信インフラを活用して “PCバン” と呼ばれるインターネットカフェを次々とオープンさせるようになった。
PCバンでは高性能ゲーミングPCを安価で利用できるため、現在でも非常に高い人気を誇っており、国内に約1万店舗が点在すると言われている。
今でも多くのティーンエイジャーが放課後にPCバンを訪れて、カップ麺をすすりながら夜まで友人たちとゲーミングを楽しんでいる。結果、西洋ではゲーミングは社会的孤立を生むもので、オンラインでの友情はリアルではないと考えられていた頃から、韓国ではゲーミングがごく普通の遊びとして認められていた。
PCゲーミングは韓国文化に深く根ざしており、韓国政府もeスポーツアスリートの育成に多大な資金を投入している。このような背景から、多くの韓国人が『LoL』のような複雑で難解なタイトルを若くからプレイしているのだ。
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要因③:プレイヤー層の厚さ
格闘ゲームファンなら、PCバンとは別の韓国のeスポーツ現象 “グリーンゲームランド / Green Arcade” を知っているかもしれない。かつてソウルに存在していたこのアーケードでは韓国内の『鉄拳』トッププレイヤーたちが切磋琢磨していたため、韓国における “『鉄拳』の聖地” として扱われていた。
ここでワールドクラスのプレイヤーたちが定期的に集まって対戦していたことで韓国内の『鉄拳』シーンのレベルが高まっていき、他国のプレイヤーたちを大きく引き離していったのだ。
現在の『鉄拳』シーンで最強のひとりとされているArslan Ashは、母国パキスタンで似たような環境を創出し、同国を『鉄拳』強国のひとつに押し上げることに成功している。
『LoL』に話を戻すと、近年は韓国サーバーが、『鉄拳』における “グリーンゲームランド” のような、ワールドクラスプレイヤーたちの修練場となっている。このサーバーにはワールドクラスの韓国人トッププレイヤーたちがひしめいていることから、ヨーロッパと北米のトッププレイヤーたちが韓国を定期的に訪れて強化トレーニングをしているのだ。
韓国はPCバンから数多くのトップタレントを輩出してきたが、超高速インターネット回線のおかげでPINGも非常に低い。そのため、韓国では、通常はLAN(オフライン)イベントでしか見ることができないようなハイレベルなコンボがオンラインで普通に見ることができる。つまり、韓国のソロキューではLANイベントのステージに非常に似た経験を得られるのだ。
そのような経験を毎日得ている韓国人プロプレイヤーたちは、本番で練習を再現しやすい。また、『LoL』のプレイヤー数が多いため、トッププレイヤーたちは、かつてのグリーンゲームランドでの『鉄拳』プレイヤーたちのように常に切磋琢磨して自分たちのレベルを上げていかなければならない。
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要因④:政府の協力
『LoL』における韓国の成功を呼び込んだ最後の要因は、韓国が他の多くの国よりも早くeスポーツを正式なスポーツとして認可したという事実だ。韓国では1998年の『StarCraft II』のリリースとともに、早くからeスポーツが台頭した。この非常に高難度なストラテジータイトルは国内の多くのPCゲーミングファンたちの間で大ヒットとなった。
そして、2001年を迎えるまでには、『StarCraft II』のレジェンドプロプレイヤーLim “BoxaR” Yo-Hwanが記念すべき第1回目のWorld Cyber Gamesを制し、SK Telecom T1と約18万ドルで契約を締結した。
『StarCraft II』のトーナメントシーンが大きな人気を獲得したため、韓国政府は2000年からPCゲーミングの競技シーンの承認へ向けて迅速に取り組み、文化体育観光部(韓国の文化・スポーツ・観光担当省庁)が韓国eスポーツ協会(KeSPA)を創設した。
eスポーツの振興・統率を目的として設立されたKeSPAは、eスポーツを若い世代の職業の選択肢のひとつにすることと、シーン全体をプロ化していくことに多大な労力を費やしてきた。
その一貫として、KeSPAはプロプレイヤー育成トレーニングの提供、教育機関経由の就職の選択肢としてのプロゲーマーの承認、そして地上波でのeスポーツトーナメントの放映を推進。この結果、韓国は他国が目標とするeスポーツ大国となった。
韓国を手本にしようとしている他国の例を挙げると、米国では2026年に非営利団体USA Esportsが創設された。同団体は米国のeスポーツ統括組織となることを目指しているため、韓国の成功から学ぶためにKeSPAとパートナーシップを締結している。
また、ロンドン市長サディク・カーンは、ロンドンをeスポーツトーナメントの中心地にし、英国のeスポーツタレントに適した教育環境と選択肢を提供できるようになりたいと発言している。
とはいえ、北米は面積が広く、ヨーロッパは多言語のため、どちらの成長戦略にも韓国の一本化された成長戦略と比較するとかなり多くの課題が待ち受けている。韓国内のプレイヤーたちが切磋琢磨を続けて、実力差をさらに広げようとしている現状を踏まえると、その難度はより一層高まる。
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