かつては裏庭での暇つぶしとして扱われていた3人対3人のバスケットボールは、国際バスケットボール連盟(FIBA)が制定した公式ルールを備えたプロフェッショナルスポーツ “3x3” へ成長している。世界中で人気が高まり続けているこのスポーツの歴史、世界各国のリーグ、トーナメント、注目選手などを紹介していこう。
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3x3の歴史
3人対3人(3x3)のバスケットボールは北米を中心に楽しまれていたストリートボールから発展した。1980年代、バスケット1個とハーフコートだけが置かれていた都市部の下町エリアで人気を獲得したこのスポーツは審判が不要で、チームはその場で編成されることが多かった。
このスポーツが人気を獲得していくと、FIBAが2007年に中国・マカオで開催されたアジアインドアゲームズの公開競技として3人制バスケットボールを用意することを決定。これをきっかけに世界的な人気を獲得したことから、FIBAは2010年にシンガポールで開催されたユースオリンピックで正式競技に昇格させた。
さらに、FIBAは2012年から3x3世界選手権と3x3ワールドツアーを主催し、2017年には米国でラッパーのアイスキューブが3x3のプロリーグBig3を立ち上げた。そして同年、国際オリンピック委員会が3x3を東京で正式種目に採用することを発表。男子はラトビア、女子は米国が初代王者に輝いた。
2021年からは、世界最強のストリートボーラーたちを集め、独自のルールを用意した【Red Bull Half Court】も世界20カ国以上で開催されている。
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フォーマット
クラシックなスポーツとして知られるバスケットボールから派生した3x3では3人編成のチーム2組が対戦する。使用されるのはハーフコートで、バスケットも1個だけだ。得点方法も通常のバスケットボールとは異なる。3x3では通常の3ポイントラインが2ポイントラインとなり、このラインの外側からの得点は2ポイント、内側からの得点は1ポイントとなる。
3x3の試合時間は10分間またはどちらかのチームが21ポイント獲得するまでとなっている。また、ショットクロックは通常のバスケットボールの半分に相当する12秒に設定されており、攻撃側はこの時間内にシュートを放たなければならない。
通常のバスケットボールとのもうひとつの大きな違いは、シュートが決まったあともクロックが止まらないところだ。3x3ではシュートが決まったらすぐに攻守が交代して試合が続行する。そのため、3x3は選手たちから “10分ダッシュ” と喩えられるときもある。
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主なルール
試合開始:3x3はコイントスから試合が始まる。コイントスで勝利したチームは「試合開始時にボールを持つ(先攻)」または「延長戦開始時にボールを持つ(後攻)」のいずれかを選択する。
試合時間と延長:3x3の1試合は10分間だが、それよりも前にいずれかのチームが21ポイントを先取した場合は、その時点で試合終了となる。尚、10分経過時点でポイントが並んでいれば延長戦に突入する。延長戦では2ポイントを先取したチームが勝者となる。
チェックボール:(ボールが外に出る、ファウル、フリースロー終了後などで)試合が止まるたびにコート中央の2ポイントライン付近で守備側の選手から攻撃側の選手にボールが渡される。この “チェック” のあと試合が再開する。攻撃側の選手がボールを手にした瞬間から試合時間とショットクロックが動き出す。
シュート成功後の試合再開:シュートが決まったあとは攻守が交代するが、通常のバスケットボールとは異なり、スローインやチェックなしでそのまま攻守交代となる。ただし、ルールが2つある。まず、シュートを決められたチームがボールをドリブルかパスで2ポイントラインの外側へ一度運ばなければならない。次に、シュートを決めて守備に回るチームはゴール下のノーチャージエリアにいる攻撃側の選手の邪魔をしてはならず、ボールがドリブルかパスで2ポイントラインの外側に出るまでエリアの外側にいなければならない。
攻撃側のリバウンド後の試合続行:攻撃側のチームがオフェンシブリバウンドを取った場合は、2ポイントラインの外側にボールを持ち出さずにそのままシュートを放てる。
守備側のリバウンド・ブロック・スティール後の試合続行:守備側のチームがリバウンドやブロック、スティールでボールを奪った場合は、ボールを2ポイントラインの外側に一度出さなければ攻撃を始められない。
ジャンプボール・シチュエーション:ジャンプボールの状況になった場合は、守備側に攻撃権が移る。
ファウル&フリースロー:守備側選手が2ポイントラインの内側でシュート中の攻撃側選手にファウルした場合、攻撃側選手はフリースロー1本を獲得する。2ポイントラインの外側でファウルした場合はフリースロー2本となる。ファウルがシュート中ではなかった場合は攻撃権が切り替わるのみ。1試合で1チームが6個以上のファウルを記録した場合、7個目以降のファウル1回につき対戦相手がフリースロー2本を獲得する。10個目以降はファウル1回につき対戦相手がフリースロー2本と攻撃権を獲得する。3x3ではパーソナルファウルはカウントされない。
選手交代:3x3では任意で選手を交代できるが、試合が止まっていなければ交代できない。また、交代する選手同士がタッチする必要がある。交代はバスケットの対面のライン上で行われる。
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主なイベント
FIBA 3x3ワールドカップ:代表チームにとって最も重要な国際大会と言えるだろう。2012年に初開催されたこのトーナメントは男女に分かれている。最多優勝回数を誇る国は男子がセルビア(5回)、女子が米国(2回)となっている。
FIBZ 3x3ワールドツアー:毎年5月から12月にかけて世界各都市のクラブチームがツアー形式で日本やフランスを含む世界各国を巡りながら頂点を争う。
FIBX 3x3 ウィメンズ・シリーズ:ワールドツアーと似ており5月から9月にかけて開催される。世界各国の最強女子チームがトーナメント形式で頂点を争う。
【Red Bull Half Court】:2021年にスタートした世界で最もグローバルなストリートボールトーナメント。ワールドクラスの3x3選手たちを集めて世界20カ国以上で開催されている。
【Red Bull Half Court 2023】スケジュール
- 2023年4月1日-5月27日【Red bull Half Court】ケニア予選
- 2023年4月7日-9月17日【Red bull Half Court】米国予選
- 2023年4月29日-5月27日【Red bull Half Court】ベルギー予選
- 2023年5月19日-6月17日【Red bull Half Court】スウェーデン予選
- 2023年8月27日【Red bull Half Court】アゼルバイジャン予選
これらの他に、パース(オーストラリア)、クウェート、メルボルン(オーストラリア)、ドミニカ共和国で開催済み。
エジプトで開催された【Red Bull Half Court World Final 2022】のハイライトをチェック!
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注目選手
- ドゥシャン・ドモビッチブルト:この37歳のセルビア代表選手はストリートボールのレジェンドであり、史上最強選手のひとりに数えられている。スキルと知性、スタミナの3拍子が揃っているドモビッチブルトには欠点がない。
- レティシア・ガポ:身体能力に優れており、得点能力も高く、守備にも強いフランス代表のガポは女子最強選手のひとりに数えられている。
- ストラヒニャ・ストヤチッチ:FIBAランキング上位に定期的に入っているこのセルビア代表選手は世界とヨーロッパの頂点に立った経験があり、ワールドツアーでも活躍している。
- ミシェル・プルーフ:2022年のウィメンズ・シリーズでカナダを頂点に導いたプルーフは得点とアシストでチームを牽引している。
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