アルペンスキー
アルペンスキーレース:全競技種目解説
回転・滑降・スーパー大回転… アルペンスキーの競技種目についてなんとなく聞いたことはあるけれど、それぞれの違いを理解できていない人のために全種目を簡単に解説!
アルペンスキーヤーたちは両足にスキーを履いて、複数のゲートが設置されている急峻なコースに挑んでいる。しかし実は、アルペンスキー全競技種目の共通点はこれくらいしかない。
ワールドカップ、世界選手権、冬季オリンピックのアルペンスキーは現在6種目が設定されており、テクニック系とスピード系に大別できる。前者には回転(スラローム)と大回転(ジャイアント・スラローム)が含まれ、後者には滑降(ダウンヒル)とスーパー大回転(スーパー・ジャイアント・スラローム)が含まれる。他にはパラレルと複合(コンバインド)が存在する。
アルペンスキーのコースには、倒せるようになっているポールが設置されている回転を除くすべての種目に赤と青のゲートが設置されている。ゲートは2本のポールの間に布が張られたもので、競技者は特定の順番でこれらのゲートの正しい側を通過していく必要がある。通過する順番・側を間違えると失格となる。
以下にアルペンスキーの全種目を簡単に解説していこう。
01
回転
回転(スラローム)で重要になるのはテクニックだ。アルペンスキーで最も低速の種目だが、これには理由がある。他のどの種目よりもポール(ゲート)が狭い間隔で設置されているからだ。競技者は高速かつリズミカルにスキーの方向を変える必要があるため、スピードに乗って滑れない。
しかし、観戦しがいのあるエキサイティングな種目であることに変わりはない。オーストリア・シュラトミングで毎年開催されているナイトレースはコンマ数秒差が勝敗を分けるため、特に面白い。
《回転の特徴》
- 競技者は狭い間隔で設置されているポールを手またはすねで倒しながら走行して、最短タイムを狙う。
- 競技者の怪我を防ぐためポールは柔らかくしなるようになっている。
- 競技者は2本走行する。2本目は異なるコースが使用される。
- 1本目の上位30名が2本目に進出できる。2本目は逆順スタート(順位の逆:1本目が遅いタイムの競技者から)。
- 2本合計タイムが最も短い競技者が勝者となる。
- ポールの間隔は6m以上、13m以内と規定されている。
- コース標高差は男子が180m〜220m、女子が140m〜200mで設定される。
- 斜度は33%〜45%。
- 有名レース:シュラトミング(オーストリア) / キッツビュール(オーストリア)
02
大回転
大回転(ジャイアント・スラローム)では、競技者は回転よりも高いスピードで走行する。なぜなら、回転よりもポール(ゲート)数が少なく間隔が広く取られているため、競技者のターン数が減るからだ。
いずれにせよ、この競技ではパーフェクトなライン取りと精確なコーナーリングが非常に重要になる。スキーのエッジを最大限活用して美しくパーフェクトにコーナーリングすることが、上位進出の絶対条件になる。
《大回転の特徴》
- 競技者は回転よりもポールから離れた位置を走行する。手ではなく肩で倒すことが理想とされる。
- ポールは回転よりもしなりが悪いため、怪我のリスクが高い。
- 競技者は1日で2本を走行する。2本目には異なるコースが使用される。
- 1本目の上位30名が2本目に進出できる。2本目は逆順スタート(順位の逆:1本目が遅いタイムの競技者から)。
- 2本合計タイムが最も短い競技者が勝者となる。
- ポールの間隔は10m以上と規定されている。
- コース標高差は男子が250m〜450m、女子が250m〜400mで設定される。
- 斜度は設定されていないが、通常はアップダウンが大きいコースが使用され、コース幅は40mに規定されている。
- 有名レース:アデルボーデン(スイス)/ アルタ・バディア(イタリア)
03
スーパー大回転
スーパー大回転(スーパー・ジャイアント・スラローム)は比較的新しい種目のひとつで、滑降と大回転の中間に位置している。スーパー大回転のワールドカップデビューは1982年で、スーパーGとも呼ばれる。
《スーパー大回転の特徴》
- 走行は1本のみ。
- コースでの練習走行は禁止されている。コースの下見1回のみ可能。
- ゲートの間隔は25m以上。
- コース標高差は男子が400m〜650m、女子が400m〜600mで設定される。
- アップダウンが激しく急峻なコースが使用される。コース幅は約30m。
- 有名レース:コルティナ・ダンペッツォ(イタリア)/ ビーバー・クリーク(米国)
04
滑降
多くの人にとって、滑降(ダウンヒル)はアルペンスキーの花形種目だ。スイス・ヴェンゲンのラウバーホルンまたはオーストリアのシュトライフを最高時速160kmで攻略するためには、強靭な太ももだけではなく、相当な度胸も必要になる。また、ビッグジャンプとその着地も滑降のレースを盛り上げている要素だ。
FISはこの種目を次のように定義している:「滑降では、テクニック、勇気、スピード、リスク、体調、判断という6要素がパフォーマンスを決定づけます」
《滑降の特徴》
- 走行は1本のみ。
- 最低1本の練習走行を行う必要がある。
- ゲートの間隔は25m以上。
- コース標高差は男子が750m〜1,100m、女子が450m〜800mで設定される。
- スタートからフィニッシュまで多様なスピードで走行できるコースが使用される必要がある。コース幅は約30m。
- 有名レース:シュトライフ(オーストリア)/ ヴェンゲン(スイス)/ ヴァル・ガルデナ(イタリア)/ ボルミオ(イタリア)/ ガルミッシュ=パルテンキルヘン(ドイツ)
05
複合
最も万能で完成されたスキーヤーは誰なのか? この疑問への回答となるのが複合だ。なぜなら、この種目ではテクニックとスピードの両方が問われるからだ。この種目の競技者は2本を走行し、1本目は滑降またはスーパー大回転で、2本目は回転となる。この2本の合計タイムが最も短い競技者が勝者となる。
《複合の特徴》
- 競技者は2本走行する:1本目は滑降またはスーパー大回転、2本目は回転。
- 回転・滑降・スーパー大回転のテクニックが必要。
- FISが設定する複合は3種目:アルペン・クラシック・スペシャル
- クラシックではスピードは滑降だが、アルペンでは滑降またはスーパー大回転のいずれかになる。
- スペシャルでは、回転・大回転・スーパー大回転・滑降の3種類または4種類を組み合わせになる。
- FISの規定では、上記4種目のいずれか1種類または複数種類と、ノルディックスキー、水泳、セーリングを組み合わせることもできる。
06
パラレル
パラレルにはパラレル回転またはパラレル大回転が存在し、どちらも競技者2名が横並びで同時にスタートする。公平を期すために両競技者のコースレイアウトと雪の状態に差が出ないようにする。
また、同じ目的から、1本終えたあとはコースを入れ替えて2本目を行うようにルールが定められている。たとえば、競技者Aが1本目で青コースを走行した場合、2本目では赤コースを走行する。
《パラレルの特徴》
- コース標高差は80m〜100m。
- ゲート数は各コース20個〜30個。
- 各走行タイムは20秒〜25秒。
- 決勝では最大32名が競い合う。これを上回る数がエントリーした場合は計時予選が事前に開催される。
- ノックアウト方式:2本合計タイムが短い競技者が次のラウンドへ進出する。
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