Arne Marit stands proudly in Red Bull - BORA - hansgrohe kit for a dynamic 2025 season portrait, captured in Fuschl, Austria, with vibrant cycling images in the background
© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool
サイクリング

アルネ・マーリッツとは?:レッドブル=ボーラ=ハンスグローエ新加入ライダーを知る

チーム編成完了直前に加入したアルネ・マーリッツが、マヨルカチャレンジでチームに2026シーズン初勝利をもたらした。春のクラシックシーズン開幕前に、この注目ライダーのプロフィールをチェック!
Written by Benjamin Saldias
読み終わるまで:6分Published on
少し前まで、レッドブル=ボーラ=ハンスグローエに新加入したベルギー人ライダーのアルネ・マーリッツは「これまでのサイクリングキャリアで最高の瞬間は?」との問いへの回答に悩む必要はなかった。「モルビアンですね」と彼は少し考えたあとに答える。
モルビアンとは、フランス北西部のモルビアン県で行われるワンデーレース(グランプリ・デュ・モルビアン)で、マーリッツがプロとして初めて、そして当時は唯一となる優勝を飾った舞台だった。
これは彼がプロサイクリストとしてデビューした2021年に記録された勝利で、パンデミックによるシーズンの混乱を受けて、例年5月に開催されていたこのレースも10月中旬にUCIプロシリーズ最終戦として開催された。
レッドブル=ボーラ=ハンスグローエのチームキットに身を包んだアルネ・マーリット

レッドブル=ボーラ=ハンスグローエのチームキットに身を包んだアルネ・マーリット

© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool

このレースでは、ブライアン・コカール、そして当時通算130勝を誇っていたエリア・ヴィヴィアーニなど実績豊富なスプリンターが、フランダーズ・バロワーズから参戦した新人マーリッツに破れる結果となった。27歳を迎えたマーリッツは、「あの優勝で大きな自信がつきました。アドレナリンも最高でしたね。素晴らしい瞬間でした」と回想する。
しかし、このオフシーズンにレッドブル=ボーラ=ハンスグローエに新加入し、チームの2026シーズン緒戦だった2月のチャレンジマヨルカで勝利を飾ったマーリットは、新たなキャリアハイライトを手に入れた。レッドブル=ボーラ=ハンスグローエが契約をオファーするまで所属先が未定だったライダーとしては悪くない結果だ。
今回は、この注目すべきベルギー人ライダーのプロフィールを紹介する。
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レッドブル=ボーラ=ハンスグローエ初レースで優勝

レッドブル=ボーラ=ハンスグローエ加入後初レースで、マーリットは見事な勝利を飾りチームの信頼に応えた。2月初旬のシーズン序盤戦となるチャレンジマヨルカで、リードアウトだったマーリットは予想外の勝利を手にしてみせたのだ。
マーリットは昨年のイタリアジュニアシーンを席巻していた19歳のニューカマー、アレッシオ・マガニョッティのリードアウトを務める予定だった。しかし、ファイナルスプリントへのアプローチで発生したクラッシュによる混乱の中で2人のポジションが離れてしまい、マーリットがスプリントのベストポジションを手にした。
そして、マインドセットをサポートロールからスプリンターへ切り替えたマーリットは、プロキャリア2勝目に向けて爆走した。この勝利について、マーリットは次のように語った。
「胸を撫で下ろしました。自分のキラー・インスティンクト(闘争本能)が失われていなかったことが分かったのは大きな意味があります」
このコメントは、フィニッシュ直後のマーリットのただならぬ歓喜ぶりも部分的に説明している。マーリットは昨夏のブエルタ・ア・エスパーニャ3位をはじめ、近年のシーズンで “優勝まであと一歩” を何回も経験していた。
マーリットの歓喜の大部分は、非常にストレスの多いオフシーズンが極めてポジティブに転じたことによる安堵が占めていたはずだ。マーリットはアンテルマルシェと長期契約を結んでいたが、アンテルマルシェとロットのチーム合併の犠牲者となった。マーリットはその合併を直前に知ったため、新たな所属先探しは難航した。
新たにチームメイトとなったレムコ・エヴェネプールと会話を交わすアルネ・マーリット

新たにチームメイトとなったレムコ・エヴェネプールと会話を交わすアルネ・マーリット

© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool

もう言い訳はできません。もし結果が出ないとしたら、それは僕の脚のせいです!
アルネ・マーリット
レッドブル=ボーラ=ハンスグローエのスポーティングディレクターであるザック・デンプスターから打診を受けたとき、マーリットは小規模チームとの契約を検討中だったため、新天地からのオファーをありがたく受け入れた。
「チーム合流直後の数週間は圧倒されました。開幕直前に加入したので、ライダーやスタッフを含め150人と初めて対面し、すぐに慣れる必要がありました」とマーリットは語る。
「最も感銘を受けたのは、私が何かを頼めばすぐに助けが得られたことでした。チームの対応の速さは驚異的です。このチームには非常にプロフェッショナルな環境が整っていて、それはトレーニングだけでなく機材からも分かります。ですが、同時にこれは言い訳ができないことも意味しています。結果が出ないなら、それは僕の脚のせいです!」
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スカンジナビア風の名前だが正真正銘のベルギー人

アルネ・マーリットという名前はスカンジナビア風に聞こえるが、彼はベルギーのサイクリングのメッカで生まれ育った。ブルージュとゲラートスベルゲンに挟まれたフォレゼーレ地方で生まれ育ち、現在もここに住むマーリットは、ベルギーのサイクリングにおける歴史的な中心地を熟知している。
ベルギーの偉大なクラシックレースの中心地であるアウデナールデゲラートスベルゲンニノーヴェロンセのコースはすべてフォレゼーレ地方のすぐ近くにある。
「私は毎日この地域でトレーニングしていますし、ルートは私の頭の中に叩き込まれています。この辺りの道を知り尽くしています」とマーリットは語る。
昨年は不振に終わったレッドブル=ボーラ=ハンスグローエの今後のワンデイクラシックに向けて、マーリットが大幅な戦力強化として期待されているのはまさにこれが理由だ。
これからのシーズンに向けたマーリットの主な任務はヨルディ・メーウスやダニー・ファンポッペルのスプリントサポートだが、彼はベルギーの石畳や急な登り坂でのスプリントでロードキャプテンたちを上位に送り込むことも担う。
「私はルールを深く理解していますし、チームメイトたちが重要セクションを安全に切り抜けられるようサポートしたいと思っています。チームメイトたちが私の経験から恩恵を得られるようにしたいですね」とマーリットは語る。
チーム合流直後の数週間は圧倒されました。最も感銘を受けたのは、私が何かを頼むとすぐに助けが得られたことです
アルネ・マーリット
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隠れたアートの才能

フォレゼーレ地方で生まれ育った子供たちがそうであるように、マーリットは幼少期から石畳の道でサイクリングしてきた。
「私は10歳か11歳頃にサイクリングを始めました。毎週日曜日に父が友人たちとライディングに出かけるときは、自分もついて行きたがっていました」とマーリットは回想する。
「私の幼少期はトム・ボーネンの全盛期で、ボーネンは私のアイドルでした。ですが、初めて大きなクラブへ移る16歳までは、真剣にサイクリングに取り組んでいませんでした。大きなクラブに移るとすぐに良い結果が出せたので、そこからはライディング一筋になりました。ジュニア時代はノケル・クルス(ベルギーのセミクラシックワンデイレース)を連覇しました。今でも私のお気に入りのレースです」
しかし、少年時代のマーリットが情熱を注いだ趣味はサイクリングだけではなかった。実は、彼は絵画やドローイングを得意とする才能豊かなアーティストでもあったのだが、サイクリングに専念するために芸術の道は諦めた。
「学校でサイクリングと絵画を両立する道はなかったので、どちらかに決めなければなりませんでした」とマーリットは語る。
アーティストになる道は断念したかもしれないが、マーリットは現在でも他の方法で芸術的才能を発揮している。
「私は大のコーヒー好きで、本格的なコーヒーマシンを持っているので、ラテアートを描いています」
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