Chloe Dygert works out in Santa Monica, CA, USA on 17 July, 2017.
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サイクリング

アマチュアサイクリスト用インターバルトレーニングメニュー

ロングライドに適したフィットネスを手に入れるための本格的なインターバルトレーニングメニュー例を紹介&解説!
Written by Charlie Allenby
読み終わるまで:10分公開日:
ロングライドに必要なフィットネスは、週末にほんの数時間だけ田舎道を流す気楽なライディングに必要なそれとは大きく異なる。
そのためロングライド用トレーニングプランには様々なセッションを組み入れる必要があるが、その中でも最も効率的(そして最も過酷)なのがインターバルだ。
そこで、今回はプロツアーチームTeam Dimension Data for Qhubekaでコーチを務めるエリオット・リプスキDig Deep Coachingのサイクリングコーチを務めるスティーブン・ギャラガーに協力してもらい、インターバルトレーニングがサイクリングパフォーマンスに及ぼす効果を解説してもらうと共に、アマチュアサイクリストも参考にできる彼らのお気に入りインターバルセッションをいくつか教えてもらった。

インターバルトレーニングとは?

簡単にまとめれば、インターバルトレーニングとは低負荷と高負荷のサイクリングを交互に繰り返すトレーニングを意味し、ヒルクライムの反復から2時間ほどのケイデンスドリルまで様々なアプローチで行うことができる。
ギャラガーは次のように切り出す。
「トレーニングでは、強度・持続時間・頻度が重要です。インターバルトレーニングでは、特にこの3つを様々なレベルで取り組むことにフォーカスします」
「とはいえ、インターバルは毎回100%で取り組む必要はありません。セッションの目標や、長期目標とのバランスによって変わってきます」
インターバルは時間効率に優れたレース前トレーニングとして重用されている
インターバルは時間効率に優れたレース前トレーニングとして重用されている

インターバルトレーニングはなぜ効果的なのか?

ヒルクライムのスピードアップや高出力の維持など、具体的な目標が設定されているインターバルトレーニングは、低〜中負荷ライドに終始したトレーニングよりもはるかに短期間でサイクリストのパフォーマンスを向上させる。
インターバルトレーニングの付加的効果としては、時間効率の良さも挙げられる。週20〜30時間もライディングに割けないサイクリストにはパーフェクトなトレーニング方法と言える。
リプスキが次のように説明する。
「大半のアマチュアサイクリストにとって、インターバルは目標としているレースに向けたトレーニングとフィットネスを高めるトレーニングの両方で時間効率に優れたメニューになってくれます」
「生理学的には、VO2 MAX(最大酸素摂取量:身体が取り込める最大の酸素量)と出力が向上し、心肺機能も高まります」
「簡単にまとめれば、トレーニング量を抑えながら、より好ましい反応を短時間で得られるということになります」
さらにギャラガーが付け加えて説明する。
「インターバルはトレーニング内容が明確かつ具体的で、レースや目標に向けた1時間のトレーニングセッションの努力が最大化されます」
「インターバルトレーニングは強度が明確で具体的(例:90〜95rpmの高負荷ペダリングを3分間持続させるインターバル)なので、低〜中負荷のトレーニングほど長時間取り組む必要はありません」
「インターバルトレーニングはプロアスリートや熱心なスポーツマン専用のトレーニングと誤解されていますが、突き詰めて言えば、トレーニングに割ける時間が短い人にも重要なのです」
ゴードン・ベンソン
ゴードン・ベンソン

インターバルトレーニングのタイミング

スポーティブ形式のレースを目標としていて、時間的余裕があるサイクリストのトレーニングメニューは「平日にショートライドを2〜3回+週末にロングライド1回」になるはずだ。
重要なのは、このようなバイクに乗ったトレーニングメニューのバランスを維持することだ。
ギャラガーは次のように語る。
「インターバルトレーニングのマイナス面は、カフェなどを目的地にした週末のロングライドほど楽しくなく、また社交的な要素も少ないところです」
「サイクリングは社交的な要素とのバランスが大事ですし、人と交流できることが多くのファンを獲得している理由でもあります」
「ですが、時間には限りがありますし、しかもレースに向けてトレーニングしているなら、サイクリングの社交的で楽しい部分はある程度犠牲にする必要があるかもしれません」
インドアトレーニングに励むMTBライダーのタニー・シーグレイブ
インドアトレーニングに励むMTBライダーのタニー・シーグレイブ
ギャラガーは、イベントを目指しているなら少なくとも週2回はインターバルセッションを取り入れるべきで、イベントまで1カ月を切ったあとは週3回に増やすべきだとしている。
リプスキもギャラガーの意見に同意しつつ、次のように語る。
「目標へ近づいていくにつれて、インターバルの回数を増やしたり、特定の強度を持続させる時間を長くしたりと、さらにハイペースで具体的なトレーニングに取り組むべきです」
「具体的な目標を定めているなら、それに適したインターバルをトレーニングに加えることが自分の助けになるはずです」
さらに、ギャラガーは次のように付け加える。
「インターバルでは、常にくたくたになるまで全力を出し切る必要はありません。設定している強度とテクニックでトレーニングを確実に 完了させることが重要です。これができなければ意味はありません」
「目標としているパワーや心拍数、ケイデンスなどをはるかに下回る水準でインターバルを行うくらいなら、インターバルには一切手を出さずに一般的な有酸素ライドに取り組んだ方が無難ですね」

《目標別インターバルトレーニング例》

1:VO2 MAX用インターバルトレーニング

インターバルトレーニングでパワーの最大値を高める
インターバルトレーニングでパワーの最大値を高める
リプスキはVO2 MAX向上に特化したこのトレーニングについて、次のように説明する。
「これはサイクリングパフォーマンス向上のための素晴らしいセッションです。とはいえ、簡単なセッションではないので、最初は週1回から始め、徐々に回数を増やしていきましょう。高負荷で合計60分トレーニングすることを目標にしてみましょう」
FTPの計測方法とトレーニングゾーンの活用方法については『FTPを学ぼう!』をチェック!
《ウォームアップ》
  • イージーペース(FTP値50%)– 3分
  • ミディアムペース / 問題なく会話ができる程度(FTP値70%)– 3分
  • ヘビーペース / 息が上がり、会話が容易にできない程度(FTP値80%)– 3分
  • ハードペース / 全力を出し切ることに集中(FTP値90〜100%)– 3分
  • イージーペースで流してリカバリー(FTP値50%)– 3分
《インターバル》
まずは8分・2回の高負荷セッションから始めよう。各インターバルを8分のタイムトライアルと捉え、各セッションで全力を出し尽くすようにしてみよう。
両セッションを完了できるようにペースを調整するので、最初からハードに飛ばすのはNGだ。各インターバルの最後で心拍数を最大まで高めるようにしよう。
  • VO2 MAX近くのインターバル(FTP値120%)/ 最大出力を最後までキープ – 8分
  • インターバル間のリカバリー – 7〜10分
手応えを確認しながら、1〜2週ごとにインターバルを1回ずつ増やしていき、7回まで増やそう。
海沿いでトレーニングライドするトライアスリートのルーシー・チャールズ
海沿いでトレーニングライドするトライアスリートのルーシー・チャールズ

2:ヒルクライム用インターバルトレーニング

ギャラガーはこのトレーニングについて次のように説明する。
「このセッションは、短くて急なヒルクライム区間が多いスポーティブイベントに向けたトレーニングとしてパーフェクトです」
「たとえば、ツール・デ・フランドル(編注:ベルギー・フランデレン地域を舞台としたワンデイレース。UCIワールドツアーの1戦)や、同様のヒルクライムを有する英国のスポーティブイベントで成功したい人に最適です」
「このセッションは、5分間の最大出力を向上させ、アタック間のリカバリー能力を向上させることが目標です。パワーメーターを使っているなら、最初と最後のセッションの出力差を8%以内に抑えましょう」
Elite CyclingのCEOポール・ミルによるトレーニングゾーン説明(PDF / 英語)のダウンロードはこちら>>
《ウォームアップ》
  • 20分かけてゾーン1からゾーン2、ゾーン3まで出力を高めていく。ラスト5分でゾーン3。
《インターバル》
  • イージー(ゾーン1 / 2)– 5分
  • ヒルクライム5分を5回繰り返し、毎回5分の休息を挟む。下りでスタート地点の数百メートル下まで向かい、そこからペダリングでスタート地点に戻ってそのままヒルクライムをスタートさせるのが良い。
《クールダウン》
  • イージーペース(ゾーン1)– 10分
交通量の少ない道路はインターバルトレーニングに最適
交通量の少ない道路はインターバルトレーニングに最適

3:乳酸性作業閾値用インターバルトレーニング

乳酸性作業閾値(LT:Lactate Threshold)の向上にフォーカスしたこのインターバルトレーニングについて、ギャラガーは次のように説明する。
「綿密に設定された具体的なペース / 強度の変化を利用するこのインターバルトレーニングは、長距離・持久系サイクリストには欠かせない乳酸性作業閾値向上に最適です。また乳酸性作業閾値付近の出力コントロールも身につきます」
「通常、このトレーニングは集団からの “逃げ” を仕掛ける時のような高出力で行いますが、努力して適応力を高まれば、乳酸性作業閾値付近でのライディングだけでなく、最長3〜5分の最大出力も大幅に高めることができます」
《ウォームアップ》
  • ゾーン2 – 10分
《インターバル》
  • 120rpmの高ケイデンスを30秒×3回 / 30秒(ゾーン1)の休息を挟む。
乳酸性作業閾値上限でのペダリング5分×5回 / 5〜7分(ゾーン1)の休息を挟む。
ペダリング5分の内訳は以下の通り:
  • VO2 MAX(ゾーン5)– 1分
  • 乳酸性作業閾値(ゾーン4)– 1分
  • テンポ(ゾーン3)– 1分
  • 乳酸性作業閾値(ゾーン4)– 1分
  • VO2 MAX(ゾーン5)– 1分
《クールダウン》
  • ゾーン1 – 5分
セッション中にペースを変動させて乳酸性作業閾値を高める
セッション中にペースを変動させて乳酸性作業閾値を高める

4:スプリント用インターバルトレーニング

スプリント能力の向上を主眼に置いたこのインターバルトレーニングについて、ギャラガーは次のように語る。
「このセッションでは、2種類のスプリントに取り組んだあとで、2種類を統合します」
「最初のスプリントでは、筋肉のパワーとトルクの発生、つまりペダル踏力の向上に取り組みます。2番目のスプリントでは、脚のスピード、つまりペダル回転速度の向上に取り組んでいきます」
「どちらも筋肉の活性化と一度に動かせる最大筋繊維数の増加に効果があります。動かせる筋繊維数が多いほど、より速やかに、より強い力をペダルに伝達できるようになります」
「最後に、それまでの2種類のスプリントを組み合わせる3番目のスプリントは、それぞれの効果を統合し、スプリントスピードを高めることが目標です」
「スプリントとはパワーだけではなく、テクニックも重要だということを覚えておきましょう。なるべくスムーズにスプリントしましょう。バイクを左右へ振って貴重なエネルギーを無駄にしないように心がけてください」
《ウォームアップ》
  • 20分かけてゾーン1からゾーン2、ゾーン3まで出力を高めていく。ラスト5分でゾーン3。
《インターバル》
  • イージーペース(ゾーン1 / 2)– 5分
スタンディングスタートのスプリントを15秒×4回。スプリントに適しつつ、終盤の出力が100rpmを超えないギアを使用すること。スプリント間にイージーペース(ゾーン1 / 2)の休息を3分挟む。
  • イージーペース(ゾーン1 / 2)– 10分
ケイデンススプリントを15秒×4回。25〜30km/h程度のスピードからローリングスタートで軽いギアを使ってスプリント。15秒全体でケイデンスが120rpm以上になるようにする。スプリント間にイージーペース(ゾーン1 / 2)の休息を3分挟む。
  • イージーペース(ゾーン1 / 2)– 10分
全力スプリントを15秒×4回。25〜30km/h程度のスピードからローリングスタートし、15秒間最大出力でスプリントできるギアを選ぶ。スプリント間はギアを落としても良い。スプリント間にイージーペース(ゾーン1 / 2)の休息を3分挟む。
《クールダウン》
  • ゾーン1 – 10分