Gaming
これまで、マイクロソフトのビデオゲームプレゼンテーションは驚きよりも笑顔を提供するもので、ソニーの【State of Plays】や任天堂の【Nintendo Direct】に比べると、ビッグサプライズや重大発表は少ないように感じられていた。
しかし、少なくとも1月25日のXbox Developer Directからこの流れが変わっている。『Redfall』や新しい『Forza Motorsport』などのいくつかの嬉しい最新情報だけではなく、Tango Gameworksがビッグニュースを届けてくれた。
カラフルなリズムゲーム
三上真司が率いる日本のデベロッパーTango Gameworksは『サイコブレイク』と『サイコブレイク2』で知られており、Xbox Developer Direct直前の時点での彼らの最新作はアトモスフェリックなオープンワールドタイトル『Ghostwire: Tokyo』だったため、ゲーマーたちは彼らの次作もまた不気味なムードのタイトルになることを期待していた。
しかし、Xbox Developer Directで発表されたその次作は、彼らの期待から限りなく離れたものだった。『Hi-Fi Rush』と名付けられたその作品はカートゥーン風のヴィジュアルデザインが用意されたアクションゲームに仕上がっている。
リズミカルな爽快アクション
『Hi-Fi Rush』ではチャイという名前の主人公を操作することになる。チャイはロックスターになることを夢見る明朗活発な青年だ。
チャイはとあるプロジェクトに参加するためにロボット企業ヴァンダレイからロボットアームを授けられる。しかし、残念ながらその改造手術でトラブルが発生し、チャイの胸にMP3プレイヤーが埋め込まれてしまう。結果、彼はヴァンダレイから不良品と判断され、同社のセキュリティに追われることになる。
しかし、幸運なことにチャイは丸腰ではなかった。新たに手に入れたロボットアームには磁力が備わっており、ロックスターへの道を歩もうとしているチャイは、その磁力でスクラップを集めてエレキギター型の武器を作り出せるのだ。そして彼はその音楽に合わせて攻撃を繰り出しながら、ヴァンダレイの社員や警備ロボットたちと戦っていく。
そのアクションは小気味よく、『デビルメイクライ』シリーズや『ベヨネッタ』シリーズを彷彿とさせる。攻撃はライトアタックとヘヴィアタックの2種類で、これらを組み合わせてコンボを繰り出したり、ドッジで敵の攻撃を回避したりすることができる。
最大の特徴は、すべてのアクションがビートに合わせて発生するところだ。敵の攻撃も自分の攻撃も自動でリズムに乗って繰り出される。そして攻撃にタイミングにジャストでボタンを押せれば、攻撃力が高まる。言い換えれば、通常攻撃ならすべて自動でリズムに合ってくれるのでリズム感に自信がない人でも楽しめるゲームになっているのだ。
しかし、やはりそこはできる限りリズムにジャストで合わせてプレイしたい。なぜなら、このゲームはすべてがリズムに合っているからだ。どこを見ても、背景やオブジェクトがリズムに乗って動いているのが分かる。
このデザインもゲームプレイに影響を与えるようになっている。なぜなら、オブジェクトを回避したり、そこに乗ったりするときも、リズムに合わせたアクションになるからだ。また、それらの動きをリズムに合わせる目安として活用することもできる。
この仕様はシューター『Metal: Hellsinger』に似ていると言えるだろう。こちらの作品はリズムに合わせることで楽曲の激しさが増していくようになっている。
音楽やリズムに気を取られてゲーム中の何かを見逃したり、トラブルに巻き込まれたりする可能性を心配する必要はまったくない。このゲームにはビートマッチをアシストするためのインターフェイスが複数用意されている。
さらに、序盤にはロボットのネコ(808 / ヤオヤ:クラシックリズムマシンRoland TR-808へのオマージュ)が仲間に加わってくれる。808は強烈なフィニッシュをサポートしてくれる上に、光って攻撃のタイミングも教えてくれる。もう少しアシストが欲しいなら、画面にリズムゲージを表示させることもできる。
最高のヴィジュアル&サウンドトラック
ヴィジュアルについて触れると、『Hi-Fi Rush』は非常に美しい。セルシェーディングがトレンディなカートゥーン風ヴィジュアルを実現しており、派手なエフェクトやヌルヌル動くアニメーションに満ちている。また、3Dと2D、カットシーンをシームレスに移行する点も素晴らしい。『Hi-Fi Rush』は真のマスターピースだ。
また、当然ながらこの作品に収録されている音楽も最高だ。オリジナルサウンドトラックは高速アクションにパーフェクトにマッチしており、ナイン・インチ・ネイルズやザ・プロディジー、ザ・ブラック・キーズなどの楽曲もライセンス収録されている。Spotifyに公式プレイリストも用意されているのでチェックしてみよう。
尚、YouTuberやストリーマーが心配する必要もない。この作品にはライセンス収録されている楽曲を外すことができるストリーミング用オプションも用意されている。
15分
Diggin' in the Carts - エピソード 1
Diggin In The Carts - Episode 1 Japanese Subtitles
マイクロソフトにとって貴重な1本
2023年2月現在、マイクロソフト陣営に欠けているのは独占タイトルの本数だ。また、彼らはかなりの数の開発スタジオに投資しているが、これがどのような結果を生み出すのかもまだ見えていない部分が多い。もちろん、いくつかのビッグプロジェクトが進行しているのは誰もが知るところだが、『God of War』や『Returnal』、『Demon’s Soul』などのようなキラータイトルが抜けているのが現状だ。
このような中での、『Hi-Fi Rush』のような突然のリリースは非常に大きな価値がある。このタイトルがAAAタイトルに引けをとらないスケールであることを踏まえると尚更だ。
Tango Gameworksは、他のデベロッパーたちが手がけるビッグタイトルと互角に戦える愉快な音楽要素を備えた素晴らしいアクションゲームを届けてくれた。ホラーマスター三上真司が率いるチームによるスペシャルな1本と言えるだろう。しかも嬉しいことにXbox Game Passに加入していれば無料で楽しめる。
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