スラックライン
ヤーン・ルース:世界初・世界記録スラックラインプロジェクト 9選
エストニア出身トップスラックライナーが取り組んできた超絶スラックラインプロジェクトの中からベスト・オブ・ベストをピックアップ!
今回は、ルースがこれまで取り組んできたスラックラインプロジェクトのベスト・オブ・ベストを紹介する。心臓の弱い人は注意してチェックしていこう!
プロジェクト内容:イタリア本土からシシリー島までの世界最長スラックライン
26分
ヤーン・ルース:Life on the Line | ライフ・オン・ザ・ライン
2024年7月10日、イタリアのメッシーナ海峡のスラックライン世界初横断に挑戦したルースはスラックライン世界最長距離となるイタリア本土〜シシリー島間3,646m横断を試みた。残念ながら、ゴール80m手前で落下してしまったため世界記録としては認められなかったが、それでも世界最長距離を上回る距離を移動した。
高さ100mに張られたスラックラインを3時間渡り続けるというのは、通常の人間には無理で、プロスラックライナーでもまずできない。心身両方に大きな負荷がかかるこの挑戦には、数ヶ月に及ぶ準備期間と精確な動作が求められた。『Life on the Line』は、このプロジェクトに向けたルースのトレーニングと、彼のアイディアが実現するまでの軌跡が記録されている。
01
ヴァラステ(エストニア | 2024)
プロジェクト内容:エストニアで最も高い滝とされるヴァラステ滝での世界初スラックライン
ルースと彼が率いるチームが冬のヴァレステ滝にスラックラインを張り、最新の世界初チャレンジに挑んだ。
ヴァレステ滝はエストニアの同名の村に位置する滝で、落差約30mはバルト海周辺で最高となる。ルースのスラックラインは地上50mに張られた。
このプロジェクトを成功させるためには、ユニークな課題を克服する必要があった。ルースは次のように説明している。「スラックラインをゆっくりと歩くだけではなく滑っていく必要もあったので、摩擦も考慮しなければなりませんでした。上手く滑っていかないと、止まった瞬間に落下して氷柱に激突する恐れがありました」
ルースが直面したコンディションは強烈だった。スラックラインには斜度が13度もついていた上に濡れていて滑りやすく、気温もかなり低かった。極寒に対抗するためにルースはソックスを5枚重ねて履いた。これは滑ってソックスが破れても大丈夫なようにするための施策でもあった。
02
ルサイル(カタール | 2023年)
プロジェクト内容:高層ビル2棟の間に張られた全長150mの世界初LEDスラックラインを横断
1分
ヤーン・ルース:カタラ・タワーズでLEDスラックライン
カタール・ルサイルに位置するカタラ・タワーズ(Katara Towers)は非常に美しい建築物だ。カタールの国章に描かれている三日月刀からインスピレーションを得て建造されたこの建物には超高級ホテルのラッフルズ・ドーハとフェアモント・ドーハが向かい合う形で入っている。ルースはこの2棟の間に張られた全長150mのスラックライン横断に挑んだ。
この挑戦で、ルースは世界最長LEDスラックライン横断に成功した。今回使用された幅2.5cmのスラックラインにはLEDが装着されており、横断が行われた早朝でもスラックラインが見えるようになっていた。また、地上高185m超で行われたこのプロジェクトは、ルースにとって現時点で最も高い都市部でのスラックラインとなっている。
この高度ではかなりの強風が吹いており、早朝にもかかわらず、気温と湿度も非常に高かった。ルースは次のように振り返った。
「絶対に横断したいプロジェクトでした。挑戦しがいのあるプロジェクトには恐怖と課題がつきものです。ですので、無事完了できて嬉しいですね」
「このプロジェクトは最高難度でした。LEDの熱と重量が加わったため、スラックラインの反応も普段とは違っていました。スケートボードにたとえるなら、軽量のデッキの代わりに大きな木の幹でライディングしているような感覚です」
03
ンカドル・ムルト(ケニア | 2023年)
プロジェクト内容:ケニア・サンブルに位置する奇岩群ンカドル・ムルトに張られた全長580mのスラックラインを世界初横断
3分
ヤーン・ルース:ケニアの奇岩群で全長580mのスラックライン!
ケニア・サンブルの中央部に位置している2つの奇岩はンカドル・ムルト(Nkadorru Murto)として知られているが、その姿から地元民には “ネコとネズミ” と呼ばれている。
ルースはこのプロジェクトでもユニークな課題に直面した。“ネコ” は全高151m、“ネズミ” は全高195mのため、ルースは角度がついたスラックラインを横断しなければならなかった。ルースは次のように振り返る。
「事前に訪れて準備することができませんでした。ヘリコプターを使ってスラックラインを張ったのは今回が初めてでした。ヘリコプターを使ったおかげで、1週間かかる作業が1日半で終わりました」
スラックラインが張られたあとは、天候条件が揃うまで待たなければならなかった。そして緊張の6時間が過ぎたあと風が止み、ルースはスラックラインを渡り始めた。ルースは高い気温と時速27〜30kmの横風に悩まされながらも、1時間以内で横断した。挑戦を終えたルースは次のように語った。
「この奇岩群を熟知していて、色々と注意事項を教えてくれた地元民と部族の皆さんに助けてもらいました。日没後はゾウやヒョウのような野生動物が活動を始めるため、その時間まで現地に残らないようアドバイスを受けました」
「私たちが挑戦を始めた時間帯はライトに反応する虫がかなり多かったので、闇雲に追い払おうとしました。ですが、これが大きな間違いでした。横断終了後、私は岩の埃で目が腫れてしまったと思っていたのですが、実はこの虫たちをはたき落としたときに出た体液で目と手が腫れてしまったのです」
04
サラエボ(ボスニア・ヘルツェゴビナ | 2021年)
プロジェクト内容:サラエボのUNITICビルに張ったスラックラインでサマーソルトをメイク
1分
ヤン・ルース:スラックライン in サラエボ
エストニア出身のトップスラックライナーがボスニア・ヘルツェゴビナの首都に立つ高さ97mの高層ビルで最新動画を撮影!
サラエボを代表するビル2棟の間に張られた全長28m・高さ約100mのスラックラインの上でルースが息を呑むようなアクロバティックに挑戦した。ツインタワーのUNITICビルは、1980年代のボスニアのラジオ番組のキャラクターにちなんで現地では “モモ&ウゼイル” と呼ばれている。ルースは次のように振り返った。
「高所でのスラックラインには慣れていますが、毎回ある程度の恐怖を感じます。ですが、これこそ私が挑戦を続ける理由なのです。私は自分に挑戦し、美しいビジュアルを作り出すことが好きなのです」
「今回は高さだけではなく天候にも恐怖を感じました。やや風が強かったので、トリックメイクが難しかったのです。天候は自分ではコントロールできません」
05
マンギスタウ(カザフスタン | 2022年)
プロジェクト内容:かつて海だった荒野にそびえる2つの岩山の間に張られた全長500mのスラックラインを気温50度と戦いながら世界初横断
4分
ヤーン・ルース:カザフスタンの荒野の上空200mで500mスラックライン!
カザフスタン・マンギスタウに位置するウロチシェ・ボスジラの中央に、地元民が “牙” と呼ぶ岩石層が存在する。ルースはこの石灰石柱群の間にスラックラインを張って世界初の “牙” 横断に挑んだ。
このプロジェクトのスラックラインは特別長くも高くもなかったが、ユニークな問題がいくつか存在した。ルースとチームは気温約50度の荒野の真ん中でチャレンジしなければならなかったのだ。しかも、暑さより厄介な問題があった。吹きすさぶ強風だ。
「最高難度のプロジェクトのひとつでした」とルースは振り返る。「マンギスタウの夏はとにかく暑く、しかも逃げ場がありません。私たちは街まで車で1.5〜2時間かかる電波の届かない僻地にテントを張って生活しました」
「冷房が効いている救急車を荒野に待機させていたのですが、作業が忙しすぎて誰もその中に入らなかったのが面白かったですね」
また、ルースとチームは環境を破壊しないように細心の注意を払った。
「柔らかい地層だったので、状態保全が非常に重要でした」とルースが続ける。「3日間をかけて2つの岩山の間にスラックラインを張ったあと、ドリルを使わずに状態を元に戻しました」
06
ビルニュス(リトアニア | 2022年)
プロジェクト内容:ビルニュス中心部を走行するトラックの上でスラックラインパフォーマンス
リトアニアの首都ビルニュスで開催されたイベント【Red Bull Racing Showrun】にレッドブル・アスリートのひとりとして参加したルースは、カーゴトラックにスラックラインを張り、大観衆の前を通過しながらパフォーマンスを行った。走行中のトラック上でのスラックラインパフォーマンスは非常に高難度だった。ルースは次のように振り返った。
「今まで誰もやったことがないパフォーマンスでした。つまり、走行するトラックに張られたスラックラインでバランスを取ることの難しさを誰も理解していなかったので、かなり慎重に行う必要がありました」
「通常より長いトレーラーを見つけたので、そこにスラックラインを張りました。ですが、走行しながらパフォーマンスできるかどうかは分かりませんでした。時間がなかったので夜間にテストをしました。当日はトラックが前進したあと800mバックしたのですが、バランスを保つことができました」
07
ロッテルダム(オランダ | 2022年)
プロジェクト内容:ロッテルダムのマース川に張られた全長625mのスラックラインを世界初横断
5分
ヤーン・ルース:City Highline | シティ・ハイライン
ロッテルダムで行われたプロジェクト【City Highline】で、ルースは最長級のスラックラインとなるマース川両岸に立つビル2棟に張られたスラックライン横断に挑んだ。スラックラインの幅は非常に狭く、急角度を上らなければならないセクションもいくつかあった。
「技術的に非常に難しかったですね。急角度がついたスラックラインを長時間上り続けなければならなかったのも今回が初めてでした」
「両地点の高低差は約35mで、これはスラックラインとしては非常に大きな差となります。自宅で急角度のスラックラインを練習する必要がありました」
08
タルトゥ(エストニア | 2020年)
プロジェクト内容:エストニア最長スラックラインを横断
母国は誰にとっても大切だ。そのため、母国エストニアのビル2棟の間に張られたスラックライン横断プロジェクトに向けてルースは念入りに準備を進めた。ルースはエストニア・タルトゥのオフィスビルとアパートの間に高さ60m・全長300mのスラックラインを設置。本番は午後に行われたが、夜明けに撮影した写真がインターネット上で大きな話題となった。
「午後のスタートにはかなり大きな疑問がありました。なぜなら、大雨が降っていたので、私を遠くから見ていた観客が視認できない可能性があったからです」
「天候が少し回復するまでギリギリまで待ちましたが、遠くに雷雲が立ちこめていました。横断に成功した数分後に風が強まり、雷鳴が轟き始めました」
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