ダイビング
【世界初】女子クリフダイバーがカナダの氷山からダイブ!
カナダ人クリフダイバーのモリー・カールソンが高さ15mの氷山から世界初の氷山ダイブに挑んだプロジェクトを動画とテキストでチェック!
以下の動画でモリー・カールソンの氷山ダイブを視聴したあとは、この歴史的偉業のすべてをテキストで振り返ろう!
01
恐怖との対峙
「氷山は非常に危険です」とカールソンはトレーニングから本番までのすべてを記録したYouTube動画の中で説明している。「突如として割れたり、崩れたり、転がったりするのです」
カールソンは高所からのダイブには慣れている。世界最高のクリフダイバーのひとりであり、【Red Bull Cliff Diving】でも複数の勝利を挙げている彼女は、過去5年間を高さ21mのプラットフォームからのダイブに費やしてきた。しかし、氷山はそれとは完全に異なっていた。「間違いなく過去最大の恐怖です」と彼女は語っている。
恐怖はカールソンがキャリアを通じて対峙してきたものだ。彼女は、勇敢さを身に付けても恐怖が消えるわけではないことを学んでおり、「重要なのは、恐怖に自分ができることを決めさせないことです」と語っている。
彼女にとって、氷山は自分で自分をどれだけ追い込めるのかを確認するチャンスだった。
「氷山はとてもパワフルな存在です。私たちが見ているのは文字通り “氷山の一角” に過ぎません。多くの意味で、私たちが抱える不安や恐怖も同じです」
これはカールソンが主宰するBraveGangコミュニティの中心に位置しているメッセージでもある。このコミュニティは、自分たちの恐怖と向き合い、弱い自分を認めることを推奨している。カールソンにとって、今回の氷山ダイブは自分の限界をプッシュすること以上の意味を持っていた。「本当の自分をさらけ出すことを恐れている人たちのために挑むのです」と彼女は語っている。
本当の自分をさらけ出すことを恐れている人たちのために挑むのです
02
アイスクライミングの学習
カールソンは氷山からダイブする前に、氷山に登る方法を学ぶ必要があった。
その学習のために、カールソンはカナダ・アルバータ州キャンモアへ飛び、プロアイスクライマーのウィル・ガッドに指示を仰いだ。ガッドはカナダが誇るワールドクラスのアイスクライマーで、キリマンジャロでのアイスクライミングを含む世界各地でのアイスクライミングを30年以上続けてきた人物だ。
ガッドはクランポンやアイスツールの使い方や氷壁での動き方、そして氷上での自信の持ち方など、アイスクライミングの基礎をカールソンに教えた。
カールソンはキャンモアで高さ10mの氷壁からトレーニングを始めた。そのあとはアルバータ州のゴーストリバー・ウィルダネス・エリアでさらに高難度のコンディションに挑んでいった。
最終テストは20mピッチで、これは彼女が挑む氷山とほぼ同じ高さだった。「これは私が挑む氷山とほとんど同じです」と彼女は語った。
しかし、アイスクライミングはカールソンの挑戦の一部でしかなかった。彼女はウェットスーツを着用して凍える冷たさの海に備える必要もあった。通常、クリフダイバーはウェットスーツを着用しない。そこで彼女は、カナダ・モントリオールでウェットスーツを試しつつ、屋内プラットフォームで低めのダイブから始め、徐々に本番に近い15mまで高さを上げていった。
ウェットスーツの他に、コンディションも通常のクリフダイビングとは大きく異なっていた。海水は非常に冷たく、周囲は白一色だったため、目印になるようなものはほとんどなかった。また、足元の氷山はいつ動き始めてもおかしくなかった。
「最大の危険は、氷山が回転することでした。氷山非常に激しく回転するのです」とガッドは説明している。
03
最適な氷山を見つける
最終的に、プロジェクトは毎年北海から大量の氷山が流れ着くニューファンドランドで行われることになった。カールソン、ガッド、そしてサポートチームは同地のトウィリンゲート周辺をロケハンし、安全にクライミングしてダイブができる氷山を探した。
「ボートでアクセスしやすく、ダイブできるくらい切り立っていて、安全な着水エリアがあり、ウィルを危険に晒すことなく自分でクライミングできる氷山が必要です」とカールソンは説明する。「これらの条件が揃わなければ、ダイブはできません」
いくつもの氷山を調査し、そのほとんどを候補から外したあと、カールソンとチームは “名無し” と名付けた氷山を選んだ。それはニューファンドランド沖に浮く氷山で、形状、アクセス、そしてダイビングポジションがすべて最適だった。
氷山で信頼できることがあるとするなら、それはその不確実性だけです
それでも、チームは安全とは断言できなかった。海流のうねり、風、そして氷山の動きを定期的に確認する必要があった。Ocean QuestとCrosby Marineのスタッフがコンディションの評価とオペレーションのコーディネートに力を貸し、カナダ沿岸警備隊が安全確保とコミュニケーションをサポートした。
チームに帯同した氷山・海洋専門家のひとり、リック・スタンリーは「氷山で信頼できることがあるとするなら、それはその不確実性だけです」と説明している。
04
氷山の頂へ
氷山を選定したあと、ガッドがまず登り、カールソンがテイクオフポイントまで到達できるようにラインとプラットフォームを設置した。
次に、カールソンがアイスクライミングのギアを装着し、氷山に挑んだ。彼女はガッドが設置したラインに沿って登り、氷山が細かく揺れ動く中、不安定な氷壁を移動していった。
そして頂点に到達すると、カールソンはクランポンとウェアを脱いでプラットフォームに立ち、背中を向けてその端でポジションを取った。
眼下には凍える冷たさの大西洋が広がっていた。
そしてカールソンは深呼吸をすると、そのまま背面ダイブをスタートさせた。
05
歴史を生み出す
カールソンは高さ約15mの背面ダイブで大西洋に飛び込み、浮かぶ氷山からのダイブに成功した世界初の女性となった。
カールソンはダイブ直後に冷たい海へ着水したが、祝う時間はほとんどなかった。「海面に浮上した直後に “泳いでここから逃げないと!” と思ったことを覚えています」と振り返るカールソンは、すぐに氷山から距離を取り、ボートに戻った。感情が生まれたのはそのあとだった。
「もちろん、人生最高の日ですよ」と涙を流しながら彼女は喜んだ。
カールソンはプロジェクトを次のように振り返った。「厳しい日もありますし、不安になったり、恐怖を感じたりするときもあります。ですが、最後に本当にクールなことを自分ができることを示せたのは特別な体験ですし、自分を誇りに思います」
「幼い頃の私も喜んでいるでしょう」
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