Litty
© Suguru Saito
ミュージック

Littyインタビュー『“やるならいま”。敷かれたレールで我慢しないで、ラップで生きていく』

レッドブルがキュレートするマイクリレー《Red Bull RASEN》EP33 参加ラッパーたちのプロファイル ②
Written by namahoge
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—今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
RASEN、待ってました。まだデビューしたてで、シーン的にも異端児ポジションなんだろうけど、今年に入ってからずっと"いつか呼ばれたりするかな”って思ってたんです。本番はもっと緊張するものだと想像していたんですけど、思ったよりガヤも入れられたりして。こう言った機会が無かったので、初めての経験でした。メンバーの雰囲気もめっちゃ良くて、これはいい回になるなと。
今回のリリックのなかだと、角田裕毅くんの名前をシャウトアウトできたのがよかったです。昔からお父さんとF1を観に行ってるんですけど、裕くんはレッドブルチームで唯一のアジア人レーサーとして活躍してるけど、そのプレッシャーを感じず、1人のF1選手として世界で戦い続けてるとインタビューで拝見しました。そのマインドに私も見習っていて、絶対ネームドロップしたいなって。
Litty

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—ラップをはじめたきっかけを教えてください。
もともとUSのラップは小6くらいから聴いていたんですけど、大学生のころに、ある友達が日本語ラップをよく流していて。“母国語のラップってこんなにカッコいいんだ、日本のプレイヤーでも海外に負けない魅力があるな”って、いい意味で衝撃的だったんです。で、大学生の最後のころに、YouTubeのフリービートに自分で乗せてみたら“いけるかも”って思って。そこから夢がどんどん膨らんで、レコーディングの方法を必死に調べて、制作に夢中になって。“やるならいまだな”と思ってました。ずっと親に敷かれたレールに乗って生きてきたというか、“好きなことして食べていけるわけないでしょ”って我慢していたところがあって。でも、入社した会社を1年経たずに辞めたのは、ラップの稼ぎが給料を上回ったからで。“すぐ仕事辞めて、音楽にフルベットしなきゃ後悔する”って。
—これまで発表した楽曲で自身の代表曲を挙げるなら?
多くのひとに知ってもらうきっかけになった曲は“Pull Up”。わたし、ほんとに友達大好きで、超フッ軽なんですよ。タイトル通り、呼ばれたらすぐ行くよっていうスタンスで、真夜中でもタクシー飛ばして行くし、〈Uber乗ったり飛行機乗ったり/どこでも足運ぶ〉んです。あの曲にはいまの自分には出せないエモさもあったりして。いまだと“スキルがない”とか“ダサいかも”って、曲作りのハードルが上がってきているけど、そういう計算抜きでストレートな表現ができてた。だからこそ“Pull Up”は自分の名刺代わりの1曲だと思っています。
—自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
いちばんこだわっているのはキャッチーさ。一度聴いたら頭から離れないフロウを生み出すことが最優先で、そのあとに言葉がついてくる。言葉選びも、深く考えすぎるとなにも出てこなくなるから、簡単な言葉でいいんだなって思ってて。言葉遊びがうまいラッパーには憧れるけど、自分はそんな器用じゃないから、そこにプレッシャーを感じすぎないようにしてます。曲を作ったらまず友達に聴かせて。普段ヒップホップをめっちゃディグってるわけでもない友達が“つい口ずさんじゃう”とか“おもしろい”って言ってくれる、そういう曲になってたら理想ですね。
Litty

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—影響を受けた人物は
昔からATLフロウが好きで、それを日本語にするとなると、やっぱりBAD HOPさんからの影響があるんだと思います。“Ride or Die”を出したときも“BAD HOP感ある”ってコメントをもらって、“あ、わたしって無意識に影響されてたんだな”と気づいたり。いろんなアーティストからの影響を受けて、その結果Littyっていうジャンルになってたら最高ですね。
生き様っていう面では、Coi Leray。彼女のドキュメンタリーを観て、フィメールラッパーならではの悩みにすごく共感しました。あんなに素敵なスタイルなのに、ヘイターが容赦なく叩いてくる。男性とおなじように“これがいい”と思って音楽を作ってるだけなのに、なんで女の子だけが特に容姿について酷く言われ続けるんだろうって。Coi Lerayはメンタルが一時期辛くてセラピーに通ったりもしてたけど、それでも逆境に負けず、自分らしく生きて、子どもも育ててる。その姿に“強いな”って思ったし、すごく刺激を受けてます。わたしも変なヘイターに絡まれることあるけど、最近はもう吹っ切れました。見なきゃいいし、見ちゃって落ち込んでも、まわりには自分を愛してくれる家族や友達がいる。いまだに自信がなかったり、自分を好きになれなかったりするときもあるけど、“Litty、最高だよ”って言ってくれるひとたちを信じていたいですね。
Litty

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—今後の予定と将来の展望について教えてください。
まずファーストアルバムを絶賛制作中です。最初のEPからめっちゃ成長したなって感じてるので、みんなの反応が楽しみ。あとは、ワンマンライブをしっかり作り込んで挑みたいし、最近はラジオにも挑戦してて、クリエイティブの幅を広げているところです。音楽はこれからも絶対に続けたい。どんなアーティストにも波はあると思うんです。1回上がれば落ちる時期もあるし、ずっと順調ってわけじゃない。でもわたしはたとえ誰かに飽きられても波を越えて音楽を続けたい。目指すのは世界のステージに立てるようなアーティスト。そんなイメージを持ちながらがんばりたいです。
👉Littyインタビュー『“やるならいま”。敷かれたレールで我慢しないで、ラップで生きていく』