今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
撮影しながらのサイファーってこれまであんまりやったことなかったので、新鮮で楽しかったですね。〈おまえが大好きなラッパーとプロデューサーが大好きなラッパーとプロデューサーはこのオレLil'Yukichiだから覚えときな〉ってラインは言いたかったところ。そのままの意味ですけど(笑)
現在の日本のヒップホップ・シーンについてはどう考えていますか?
アーティストそれぞれが好きに自由にやってるように見えるんで、めちゃめちゃいいですよね。ひとも増えているし、それだけシーンが大きくなってる。自分の世代はライブやるにもノルマでお客さん集めたりしたギリギリの時代ですけど、今は昔よりそういうのは少ないイメージがあるし、カッコいい曲出して受け入れられれば、ラッパーもプロデューサーもすぐにつながっていきやすいのかなって。
自分もネット発と言われますけど、最初にミックステープを出したのはmixiで、聴いてくれたのも高校の同級生とか知り合いとかのマイミクの範囲(笑)。あとはモバゲーでもコミュニティがあって、サウスのラップ好きとかGラップ好きが意外と集まってましたね。当時のコミュニティはいまほど大きくはないけど、ブロガーやアーティストやDJともつながってました。去年出した本『サウス・ヒップホップ・ディスクガイド』もそのころの縁から出来たんで(共編者のアボかどとはモバゲー繋がり)、そういう動きができたのは感慨深いっすね。
自身の現在のアーティストとしてのモードを自己分析するなら?
最近は自分でラップする曲をシングルで出してます。あとはこれまで通り、アーティストさんにビート提供したり、ラッパー以外のかたにも曲作ったり。ビートのトレンドはずっとチェックしてます。“流行ってるから取り入れてやろう”とはならないけど、好きな感じだったら取り入れてます。去年あたりから、Gucci ManeやZaytovenがミックステープをバンバン出してたような、2000年代後半のアトランタっぽいチープなトラップがリバイバルしてたんですよ。自分の好きな感じとも重なるんで、まだリリースしてないんですけどそのノリの曲は作ってました。
影響を受けた人物は?
Soulja Boyですね。ぼくがいまも使ってるDAWソフト、FL Studioを知るきっかけになったアーティストだし、彼がいなきゃいまのLil'Yukichiはなかったかもしれない。最初に知ったのは彼がデビュー前のころ。Soulja Boyの曲でB Walkっていう赤ギャンのダンスを白人の男の子が踊ってる動画をYouTubeで見て。この曲なんだろうとコメント欄を調べて、曲名で検索したら、SoundClickっていう昔あったサイトに彼のアカウントがあって、音源がずらっとあって。Soulja Boyはサウス的なビートだけじゃなくて、ブーンバップもやるし実験的なビートもやるんだけど、その幅広さにも惹かれて、10代のころは聴き漁ってました。
プロデューサーでいうとThree 6 MafiaのDJ PaulとJuicy Jのふたり。ホラー映画やゲームとか、いままでサンプリングされてこなかったジャンルからネタを持ってくるのも好きだし、やっぱりトラップのひとつの源流だと思うんですよね。その源流の大本は80年代後半からはあるものの、彼らが90年代から作ってきたサウンドがずっと愛されて進化して、いまでもいろんなジャンルに派生しているのを見ると、めちゃくちゃすごい影響力があるなって思います。
今後の予定と将来の展望について教えてください。
ずっと力を入れて作ってた『まぢ感謝』ってアルバムを去年出したんで、まだ大きなプロジェクトは考えてないですね。シングルのリリースは今後も続けていくと思います。
なにかでっかく“やり遂げるぞ”っていうよりは、自分がやりたいうちはマイペースに続けるっていうスタンスなんですよ。昔からずっとそうなんですけど、モチベーションは単純に好きっていうだけなんで、このまま続けていけたらうれしいっすね。『まぢ感謝』も、自分が好きで聴いてきたヒップホップを自分なりに表現して作った作品。リリース通りのジャケが緑、赤、紫、灰色の順でまだ聴いてない人は聴いてくれたら、まぢ感謝です。
👉Lil'Yukichiインタビュー『モチベーションは単純にヒップホップが好きっていうだけ』