Ein Skater springt eine Reihe von Stufen herunter
© Crea-ture Studios
ゲーム

『Session: Skate Sim』レビュー:リアルなスケボーシミュレーション

『セッション:スケートシム』は現実世界だけではなくバーチャルでもライディングを楽しみたいスケートボード&ゲーミングファンのために開発されたゲームだ。
Written by Matthias Regge (@PrinnyTonic)
読み終わるまで:8分公開日:
エクストリームスポーツというビデオゲームジャンルは前世代機で大きく様変わりし、シンプルなアーケードからクレイジーなアクション、そしてシミュレーションへと移り変わった。その中で、スケートボードゲームが復活の兆しを見せて往年の人気を取り戻しつつあり、私たちの手元には数多くのタイトルが届くようになっている。
『Session: Skate Sim / セッション:スケートシム』(以下、『Session』)もそのような作品のひとつで、非常にリアルな操作方法と素晴らしいスケートスポット群が最大のセールスポイントだ。
01

3年間の早期アクセス

『Session』はいきなりリリースされた新作ではない。この作品は3年前から早期アクセス版が存在していた。
これを経て、2022年9月に待望の製品版がリリースされたのだが、こちらは早期アクセスが展開されていたPC版だけではなく、コンソール版(Xboxシリーズ & PS4 / 5)でもリリースされた(編注:PC版は日本語対応済み。日本語対応PS4/5版は12月1日リリース予定)。
この作品の存在が明らかになって以来、スケートボードゲームというジャンルには様々な動きが起きていた。そのひとつがEAの『Skate』シリーズ4作目『skate.』の開発だが、『Session』はこのシリーズを下敷きにしている作品だ。『Skate』シリーズと同様のゲーミングエクスペリエンスを求めているプレイヤーたちを取り込むことが『Session』の目的だった。
また、最近はEA以外の企業も同じようなゲームの開発に取り組んでいる。そのひとつが『Skater XL』だ。この作品は『Session』がまだ早期アクセス版をリリースしていない時点から、『Session』の直接的なライバルとして扱われていた。
さらには『Tony Hawk’s Pro Skater』シリーズも最初の2作をリニューアルしてまとめた作品をリリースしている他、もう少しカラフルでポップな雰囲気を求めている人のための『Olli Olli』シリーズも存在する。
このような選択肢がある中で、『Session』は自分のポジションを見つけられるのだろうか? この作品の決定的な違いはどこにあるのだろうか?
02

アナログスティック2本で操作

『Session』の重要な特徴はタイトルに含まれている。この作品の正式名称は、開発スタート時の『Session』から『Session: Skate Sim』へと変更されている。そう、「スケートボード・シミュレーション」が、開発を担ったCrea-ture Studiosの狙いなのだ。
言い換えれば、『Session』はボタンを押せばオーリーがメイクできるようなビデオゲームではないのだ。その代わりに、コントローラーのアナログスティック2本を自分の両足に見立てて操作しなければならない。
『Session』では左スティックが左足、右スティックが右足を担うため、たとえば、レギュラースタンスでオーリーをメイクするためには、右スティックを後方に、左スティックを前方に倒さなければならない。この作品では、現実世界のトリックメイクと同じ動きをスティックで操作しなければならないのだ。
スケートボードに乗った経験がない人は指を忙しなく動かすことに振り回されるかもしれないが、スケートボード経験者なら操作方法を確認しなくてもキックフリップヒールフリップショービットなどをすぐにメイクできるようになるだろう。ちなみに、グーフィースタンスはすべてが逆になる。
キックフリップもアナログスティック2本でメイク

キックフリップもアナログスティック2本でメイク

© Crea-ture Studios

だからといって、『Session』は “初心者お断り” のゲームではない。この作品には5段階の難易度が用意されており、難易度が操作方法に影響するようになっている。
レーシングゲームの難易度設定をイメージするのが良いだろう。レーシングゲームでは難度を高めるとエイド系が使用できなくなる。『Session』でも最高難度ではプレイヤーがすべてをコントロールできるようになるが、ゲーム側からは何の助けも得られなくなる。ここはライバルとされる『Skate XL』との大きな違いのひとつだ。
『Session』では自分の操作がライディングに非常に大きな影響を与えるようになっている。自分でエアの方向を指定したり、フリップの回転速度を高めたりできるのだ。そして何よりも重要なことに両足でトリックを “キャッチ” する感覚も得られる。
EAの『Skate』シリーズが大好きだったプレイヤーのために、『Session』は『Skate』シリーズの操作方法も選択できるようになっている。新しい操作方法を学ぶのが面倒くさいと思っている『Skate』シリーズファンにとってはありがたい仕様だ。ただし、この操作方法を選択すれば『Session』独自のゲーミングエクスペリエンスの一部が失われることになる。

25分

スケートボード ABC

あらすじ: スケートボードは人によって印象が異なるが、スケートボーダーにとっては自己表現の手段だ。 “歩道のサーフィン” と呼ばれていた時代に活躍したパイオニアから近年のトップライダーまで、スケートボードの歴史を紐解く。【過酷なスポーツの基本(シーズン1/日本語字幕)】

日本語 +9

03

スケーターのためのゲーム

『Session』は最初からスムーズにプレイできるようになるゲームではないが、難易度を下げる前にしばらく努力する価値は十分にある。なぜなら、このゲームは「できるようになるまで練習する」を重視しているからだ。
つまり、プレイヤーはパーフェクトなラインが取れるようになるまで同じスポットを何回か訪れる必要があるのだが、このアプローチは、開発チームがスケートボードというスポーツを非常に深いレベルで理解していることを示している。
現実世界のスケートボードは "プロセスがすべて" だ。少しずつできるようになることがこのスポーツの楽しさであり、楽しさが感じられるようになれば新しい可能性が見えてくる。たとえば、オーリーがメイクできるようになれば、次は縁石や障害物を飛び越えてみようと思うようになる。
メイクできるトリックが増えるたびに、自分が進歩するたびにクリエイティビティが刺激され、自分らしい何かを生み出せるようになるのがスケートボードというスポーツなのだ。
トリックをパーフェクトにメイクできるようになるまでは練習が必要

トリックをパーフェクトにメイクできるようになるまでは練習が必要

© Crea-ture Studios

そしてこれこそが『Session』のゲーミングエクスペリエンスだ。このゲームにスコアや収集するアイテムは存在しない。存在するのはゲームワールドとスケートボードだけで、この作品をどのようにプレイするかはプレイヤー次第だ。
このアプローチに魅力を感じることができれば、現実世界のスケーターと同じように特定のスケートスポットで何時間も過ごしながら、美しいクルックドグラインドからノーリーショービットのメイクを狙うようになるだろう。現実世界との唯一の違いは、怪我のリスクがないことだ。
04

ストーリー&サウンドトラック

『Session』はいわゆるサンドボックス型だが、その最大のメリットは非常に興味深いマップが用意されている美しいゲームワールドにある。収録されているスケートスポットの一部は現実世界の有名スポットをベースにしており、ニューヨークシティの “Black Hubba” を彷彿とさせるスポットなどが確認できる。
そして、このような現実世界のトップライダーたちがライディングしてきた有名スポットでのトリックメイクに成功すると、彼らのラインをなぞれるようになる《ヒストリカルチャレンジ》がアンロックされる。

5分

Greetings From: New York City

A ride around one of the best cities to skateboard in the world, New York City.

しかし、残念なことに、『Session』に収録されている都市群は “作りもの” 感がやや強い。『Session』はスケートボード・シミュレーションなので、プレイヤーが天候と時間や通行人の数を自由に変更・設定できるのだが、このような自由度がプレイヤーとゲームの間に距離を作ってしまっている。『Session』では「作品の中にいる」感覚がどうしても得られないのだ。
しかし、この問題はそこまで致命的ではない。なぜなら、『Session』は多様なスケートスポットで自分のクリエイティビティを解放することを楽しむゲームだからだ。
エキサイティングなスポットが多数収録されている

エキサイティングなスポットが多数収録されている

© Crea-ture Studios

それにもかかわらず、開発チームはこの作品にストーリーを盛り込む必要性を感じたようだ。ストーリーは早期アクセスの後期に追加されたこともあり、微々たるものだ。これは新規プレイヤーを引きつけるための施策だったのかもしれないが、残念ながら、彼らを引きつけられるほど魅力的ではない。
しかし、幸運なことに、ストーリーを抜いても『Session』にはプレイする価値が十分にある
この作品のグラフィックスは申し分なく、開発が始まった頃と比べると大幅に向上している。また、サウンドトラックも十分なクオリティで、ライディングとの相性も良い。しかし、当然ながら『Tony Hawk’s Pro Skater』のサウンドトラックの高みには達していない。
簡単ではないがのめり込めるスケートボード・シミュレーションをプレイしたいなら、または現実世界でもスケートボードを楽しんでいるなら、『Session』は “マスト” な1本だ。コンテンツも『Skater XL』より充実しており、MODが使用できないコンソール版では特にそう感じるはずだ。
『Session: Skate Sim / セッション:スケートシム』はPC版が現在発売中。日本語対応PS4/5版は12月1日にリリース予定。
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