スキー
【スキークロスとは?】最もアグレッシブなウィンタースポーツを知る
スピードとジャンプ、みなぎるアドレナリン、そして何よりも競争を好む人にとって、スキークロスは最適なスポーツかもしれない!
スキーは楽しいが、全力でポジションを守り、ライバルをコースから押し出すことができればいいのにと思ったことはないだろうか? 答えがイエスならスキークロスがおすすめだ。この競技なら、思い切り競い合える環境でその闘争本能を発揮できるだろう。
そこで本記事では、スイス出身で複数回のスキークロスチャンピオンに輝いた実績を持つファニー・スミスによる賢明なアドバイスを含めたスキークロスの概要・始め方について紹介する。
01
スキークロスとは?
1990年代初頭、スノーボーダーたちがモトクロスやBMXスポーツの競技フォーマットを雪上へ持ち込み、ボーダークロスを誕生させた。
人工のコース上でライダー4人が同時にスタートしたあと、様々なジャンプ、ウェーブ、そしてバンク(傾斜)付きのターンをクリアしながらフィニッシュラインを目指し、勝敗は各ヒートの最速ライダー2名が次のラウンドへと進むノックアウト方式で決められる。
そして1998年から、国際スキー連盟(FIS)がこれと同じフォーマットを採用して、フリースタイル種目としてスキークロス・ワールドカップの開催をスタートさせた。
競技者と観戦者にとってのスキークロスのユニークな魅力は、ベストポジションを巡る肉弾戦だ。ゲレンデで友人たちとレースの真似事をしたことがある人なら、誰もがそのスリルを知っているだろう。
コースデザインは、レースに応じて様々なスロープに合わせて調整される。ランは35〜75秒で終わり、コース全長は最長1,200mとなる。
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スキークロスに必要な装備
スキークロスに最も適しているのは、ジャイアントスラローム(大回転 / GS)用のスキー板だ。スキーヤーの身長にもよるが、ジャイアントスラローム用のスキー板の長さは178cm〜194cmとなる。スキー板の幅とラディウス(回転半径)は純粋に個人の好みで、FISの公式レギュレーションでもスキー板の幅とラディウスについての規定値は一切存在しない。
スキークロス用のスキーブーツは、通常のスキーブーツに比べてシャフト(すね部分)の柔軟性が大幅に高められている。より柔軟なブーツにより、ジャンプや荒れた着地、それにバンプでのコントロールがしやすくなる。
フルフェイス仕様も存在するヘルメットは、すべてのレースで着用が義務付けられている。背面用プロテクターの着用義務はないものの、背面用プロテクターを着用せずにレースに参加するスキークロッサーはほぼいない。レース中はクラッシュや衝突が頻繁に起こるため、プロテクター着用は理に適っている。
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スキークロスのレース戦術
スキークロスでは良いスタートが非常に重要だ。最初の急角度コーナーに到達するまでに、小さなジャンプやローラー(バンプ)がある70m〜90mの距離をスキーしなければならない。スタート直後に前に出て、トップか2番手でこのコーナーに飛び込めれば、ポジションを守りやすくなる。また、スタートで前に出れば、ポジション争いでクラッシュに巻き込まれるリスクも少なくなる。
レースは特設スタートゲートが始点だ。ライダー4人がここにほぼ同条件で並び、「Skiers ready – attention(スキーヤーズ・レディ… アテンション)」を合図に、0.5〜4秒でランダムに開くフラップが落ちるとレーススタートとなる。
スタートゲートでのスキークロッサーたちはいわゆる “ハンドルバー” に掴まり、フラップが落ちた瞬間にカタパルトの要領でゲートから飛び出す。十分な腕力があれば、素早くスピードに乗ることができる。
最高のスタートを狙いたいですが、スタートを失敗しても絶対に諦めないことです。フィニッシュするまでがレースですから
スタートが重要とはいえ、これだけでレースが決まるわけではない。スキークロスのレースでは戦略も重要で、ほとんどのスキークロス用コースにはオーバーテイクを仕掛けるチャンスが数多く存在する。
レースをリードしているなら、コースのレーシングラインをなぞるようにして、ジャンプではリスクを冒さないようにするのがよい。しかし、慎重になりすぎるのもNGだ。なぜなら、安全に進めていると後方のライバルたちがあっという間に差を詰めてくるからだ。
「反応スピードと爆発力が重要です。オフシーズンでは、これらの能力の向上に努めています」とスミスは語り、さらに続ける。
「最高のスタートを狙いたいですが、スタートを失敗しても絶対に諦めないことです。フィニッシュするまでがレースですから」
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ファニー・スミスが教える「スキークロス初心者が心がけるべき3つのポイント」
- スキー中はできるだけコンパクトな姿勢を保ち、無駄のないジャンプテクニックと空気抵抗を意識する。
- 恐怖心を捨てる。最初は「言うは易し行うは難し」かもしれないが、自分の能力を信じよう。
- コースと一体になれるように積極的に身体を動かし、障害物を巧みに活用してスピードアップに繋げるよう心がけよう。
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スキークロスに求められるフィットネス
スキークロスではスタミナとストレングスが重要なファクターだ。ファイナル進出までは1本60秒強のランを4〜5本消化しなければならないので、優れたフィットネスが必要になる。他のスキー競技と同様、大腿部の強靭な筋肉と優れたバランス感覚は不可欠だ。
スキークロスではスタートが極めて重要なため、プロは上半身・肩・腕の筋肉も集中的にトレーニングしている。スタートではスピードとストレングスが特に重要だ。優れた体幹の筋肉は、転倒の怪我から守ってくれる。
「6月から11月にかけて、私は65%の時間をストレングスとフィットネスのトレーニングに割いています」とスミスは語る。
スキークロスに真剣に取り組みたいなら、優れたスキーヤーになるのと同時にジムトレーニングを楽しむことも必要なのだ。
06
スキークロスコースを備えたスキー場は?
一部のスキーリゾートは、スキークロスまたはボーダークロス用コースが設定されたスノーパークを擁している。スキーリゾートによってはウェブサイト上で「クロスパーク」として紹介されている。
そのため、友人たちとスキークロスにトライしてみたい人は、このようなスノーパークやクロスパークを備えたスキーリゾートを探してみるのがベストだ。スキーリゾートのウェブサイトにはパークの設定や、スキークロス / ボーダークロス / クロスパークコースなどの付帯設備に関する情報がまとめられている。
日本国内では、日本スキー連盟や長野県スキー連盟が主催するスキークロス体験会が毎冬行われているので、各団体のウェブサイトを検索してみるとよいだろう。
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