On 11 July 2025 in Heerenveen, speed skater Kjeld Nuis trains with team-mates.
© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool
スピードスケート

スピードスケートとは?:歴史・ルール・基本情報

歴史・特徴・種目・見どころ・注目選手など、スピードスケートのすべてを紹介!
Written by Natalie Hamingson
読み終わるまで:10分Updated on
「アイススケート」という単語から最初に思い浮かぶのは重力を否定するアクセルジャンプと美しいスピンかもしれない。しかし、「アイススケート」に「速さ」を足せば、誰の頭にもスピードスケートが思い浮かぶだろう。
スピードスケートは長い歴史を持つスポーツで、13世紀にスカンジナビア半島で誕生したが、今も氷上で最も大きな興奮が得られる(観客の場合は最も大きなスリルが得られる)スポーツのひとつとして高い人気を維持している。しかし、実はよく知らないという人が多いのではないだろうか? そこで今回は、その歴史やデータ、トップアスリートなどに踏み込んだガイドを用意してみた。
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スピードスケートとは?

笑顔で準備を進めるキエルド・ナウシュ

笑顔で準備を進めるキエルド・ナウシュ

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

スピードスケートとは、名前が示している通り、氷上で行われるレースだ。スケーターたちは楕円形のスケートリンクを走行し、個人またはチームリレーでの勝利を目指す。また、スピードスケートは短距離・長距離のレースが存在する。
短距離(ショートトラック)は誰よりも先にゴールすることが目標だが、長距離(ロングトラック)は誰よりも短時間でゴールすることが目標(タイムトライアル)となる。
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スピードスケートの歴史

スピードスケート史上最速記録に挑んだキエルド・ナウシュ

スピードスケート史上最速記録に挑んだキエルド・ナウシュ

© Jarno Schurgers

スピードスケートはスカンジナビア半島オランダにルーツを持つ。遊びとしてのスピードスケートは13世紀頃に始まったと言われているが、最初のレースが記録されたのは1676年だ。公式大会が始まったのは18世紀ノルウェーだが、1924年までにスピードスケートは大きな人気を獲得し、“世界” の正式競技となった。
1960年代にショートトラックが加わるまで、スピードスケートの種目はロングトラックだけだったが、国際スケート連盟(ISU)が1976年にショートトラック大会を初開催すると、1992年にはこちらも “世界” の正式競技となった。
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スピードスケートの速度

練習でチームを牽くユープ・ベンネマルス

練習でチームを牽くユープ・ベンネマルス

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

「スピードスケーターたちがリンクを滑走している」という表現は、彼らのスピードを正しく表現できていないように思える。通常、ショートトラックのスピードスケーターたちは時速48km、ロングトラックのスピードスケーターたちは時速35kmで滑走している。
さらに言えば、現時点でのスピードスケート世界最速記録はこの倍以上となる時速103kmで、2022年にキエルド・ナウシュが、自身が保持していたそれまでの世界記録時速93kmを大幅に更新して達成した。
キエルド・ナウシュのドキュメンタリーをRed Bull TVでチェック!

12分

キエルド・ナウシュ

スピードスケート史上最高速度を記録したオランダ人アスリートに迫る

日本語 +6

では、このような高速スケーティングはどのように実現されているのだろうか? スピードスケードの速度には複数の要素が含まれている。
まず、スピードスケーターたちのスケート靴の細いブレードは、陸上競技のランナーたちが土や舗装路で使用しているランニングシューズのゴム底よりも摩擦が少ない。勢いを殺してしまう面積が少ないため、スピードスケーターたちはかなり高いスピードを出せるのだ。
また、プロスケーターたちは空力性能が最適化されているスーツを着用することで摩擦をさらに減らしている。そして、これは古くから使用されているテクニックだが、スピードスケーターたちはスタート時に強力な踏み出しと助走をして加速している。リンクの形状もスピードに求心力を加えることに役立っている。
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スピードスケートに求められるフィジカル

キエルド・ナウシュはウエイトトレーニングも取り入れている

キエルド・ナウシュはウエイトトレーニングも取り入れている

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

スピードスケートの速さはハードワークなしには得ることができない。スピードスケーターたちは、レースでの勝利に不可欠な3項目 “筋力・持久力・柔軟性” を同時に手に入れるべく、スケートリンク内外でトレーニングを積んでいる。
そのカギとなるのは「多様性のあるトレーニングルーティン」の構築だ。スピードスケートのような全身運動のための肉体を手に入れたいなら、頭からつま先までのあらゆる筋肉群を鍛えていく必要がある。
ロングトラックのスピードスケーターたちはスタミナが特に重要になってくるので、プロスケーターたちのトレーニングスケジュールにはロングランバイクライドが組み込まれるときが少なくない。
エンジェル・デールマンはバイクライドでスタミナを強化

エンジェル・デールマンはバイクライドでスタミナを強化

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

また、彼らのレベルの速さを維持するためには、優れた筋力が必要になるので、筋肉量を増やせるデッドリフトスクワットのようなエクササイズにも取り組んでいる。シングルレッグ・スクワットもコーナーリングのマッスルメモリを構築するのに効果的だ。
レースのテクニックを磨くドリルに取り組むことも重要だ。シングルレッグ・スクワットを乾いている床で問題なくできるようになったあとは、氷の上でも試してみよう。最初はリンクの壁に掴まりながらでも問題ない。
パワープッシュ系ドリルも正しい姿勢の練習に最適だ。両肩をまっすぐに保ち、重心を腰に置いておかなければ、スピードを得ることはできない。コーンを使用したスラローム系ドリルも、クイックなターンや体重移動に慣れるのに役立つ。
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スピードスケートの種目

コーチのエルベン・ベンネマルスからアドバイスを受けるナウシュ

コーチのエルベン・ベンネマルスからアドバイスを受けるナウシュ

© Daniel Tengs

タイプとルール

近年の世界レベルのスピードスケートはショートトラック9種目ロングトラック14種目で構成されている。ショートトラックの内訳は個人男子4種目個人女子4種目男女混合リレー1種目で、1ヒートは4〜8選手によるマススタート(同時スタート)となる。
1レースは複数のヒートで構成されており、各ヒートの上位が次のヒートへ進出する。たとえば、1992年の個人女子500mで優勝したキャシー・ターナーは、決勝まで500mのヒートに複数回出走した。
一方、ロングトラックは各種目の当該距離を1回滑走するだけだ。
個人男子は500m〜5,000mまでの5種目で、個人女子も500m〜3,000mまでの5種目が用意されている。これらはすべて2人1組でヒートが組まれる。これらの個人種目合計10種目の他に、マススタート(男子・女子)チームパシュート(男子・女子)の4種目を加えて14種目となっている。どの種目もタイムトライアルのため、最速タイムを記録した選手が勝者となる。タイムは1/100秒まで計測される。

女子スピードスケート

夏季もトレーニングを積む

夏季もトレーニングを積む

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

スピードスケートは1924年から “世界” で競われてきたが、女子が正式種目となったのは1960年で、このときはドイツ出身のヘルガ・ハーゼ女子初優勝を記録した。1964年にはリディア・スコブリコーワ女子全種目優勝を記録。この記録は今も破られていない。以降、女子スケーターたちは素晴らしい成績とともに後進たちにインスピレーションを与え続けている。
エンジェル・デールマンのドキュメンタリーをRed Bull TVでチェック!

9分

エンジェル・デールマン

オランダスピードスケートシーンの次世代アイドル、エンジェル・デールマン

日本語 +7

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スピードスケートの用具・装備

どれだけハードにトレーニングを積んでも、筋肉だけでは勝てない。正しい装備がなければ、コーナーを攻めたり、スピードを出したりすることはできないのだ。
近代のスピードスケート用スケート靴は最先端技術が集結している

近代のスピードスケート用スケート靴は最先端技術が集結している

© Jarno Schurgers/Red Bull Content Pool

  • ブレード:スピードスケートは安定性を高めるためにブレードが高くなっている。ロングトラックのスケーターたちはより長いストライトで最大限のサポート力を得たいため、ブレードの長さは40〜50cmとなっている。また、ブレードがヒンジ式となっているため、踵を浮かせてもブレードを氷面に着けたままにできる。ショートトラックのスケーターはストライドが短いため、ブレードの長さも30〜45cmと短めになっている。
  • スケート靴:スピードスケート用のスケート靴はカーボンファイバー製で、グローブのようにフィットするようになっている。踵部分は硬いが、他の部分は快適な着用感が得られるようになっている。
  • スーツ:スーツは空気抵抗の削減が目的のため、身体にピッタリと合うフィット感が特徴だ。また、この空力を重視したスーツには頭部にかぶせるフードや両手の親指に通すサムループなど、空気抵抗を最大限まで減らすための様々な工夫が施されている。
  • 安全装備:超高速で滑走するスピードスケートでは安全装備が必須だ。その中で最も重要なものがヘルメットだ。また、ゴーグルやサングラスも風で目が渇き、視界トラブルの防止に役立つ。
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スケートリンクの大きさ

スピードスケートオランダ選手権

スピードスケートオランダ選手権

© Jarno Schurgers/Red Bull Content Pool

ロングトラック用スケートリンクは全長400mだ。非公式のイベントやトレーニングは250mを含むより小さな周回のリンクで行われるときもあるが、これらはすべてISUの基準に達していない。全長400mのスケートリンクでは、コース幅4mに収まりながら半径約25mのコーナーを旋回していく。
一方、ショートトラックの全長は約111mで、フィギュアスケートやホッケー用リンクと同じだ。ショートトラックはレーンに分かれていないが、すべてのコーナーの内側にマーカー7個が配置されている。
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海外有名選手

キエルド・ナウシュ

専用シールドで世界記録を更新したキエルド・ナウシュ

専用シールドで世界記録を更新したキエルド・ナウシュ

© Daniel Tengs/Red Bull Content Pool

2018年にナウシュはスピードスケート世界最速記録を更新したが、時速90km付近で緊張感が高まった。実は、このスピードに達するとスケートをコントロールするのが難しくなったのだ。しかし、このとき、本人は「危険なものほど美しい」と表現した。このアプローチは、ナウシュがその4年後に新記録更新に成功した背景と言える。しかも、この記録更新は彼の素晴らしいキャリアの一部に過ぎない。
オランダ出身のナウシュは7歳でスピードスケートを始めると、すぐにスケーターからコーチへ転身したあといくつもの成功を手にしてきたジャック・オリエが率いる名門チーム “Brand Loyalty” に所属。その直後に世界選手権で2位・3位を記録したナウシュは、その後は優勝も手にしていき、これまでに世界の頂点に3度立っている他、世界選手権優勝4回ワールドカップ優勝36回を記録している。

ユープ・ベンネマルス

8分

ユープ・ベンネマルス

世界距離別スピードスケート選手権男子1000mなどを制して独自のキャリアを築きつつあるスピードスケートシーンのサラブレッド

日本語 +6

ユープ・ベンネマルスのキャリアは2021年に始まったばかりだが、リンクの上と同等のスピードで評価を高めてきた。デビュー1年後の2022年に世界ジュニアスピードスケート選手権優勝すると、同年末にはワールドカップデビューを飾り、ディヴィジョンBからディビジョンAに昇格する活躍を見せた。
あらゆる距離に対応できるスピードと持久力を備えているオランダ出身のベンネマルスだが、最も得意としているのは5,000mだ。

エンジェル・デールマン

オランダ女子スピードスケートシーンの未来を担うエンジェル・デールマン

オランダ女子スピードスケートシーンの未来を担うエンジェル・デールマン

© Rutger Pauw/Red Bull Content Pool

“今最も注目したい選手” に数えられるエンジェル・デールマンは、最も大きな期待も上回る素晴らしい活躍を見せてきた。オランダはスピードスケート大国として知られ、多くのスタースケーターがその歴史に名を連ねているが、デールマンの若さでジュニアワールドチャンピオンを輩出したことはなかった。2023年、彼女はわずか15歳327日ジュニアワールドチャンピオンに輝いたのだ。
以降、ジュニアカテゴリーのほぼすべての種目を制してきたデールマンは、現在はワールドカップのエリートスケーターのひとりとなっている。
09

最後に

スピードスケートは世界最古のウィンタースポーツのひとつかもしれないが、今もその魅力は色褪せていない。ロング、ショートを問わず、現代のスピードスケーターたちは限界をプッシュしながら、世界中のファンにインスピレーションを与えている。ナイシュがまた世界最速記録を更新する可能性も十分に残されているスピードスケートのこれからに注目しよう。
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