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2019年12月22日に日本・愛知で開催されるRed Bull Kumite 2019と共にまたもやエキサイティングだった『ストリートファイターV』の1年が終わりを迎える。
『ストリートファイター』シリーズの歴史やRed Bull Kumite招待プレイヤーの経歴などについてはすでにいくつかの記事で軽く振り返ってきたが、このゲームのトーナメントシーンでは、1990年代初頭の『ストリートファイターII』時代 - ローカルアーケード最強を決める戦いが海を越えた戦いへと急速に発展していった時代 - からトッププレイヤーたちによる数多くのクラシックマッチが記録されてきた。
そこで今回は、格闘ゲームコミュニティを今の姿にまで成長させたアイコニックな “バトルモーメント” をいくつかピックアップして紹介する。
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1:ウメハラの海外デビュー
日本人プレイヤーのウメハラについてはもはや説明する必要がない。『ストリートファイター』シリーズを通じて数多のトップリザルトを残してきた彼は、その容赦ないプレイから海外では “The Beast” と呼ばれている。
しかし、1998年のウメハラはまだあどけなさが残る少年だった。そしてこの年、ウメハラはカリフォルニア州サンノゼへ向かい、全米王者(そして現在は格闘ゲームコミュニティのレジェンドのひとりに数えられている)Alex ValleとCapcom主催の『ストリートファイターZERO3』世界一決定戦に臨んだ。
Valleと米国人プレイヤーたちの間で、当時のウメハラはただの “知らない奴” だった。日本のアーケードはレベルが高いという噂は流れていたが、YouTubeが存在しなかったこの時代、西海岸で活動していた米国人プレイヤーたちは太平洋の向こう側について何も知らなかった。
「日本人のガキがどれだけやれるのか見てやろうかじゃないか?」 - 彼らはこう思っていたのだが、蓋を開けてみれば「超やれる」ことが明らかになった。
当時豪鬼をメインに据えていたウメハラはアグレッシブなValleのリュウを逆転で下し、世界一の称号を手にすると同時に全プレイヤーの目標になった。
それから20年以上の月日が経った今も、ウメハラは格闘ゲームコミュニティ最大の目標であり続けている。
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2:EVO Moment #37 / 背水の逆転劇
EVO 2004の『ストリートファイターIII: Third Strike』トーナメントのセミファイナルで実現したウメハラとJustin Wongの対戦は “EVO Moment #37” として親しまれている。
しかし、正直に言わせてもらえれば、“EVO Moment #1” として記録されるべきだろう。なぜなら、海外を中心とする『ストリートファイター』シリーズプレイヤーの多くがアーケードに通い始めたきっかけとしてこの動画を挙げているからだ。
ニューヨーク出身の神童だったWongはウメハラに対して有利にラウンドを進めており、春麗でウメハラのケンを押し込んでいた。ウメハラのケンはゼロドットで、たとえ上手くガードしても削りダメージでWongにラウンドを奪われてしまう状態だった。
しかし、ここからがウメハラだった。Wongがウメハラに引導を渡すべく春麗の “スーパーアーツ” を発動させると天才が爆発した。
ウメハラはWongの16連打スーパーアーツをガードではなくブロッキングですべてしのいだのだ。ブロッキングは削りダメージを受けない代わりに細かいタイミングでの入力が必要になる『ストリートファイターIII』独特のシステムで、つまり、ウメハラはシビアなタイミングの入力を16連続成功させる必要があったのだが、天才はこのチャレンジを見事クリアして大逆転勝利を収めた。
映画『マトリックス』のあの “バレットタイム” を現実世界で再現したウメハラのスキルがどれだけ優れていたのか、そしてこの動画がどれだけアイコニックなバトルモーメントなのかは、観客の反応を見れば分かるだろう。
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3:日米レジェンドの再戦
“EVO Moment #37” から5年後、EVO 2009でウメハラとWongは再び顔を合わせたが、この『ストリートファイターIV』トーナメントのグランドファイナルは非常に大きな意味を持っていた。
このトーナメントは、Capcomが久々にアーケードと家庭用ゲーム機の両方で展開した正規ナンバリングタイトル『ストリートファイターIV』初のEVOで、さらにはウメハラ復活の瞬間を演出したからだ。
実は、格闘ゲーム史に残る “背水の逆転劇” からこの再戦までの数年、ウメハラは格闘ゲームシーンから姿を消していた。
麻雀の世界に身を置いていたウメハラはその残酷さに嫌気が差し、ゲームを含む “勝負” そのものから完全に身を引いて介護士として働いていたのだが、この最新作のリリースと共に格闘ゲームコミュニティへ戻ってきていた。
シリーズ最新作に合わせた復活、世界最大の格闘ゲームトーナメントでのグランドファイナル進出、最強のライバルとの再戦が重なったこの瞬間は、ただのアイコニックモーメントではなかった。ウメハラにとってこの瞬間は運命だった。
そして当然ながらウメハラはこの再戦も制した。Wongをルーザーズに落としたウメハラはそのあとも最後の最後のラウンドでWongを倒し、EVO王者に輝いた。
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4:Infiltrationのハカン
多くの格闘ゲームプレイヤーはメインキャラクターの他にサブキャラクター(ポケットピック)を用意している。
しかし、EVO 2013の『スーパーストリートファイターIV:アーケードエディション』トーナメントのルーザーズセミファイナル対PR Barlog戦で韓国人トッププレイヤーのSeonwoo “Infiltration” Leeがピックしたハカンほど予想外でエキサイティングだったサブキャラクターはいない。
InfiltrationはEVO 2012王者で、PR Barlogより地力は上だったのだが、2日前にルーザーズに落とされるなど、このトーナメントを通じてPR Barlogに苦戦を強いられていた。そしてこの再戦でもPR Barlogに先手を取られ、彼のアグレッシブなバイソンにInfiltrationの豪鬼は追い込まれていた。
しかし、ここでInfiltrationは元祖油王ことハカンをピック。ハカンは当時弱キャラクターと見なされており、トーナメントではほとんど姿を見ることはなかったのだが、InfiltrationはこのレアキャラクターでPR Barlogに立ち向かうと、ハカンの投げを強力なカウンターとして機能させて3-2の逆転勝利を収めた。
Infiltrationはルーザーズファイナルでときどに敗れたものの、見事3位でフィニッシュした。
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5:ボンちゃんのRed Bull Kumite 2015優勝
伝統的なスポーツのトーナメントの大半で “ノックアウト / シングルエリミネーション” 方式が採用されているため、格闘ゲームのトーナメントシーンをよく知らない人は、このシーンの多くのトーナメントで採用されている “ダブルエリミネーション”方式に多少混乱を覚えるのかもしれない。
しかし、1回負けてもトーナメントに残れるこのフォーマットはアイコニックなカムバックを演出してくれる。格闘ゲームシーンがこのフォーマットを好んで採用しているのはそれが理由だ。
Red Bull初の『ストリートファイターIV』トーナメントとなったRed Bull Kumite 2015に出場した日本人プレイヤーのボンちゃんはその “セカンドチャンス” を最大限活かした。
ルーザーズからまるでおとぎ話のようにグランドファイナルまで一気に駆け上がったボンちゃんは、長年の友人でありライバルでもあるときどに勝利してビッグタイトルを獲得した。
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6:Problem XのEVO 2018制覇
英国の格闘ゲームシーンは優秀な『ストリートファイター』プレイヤーを輩出してきた歴史があり、特に格闘ゲームのエキスパートでEVO制覇の経験を持つRyan Hartは世界的知名度を誇っている。
しかし、『ストリートファイターIV』時代は英国のシーンにとっては “暗黒時代” に等しく、この時代の英国人プレイヤーはインターナショナルレベルで大きな結果を残すことはできなかった。この流れを変えるきっかけとなったのが『ストリートファイターV:アーケードエディション』のリリースと、EVO 2018でのBenjamin “Problem X” Simonの活躍だった。
Problem XはCapcom Cup出場経験も持つベテランプレイヤーだったが、大舞台の “後半” まで残ることができていなかった。しかし、この年のProblem Xと相棒ベガはウィナーズを駆け上がり、グランドファイナルで連覇を狙うときどを倒して優勝した。
優勝決定後の彼の姿を見れば、この勝利が本人と英国の格闘ゲームコミュニティにとってどれだけ重要だったのかが理解できるだろう。
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