アレクサンダー・ロンチェヴィッチはワルシャワで世界初の52分切りを達成して優勝すると同時にHYROXの可能性も再定義した。
33歳のオーストリア人アスリートは51分59秒37でフィニッシュし、HYROX史上初の52分切りに成功した。それまでの世界記録を約45秒も短縮したロンチェヴィッチは、6月にスウェーデン・ストックホルムで開催される世界選手権を前に “倒すべき目標” という評価を再び獲得した。
レース後のインタビューで、ロンチェヴィッチは「もちろん、世界記録保持者に戻れたのは嬉しいです」とコメントした。
ハンブルクで世界記録となる53分15秒を記録してシーズンをスタートさせたロンチェヴィッチだったが、数週間後にロンドンでオランダ出身のヒッデ・ウィールスマが更新していた。そしてワルシャワでロンチェヴィッチが再更新に成功。同時にHYROXの新基準を打ち出すことにも成功した。
しかし、本人はいつも通り特に記録は狙っていない。「メジャーでは勝利を目指すだけです。タイムはそこまで気にしていませんが、もちろん、嬉しいですよ」
メジャーでは勝利を目指すだけです。タイムはそこまで気にしていません
HYROXワルシャワ
シーズン最後のメジャーイベントとなったワルシャワは最初からハイペースだった。
イングランド出身のルーク・グリアがハイペースで序盤をリードしたが、ロンチェヴィッチは集中を切らさず続き、現ワールドチャンピオンのドイツ人ティム・ヴェニッシュとの差を広げていった(ヴェニッシュは最終的に4位でフィニッシュ)。スキーエルゴに向かうまでにロンチェヴィッチはヴェニッシュの前で完全にペースを掴み、徐々に集団に差をつけていった。
そこから先は入れ替わりの激しい展開となった。ロンチェヴィッチがスレッドプッシュとスレッドプルで最速を刻みながらレースをコントロールしていったが、独走状態には入れなかった。ここでHYROX新世代アスリートのひとり、セバスチャン・イヴァセンがプレッシャーをかけ始め、バーピーブロードジャンプでは一時的にリードさえ奪ってみせた。
イヴァセン vs. ロンチェヴィッチ
レースの折り返しでは、まだどちらが勝ってもおかしくない状況で、ロンチェヴィッチとイヴァセンはローイングで激しく競り合った。しかし、最後にロンチェヴィッチがリードを奪うと、そこからは彼のペースだった。ファーマーズキャリーで大差をつけたロンチェヴィッチは、世界記録更新ペースからはわずかに遅れていたものの、そのチャンスが残っていることを理解していた。
「52分切りが可能に思えたので、終盤に少しペースを上げました」と振り返るロンチェヴィッチは最後のランとウォールボールでペースアップ。ウォールボールのスプリット3分29秒はこの日最速だった。他のライバルたちも迫っていたが、彼らが苦しむ中、ロンチェヴィッチが崩れることはなかった。
最終的に2位には52分40秒のディラン・スコット(米国)が入り、イヴァセンは3位でフィニッシュ。そして、エリート15の男子ダブルスでロンチェヴィッチがコンビを組む現ワールドチャンピオンのヴェニッシュは53分18秒の4位でレースを終えた。接戦だったが最後はロンチェヴィッチのペースに誰もついていけなかった。
「クレイジーですね。私たちはHYROX歴8〜9年ですが、若い世代がどんどん加わっていますし、ペースも上がり続けています。イヴァセンには世界選手権の出場権獲得おめでとうと伝えたいですね。世界選手権もすごい戦いになると思いますよ」
私たちはHYROX歴8〜9年ですが、若い世代がどんどん加わっていますし、ペースも上がり続けています
7回目の世界選手権へ
ロンチェヴィッチは今シーズン好調だ。ハンブルクで世界記録更新(当時)となる53分15秒を記録して2025-26シーズンをスタートさせた彼は、続くロンドンでのヨーロッパ選手権でもティム・ヴェニッシュと男子プロダブルスの世界記録を更新した(47分40秒)。今回のワルシャワはシーズン3回目の世界記録更新となる。
本人はこの活躍の要因により構造化された自分のチームを挙げており、「今はコーチを2人つけています。ひとりはランニング、ひとりはストレングスとHYROX用コンディショニングを担当しています。昨シーズンからレベルアップできている感覚が得られています」と語っている。
オーストリア・ウィーン出身の元競泳選手ロンチェヴィッチは、今回のレースで最も完成されたHYROXアスリートのひとりという評価を確実にした。次の目標は6月にストックホルムで開催される世界選手権だ。
「私にとって7回目の世界選手権になります。できる限り努力して本番を楽しみ、タイトルを持ち帰りたいです」
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!