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青学駅伝、新章へ! 4連覇に挑む新チーム、始動

箱根駅伝を“再び”4連覇。前人未到の快挙に向けて新体制の青学駅伝が始動! シン・山の神を襲名したエース黒田朝日の卒業後、誰がレースの鍵を握るのか。気になるメンバーをチェックしよう。
Written by Keisuke Honda/ Edited by Hisanori Kato
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© Kazuki Miyamae
3月に水上村で行われたRed Bullのウエルカムシュート。撮影当日は大会や別トレーニングの日程と重なり参加できない選手もいたが、4連覇の鍵を握る主力たちが顔を揃えた。
ということで、慌ただしい合間を縫ってクイックインタビューを決行! 競技の結果だけでは伝わらないプライベートな一面など、話をあちこちに脱線させながら現在の意気込みについて訊ねてみた。
01

無敗のプライドと誠実な走りで挑む最後の年

まずは新チームのまとめ役である4年生。安定したレース運びや周りを見る能力に長けた中村海斗(なかむら・かいと)と、今年の箱根4区を快走した平松享祐(ひらまつ・きょうすけ)の主将・副主将コンビから。
写真左から中村、平松

写真左から中村、平松

© Kazuki Miyamae

2024年から始まった箱根駅伝3連覇の物語。このとき、中村たちは1年生だった。先輩とともに積み上げた連勝記録を自分の代で止めるわけにはいかない。箱根無敗のままラストイヤーを迎えた重圧こそ彼らを奮い立たせる原動力。

中村海斗(なかむら・かいと)

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箱根駅伝の出場経験はない中村だがハーフマラソンなどロードレースの適正が高く、着実に成果を重ねてきた。「最後の箱根で区間賞、そして4連覇を目指します」と意気込みを語る。また、主将である中村には自分の考えや思いを周りに伝えてチームを1つにまとめるという役割がある。
「主将になって改めて実感したのは、説得力のある言葉でチームを統率する原監督のすごさです。この1年間は、監督のように説得力のある言葉とそれに見合う結果を意識しながら、青学駅伝の精神を自分なりに伝えていこうと思っています。特に、勝ちにこだわる泥臭い姿勢や粘り強さをチームに示していきたい。青学駅伝らしいキラキラと輝く印象はそこから生まれてきたことを忘れてほしくないので」

平松享祐(ひらまつ・きょうすけ)

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1年生のときから箱根駅伝に区間エントリーされている平松。しかし、2年連続当日変更(※)で交代と、くちびるを噛む結果が続く。さらに今年も当日変更で交代予定だったそう。
※ 箱根駅伝の登録人数は一校につき区間10人、補欠6人の計16人。そのなかで往路・復路最大6人、1日最大4人まで、前もって区間エントリーした選手を当日に変更できる。その理由は、体調がすぐれない選手に交代する目的のほか、主力選手がどの区を走るか事前に悟られないようにするためや、他校の状況によってエースの投入タイミングを見極める必要があるためなど、高度な戦略合戦も深く関係している。
念願の箱根初出場は不調選手の代わり。それでも平松は安定したレース運びで5区のエース黒田に襷(たすき)を繋いで優勝に貢献。ビッグチャンスを見事モノにした。そして大学生活最後の年を過ごしていく今、箱根への思いは最高潮に達している。
「箱根駅伝は多くの人に感動を届けられる憧れの大舞台。青学駅伝のメンバーとしてそこに挑めるチャンスが自分にもあることを誇りに思います。自分の人生において、箱根駅伝を走るときほど注目される瞬間はなかなかないと思うので、ベストを尽くしたいです」

鳥井健太(とりい・けんた)

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4年生の注目選手、鳥井健太(とりい・けんた)は2026年箱根駅伝の登録メンバー。箱根で圧倒的な強さを示したエース黒田を理想に掲げ、「得意な上りで4連覇に貢献したい」と意欲を高くする。中村や平松に引けを取らないベストタイムを保持する鳥井だが、これまでケガや故障に悩まされることも少なくなかった。
「4年生になって今まで以上の責任を感じています。すごく居心地がよくて大好きなチームだけど、ただ一緒にいるだけではダメ。強いレースをしてみんなを盛り上げていきたいので、ケアを入念に行いながら各大会に備えたいと思います」
02

チームの中軸を担う実力派ぞろいの3年生

長距離走のタイム上位者や大会記録保持者が数多く在籍する青学駅伝。その中でも3年生は層が厚く、日本人学生の最上位層と言われる27分台の早さで10,000mを走る飯田翔大(いいだ・かいと)や佐藤愛斗(さとう・あいと)、1年次で箱根駅伝の区間賞を獲得している小河原陽琉(おがわら・ひかる)、遠藤大成(えんどう・たいせい)、今回撮影には参加できなかった折田壮太(おりた・そうた)など、ハイレベルな走者がチームを支える。
彼らの強さの秘訣は、個々のポテンシャルが高いうえに団結力が強く、気の合う仲間でありライバルとして日頃から切磋琢磨し合える関係性を築けている点にある。

飯田翔大(いいだ・かいと)

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今年の箱根駅伝で2区を任された飯田は、すでに再来年の箱根駅伝出場に向けて具体的な目標を掲げている堅実タイプ。かと思えば、つい夜更かししてしまうほどのゲーム好きという一面も。以前ハマっていた『鳴潮』のプレイ時間はウン百時間と、青学駅伝らしいメリハリのある生活を満喫中。
「今年の箱根駅伝では、区間上位で走る選手や上級生たちの強さを肌で感じることができました。なので来年こそは日本人選手の中でトップのレース。そして再来年は留学生も含めて区間賞。段階的に設定している目標を達成するために日々励んでいこうと思います」

佐藤愛斗(さとう・あいと)

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1年生のときから箱根駅伝の登録メンバーに選ばれている佐藤。今年は7区を担当。高い実力はさることながらチームきってのイケメンとの噂も。本人に真相を訊ねたところ、「一番モテるのは小河原だと思います」との証言が!

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佐藤からの急なパスに対して小河原は「モテるのは愛斗だろ」とあっさり。ということはつまり......、青学駅伝でモテる人は彼らのワンツーってことでOK? なんて、緩いトークで談笑しつつ、再び競技の話に。ポジティブな性格が強みだという佐藤は、箱根駅伝の経験を活かして"自身を見つめ直す。
「もっと差を広げて8区に襷を渡さなければいけなかったのに、逆にタイムを縮められてしまって悔しい思いをしました。次は区間賞が獲れるように、この1年は基礎からみっちりと鍛え直していくつもりです」

小河原陽琉(おがわら・ひかる)

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去年は1年生ながら箱根駅伝最終区間の10区、今年は幕開け区間の1区を任された小河原。「箱根を含む大学3大駅伝すべてに出場。競り合いの勝負強さでチームの勝利にしっかり貢献して、できれば区間賞も狙っていきたいです」と今後の目標を語る。
落ち着いたトーンでテンポよく取材に応える小河原。その様子があまりにも大人びていて「本当に20歳前半の大学生?」と驚きが隠せず、本人に直接伝えてみた。
「決して社交的ではないし、休みの日は用がなければ寮でずっとゴロゴロとしています(笑)。ただ、取材していただく機会が多い青学駅伝はたくさんの人から常に見られている立場で、チームの看板を背負う責任が部員1人ひとりにあると思っていて。それを日頃から意識したうえで生活しています」

遠藤大成(えんどう・たいせい)

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遠藤は山下りの高い適性がチーム内で評価されていて、箱根6区での起用に期待が集まる。今年の箱根駅伝では登録メンバーに選出されたが、高校時代の後輩である1年生・石川に6区を譲るかたちに。今年こそは自分が、と静かに闘志を燃やす。
「下りはたしかに自分が強みにしている部分。でも箱根に関しては6区だけにこだわらず、上り区間の5区を除く往路で出場を果たしてチームに貢献することも視野に入れています。その分ライバルは増えますけど、しっかりと足作りをして強気な1年にしたいと思っています」
03

マイペースな2年生は成長が楽しみな存在

入部から1年が経過した2年生は、先輩として青学駅伝を支えるポジションに。男子新入部員11名を迎え入れた今時期から、どんな成長を遂げていくのかと視線を集めている。ルーキーイヤーから突出した存在感を放ったのは、箱根駅伝復路スタートの6区を経験した石川浩輝(いしかわ・こうき)、今年の東京ニューイヤーハーフマラソンを優勝した榅山一颯(すぎやま・いぶき)、出雲全日本大学選抜駅伝で存在をアピールした神邑亮佑(かみむら・りょうすけ)。
そんな2年生たちは、青学駅伝のどこが好き? という質問に、全員が「上下関係が厳しくなくて先輩たちと話しやすい」と答える。

石川浩輝(いしかわ・こうき)

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石川が走った6区は箱根名物山下りの区間。「青学駅伝に入部してから自分に下りの適性があることを知りました」と打ち明ける通り、今年は区間3位のタイムを記録。見事に実績を出した石川だが、実は入部直後の春先から秋口にかけてはなかなか調子が上向かず、思うような結果が出せていなかったという。
「今年は自己管理を徹底してトラックシーズンをしっかり走り抜いたうえで、下りで区間新記録が出せるように頑張りたいです。今回の箱根で強い走りができた一番の理由は、今の環境が自分にすごく合っていて、より成長できたからだと思っています」

榅山一颯(すぎやま・いぶき)

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今年2月に行われた丸亀ハーフマラソン(日本学生ハーフ)で自己ベストをマークした榅山。趣味はスニーカーを見ることで、お気に入りシューズはアディダスのEVO2。休日はまだ行ったことがない地にふらりと旅に出るのが好きなのだそう。そんな榅山も石川同様、自己管理を課題に挙げつつ、来年の箱根に照準を合わせたパフォーマンスを意識している。
「自分の長所は粘り強い走り。まずは箱根駅伝の前哨戦となるMARCH対抗戦で結果を出していきたいと思っています。あと、後輩にとって頼れる先輩でありたいですね」

神邑亮佑(かみむら・りょうすけ)

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昨年9月の絆記録挑戦会で自身初の5,000m13分台を記録した神邑は、ルーキーながら出雲駅伝のメンバーに見事選出。4区の走者として大学3大駅伝デビューを果たした。また、今年1月の東京ニューイヤーハーフマラソンでも上位に入るなど、今後の仕上がりが期待されている1人。
「昨シーズンを通じて、調子をどう保てばいいのかリズムがつかめてきました。今年は青学駅伝の主力の1人という自覚を持って挑みたいと思います。できることなら、箱根で花の区間と呼ばれている2区に挑戦したいです。強い留学生や高校時代の仲間など、同世代のエースたちと同じ舞台で戦って勝ちたいので」
04

全員で勝ちに行くのが今年の青学駅伝

青学駅伝らしさとはなにか?
この質問に対して、今回インタビューさせてもらった全員が「メリハリをつけるのがうまい」と口を揃える。達成すべき目標に対して全力で突き進む一方、それ以外で無駄に気を張らないのは、青学駅伝の常勝を作り上げてきた伝統のスタイル。新チームを彩るメンバーもまた、どこか余裕すら感じさせる強者の風格をすでに漂わせている。
新チームを支える主力メンバーの予習はこれで完璧! と、言いたいところだが実はまだ序の口。今回はタイミングが合わずに触れられなかった選手や、シーズンを通して尻上がりに調子を上げる選手、1年生の中にも輝きを放つ選手がきっと出てくる。
今年のチームテーマは「アオガチ〜繋いで勝つ 勝って継なぐ〜」。つまり、総力戦で勝利を掴みにいく。箱根駅伝史上初、同一校による2度目の4連覇に向けて、青学駅伝は動き始めたばかり!
 

© Kazuki Miyamae