Dani Olmo during the German Cup (DFB Pokal) semi-final football match Werder Bremen v RB Leipzig in Bremen, northern Germany on April 30, 2021.
© Cathrin Mueller/Pool/AFP via Getty Images
サッカー

【RBライプツィヒ】スペイン代表MFダニ・オルモが語るユニークなキャリア

ダニ・オルモのような興味深いルートで成功を手に入れたサッカー選手は珍しい。世界から注目される才能が、チャレンジとレベルアップを繰り返してきた独自のキャリアパスを振り返る。
Written by Brian Homewood
読み終わるまで:9分Published on
FCバルセロナにとっては常識外れで驚きだったかもしれないが、通常とは違うキャリアパスの選択は正解だったようだ。
鋭いキラーパスで対戦チームを切り裂ける才能と高い戦術理解度が特長のカタルーニャ出身のサッカー選手は、独自のルートでレベルアップを続けている。ここ最近は中盤の層の厚さが伝統的に知られるスペイン屈指のミッドフィールダーとして世界から高く評価されている。

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RBライプツィヒに所属するスペイン人MFダニ・オルモがこれまでのキャリアを振り返った。
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レベル1:カタルーニャ生まれ

サッカー一家に生まれ育ったオルモはすぐにサッカーの虜になった。少年オルモは、練習中にリオネル・メッシと写真に収まるチャンスを得ても、練習が止まってしまうという理由から断ろうとしてしまうほど、このスポーツを愛していた。
「小さな頃からボールと一緒です。昔からサッカーが大好きでした。これまで使ってきたボールはすべて大切に取ってあります。7歳か8歳の頃にリオネル・メッシと写真撮影をしたときのボールもまだ実家に残っていますね。あれは一生の思い出です」
「実は、メッシとの写真撮影は気乗りしていませんでした。なぜなら、練習を続けていたかったからです。ですが、もちろん、あのとき練習を5分止めたことを今はひとつも後悔していませんよ」
少年オルモは、まずエスパニョールの下部組織へ入団したが、FCバルセロナから “ラ・マシア”(下部組織の総称)入りのオファーが届くと、断れなくなってしまった。本人は「バルセロナは繰り返し僕のところにやってきて、是非とも入って欲しいと頼んできたんです」
スペインU-17代表時代のオルモ(左から2人目)

スペインU-17代表時代のオルモ(左から2人目)

© Nikolay Doychinov/Getty Images

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レベル2:大きな決断 − クロアチアへ −

ファーストチーム昇格の可能性がまだ十分あったにもかかわらず、オルモは16歳でクロアチアのディナモ・ザグレブからのオファーを受け入れ、FCバルセロナを驚かせた。
「ディナモ・ザグレブほど充実した内容のオファーをしてくれたクラブはいませんでした。15、16歳からプロフェッショナルでインターナショナルな選手たちとファーストチームでプレーできるチャンスをくれたのです。このクラブへ入団すれば成長を続けることができると思い、入団を決めました」
「この決断を後悔していません。なぜなら、僕はサッカー選手として、そして人間として大きく成長したことを証明できましたからね。あのクラブで過ごした時間があったからこそ、今の僕があるのです」
Quotation
ディナモ・ザグレブは、15、16歳からプロフェッショナルでインターナショナルな選手たちとファーストチームでプレーできるチャンスをくれました
ダニ・オルモ
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レベル3:クロアチアでの生活

まだ若かったにもかかわらず、オルモは外国でも気後れしなかった。クロアチアでは言語に留まらず、チャントさえ学んだ。
このような経験がオルモを大きく成長させることになり、《Common Goal / コモンゴール / 共通の目標》と呼ばれる、それぞれの年俸の1%を社会問題の解決を目指す基金に寄付するプロジェクトにも参加した。オルモは、紛争後のクロアチア社会の安定を目指しているサッカーコミュニティ主体のプロジェクト《Cross Cultures Projects Association》に寄付した。
本人はクロアチア時代を次のように振り返っている。
「クロアチアには素晴らしくて特別な思い出が沢山あります。ブコバルで開催された戦没者を記念するトーナメントでのファーストチームデビュー戦のことを良く覚えています。国に溶け込めていた感覚がありましたし、クロアチアの人たちには親近感を覚えています。クロアチアから良い影響を沢山受けたので、何か助けになりたいと思ったのです」
「様々なことを学び、言葉を学んだのは、彼らとの距離をもっと縮めたかったからです。ディナモ・ザグレブのサポーター、そしてクロアチア社会から愛してもらえたというのはとても特別なことでした。今でもクロアチアを第二の故郷と思っていますし、今後も定期的に戻ると思います」
Quotation
ディナモ・ザグレブのサポーター、そしてクロアチア社会から愛してもらえました
ダニ・オルモ
ディナモ・ザグレブ時代に20歳でUEFAヨーロッパリーグデビューを飾った

ディナモ・ザグレブ時代に20歳でUEFAヨーロッパリーグデビューを飾った

© Gualter Fatia/Getty Images

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レベル4:ブレイクスルー

2015年2月のNKロコモティヴァ・ザグレブ戦でトップリーグデビューを飾ったオルモは、2016-17シーズン最終節リエカ戦で初ゴールを記録した。
しかし、彼をブレイクに導いたのは、過激なダービーマッチとして知られるHNKハイドゥク・スプリト戦で決めたキャリア2ゴール目だった。このダービーマッチはオルモに大きな影響を与えた。
「凄まじい雰囲気のダービーなんです。爆竹や花火がいたるところで鳴っていますし、この試合に勝てればリーグの順位はどうだっていいと考えているサポーターさえいます。僕は1-0でリードしている後半5分に途中交代で入りました。その直後にコーナーキックから同点にされたのですが、僕のゴールで2-1にしたのです」
「ベンチからチームメイトたちが飛び出してくるのを見て、自分の決めたゴールの重要さに気付きました。あのゴールは間違いなく僕のキャリアのハイライトのひとつですね」
チャンピオンズリーグでゴールを決めたディナモ・ザグレブ時代のオルモ

チャンピオンズリーグでゴールを決めたディナモ・ザグレブ時代のオルモ

© Dan Mullan/Getty Images

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レベル5:チャンピオンズリーグデビュー

次のビッグステップは、2019-20シーズンチャンピオンズリーグ・グループステージだった。ホームでセリエAのアタランタを迎えたチャンピオンズリーグデビュー戦は、4-0でディナモ・ザグレブが制した。本人は次のように振り返っている。
「キャリアを大きく変えた瞬間はいくつかありますが、これもそのひとつですね。僕たちは4-0で勝利したのですが、クラブ史に残る大勝だったんです」
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レベル6:スペインA代表入り

それから3ヶ月後、練習を終えたオルモはスペインA代表に招集されたことを伝えられた。
「監督に呼ばれて全員で円陣を組んだあと、監督から “今日はグッドニュースがある。A代表選手がもうひとり増えることになった。ダニがスペインA代表に招集されたんだ” と発表がありました」
「まったく期待していませんでしたし、誰からも何も言われていませんでしたので、ショックに近い驚きでしたね。練習に集中していたので、代表戦の招集時期ということを忘れていました。伝えられたときは本当に嬉しかったですね。大きな喜びでした」
Quotation
スペインA代表に招集されたときは本当に嬉しかったですね。大きな喜びでした
ダニ・オルモ
スペイン・カディスで開催されたマルタ戦に後半から出場したオルモは、代表デビュー戦をゴールで祝ったが、鳥肌が立った瞬間は国歌斉唱のときだった。
「国家斉唱は素晴らしかったですね。A代表と一緒に、しかもエスタディオ・ラモン・デ・カマラサのようなサポーターに心から愛されていて、応援されているスタジアム(カディスCFのホーム)で国歌を聴けたのは、筆舌に尽くしがたい経験でした。言葉では説明できませんでしたし、今も言葉を持ち合わせていません。祖父母を含む家族全員が観戦に来てくれました。祖父母はカディス出身なんです」
Quotation
スペイン代表デビュー戦で国歌を聴いた瞬間は言葉では説明できませんでしたし、今も言葉を持ち合わせていません
ダニ・オルモ
スペインA代表でワールドカップ予選を戦うオルモ

スペインA代表でワールドカップ予選を戦うオルモ

© David S. Bustamante/Soccrates/Getty Images

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レベル7:RBライプツィヒへ

2020年1月、オルモは新たな挑戦を受け入れた。ドイツ・ブンデスリーガRBライプツィヒへの移籍だ。しかし、今回は前回の別れとは違った。
「ディナモ・ザグレブに別れを告げるのは本当に辛かったです。沢山のチームメイト、セラピストをはじめとするスタッフなど、僕のキャリアを助けてくれた人たちから離れなければならなかったからです」
その後、オルモはRBライプツィヒで辣腕を振るっていたユリアン・ナーゲルスマン監督(現バイエルン・ミュンヘン)の高い要求に応えなければならなくなった。
「大きな変化になることは分かっていましたが、準備はできていました。最初は簡単にはいきませんでしたし、出場できない試合もいくつかありました」
「ですが、自分の目標は明確に見えていましたし、その目標に向けて何をすれば良いのかも分かっていました。ですので、チャンスがもらえるまで練習を続けましたし、ユリアンも励ましてくれました」
「ディナモ・ザグレブ時代よりもフィジカルが求められましたし、ダイレクトなサッカーでした。常にボールを前に運ぶサッカーです。僕たちは多くのプレッシャーを受けながら、厳しい状況でプレーを重ねていきました。このような状況では全員がスキルを使わなければなりません。プレッシャーの中でプレーを続けてきたことでまた成長できたと思います」
チャンピオンズリーグ対マンチェスター・シティ戦のオルモ

チャンピオンズリーグ対マンチェスター・シティ戦のオルモ

© Marc Atkins/Getty Images

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レベル8:EURO2020での活躍

オルモはEURO2020でキャリアを再びレベルアップさせた。この大会で、スペイン代表はのちの優勝国イタリアにPKで敗れたもののベスト4まで進出した。オルモは5試合に出場し、ベスト16対クロアチア戦の途中出場後の2アシストを含む3アシストを記録した。
しかし、彼の印象に残ったのはスペイン代表のチームスピリットだった。
「僕たちはEURO2020の予選と本戦を戦いながらチーム力を高めていきました。素晴らしいチームでしたし、最高でしたね」
「僕たちの成長は『La fuerza del grupo』(チームの強さ)というタイトルでドキュメンタリーにまとめられ、Amazon Primeで公開されました(※:2021年1月現在、日本未公開)。僕たちのチームをこれよりも上手く説明しているタイトルはないと思います」
「逆境に立ち向かい、障害を乗り越えながらベスト4まで進出するのは大変でしたが、僕たちは成し遂げました。前に進むためには乗り越えなければならないことがあります。僕たちは自分たちのパフォーマンスを誇りに思っていますが、もっともっとできたという感触も得ています」
ボルシア・ドルトムント戦でゴールを決めたオルモ

ボルシア・ドルトムント戦でゴールを決めたオルモ

© Alex Gottschalk/DeFodi Images via Getty Images

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レベル9:楽しむ気持ちに変わりはない

オルモのサッカーへの情熱は、彼を見れば誰でも理解できる。プレッシャーがかかっても、戦術上の制限があったとしても、彼からサッカーをプレーする喜びが消えることはない。
「もちろん、試合に勝てば喜びが増しますが、そこは仕方がない部分ですよね。プレッシャーと共生する方法を学ぶ必要があります。自信があれば、プレッシャーは関係ありません」
「達成したいことはまだ数多くありますが、これまでの経験も永遠に誇りに思うでしょう」
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