まるでお祭り騒ぎな“メッセンジャー大討論会”
© Kosuke Aoki
サイクリング

まるでお祭り騒ぎな“メッセンジャー大討論会”

メッセンジャーを生業としながらもフォトグラファーとして活躍するKosuke Aoki。彼が撮らえたリアルでディープな自転車の世界とは? ハードコアメッセンジャーが送る旅紀行Vol.6「パリ編その4」
Written by Kosuke Aoki
読み終わるまで:4分Published on

“CMWC2018選考討論会”

まるでお祭り騒ぎな“メッセンジャー大討論会”

まるでお祭り騒ぎな“メッセンジャー大討論会”

© Kosuke Aoki

毎年開催されるメッセンジャーの祭典CMWC。開催都市の決定は、大会期間中、立候補都市によるオープンフォーラム(討論会)を開催し、メッセンジャーたちの投票により2年後の都市を決める。
オープンフォーラムのホストでトロントのメッセンジャーのリア

オープンフォーラムのホストでトロントのメッセンジャーのリア

© Kosuke Aoki

昨年(2016年)のパリ大会では、2018年のCMWC開催都市の立候補に、コロンビアのボゴタ、スイスのバーン、ラトビアのリガ、そして我らがSLOW SQUADが支部を持つ、インドネシアのジャカルタの4都市が名乗りを上げた。
オープンフォーラムでは、各都市がそれぞれのスタイルでプレゼンテーションを行う。いかに自分達の都市が魅力的かをアピールし、もし選んでくれた際には自国で最高のおもてなしをすると熱弁する。
プレゼンに耳を傾ける各国のメッセンジャー

プレゼンに耳を傾ける各国のメッセンジャー

© Kosuke Aoki

オープンフォーラムというと堅苦しいものを想像するかもしれないが、なかにはプレゼンテーション中に洋服やステッカーをバラまき、会場を盛り上げる候補者もいたりして、会場はお祭り騒ぎだった。
今回のオープンフォーラムではこんなアクシンデントもあった。ジャカルタメッセンジャー2トップでボスであるヘンディーとドゥエノから、僕に携帯メッセージが届く。
「俺らは既にプレゼンの場所に到着したよ。お前も早く来て応援頼む」
僕は今まさにオープンフォーラムが行われようとしている中心で撮影をしているのだが…… なんと、プレゼンをする重役が2人揃って勘違いし、別のイベント会場に行ってしまったのだ。
2015年のオーストラリアでの世界大会をきっかけにコツコツイベントを重ね、2016年には大きなデリバリー大会をジャカルタで行い、世界大会に必要な実績作りを重ねてきた彼ら。そのジャカルタでの大会は日本から僕や、オーストラリアのクルー達も招待していただき、手厚いサポートをしてくれた。長い期間をかけて準備し、いざ立候補したのはいいが、肝心なところで痛恨のミス。2人の表情は、その場にいなくても十分に想像できてしまった。
落ち込むジャカルタメッセンジャーと、それを支えるオーストラリアン

落ち込むジャカルタメッセンジャーと、それを支えるオーストラリアン

© Kosuke Aoki

結局プレゼンは他のジャカルタのメンバー達で行ったのだが、まるでお葬式にきたかのような落ち込みよう。英語もたどたどしい彼らを助けるように、ジャカルタでお世話になったオーストラリアのクルー達が助けに入り、皆にジャカルタの素晴らしさや、インドネシアという第三世界の中でがんばる彼らを、代わりになって必死に伝えた。
ヘンディー達にとっては残念だったかもしれないが、僕はその光景にとても心を打たれた。プレゼンテーションやパフォーマンス以上に、本質的に大切なものがそこに見えた気がしたからだ。
晴れてCMWC2018の開催に至ったリガのクルー達

晴れてCMWC2018の開催に至ったリガのクルー達

© Kosuke Aoki

結局2018年の開催国は、ラトビアのリガに決まった。2年連続立候補して落選していて、3度目の正直でやっとの当選だった。
きっと彼らもこの3年間で、いろいろな国のメッセンジャーとの交流し、絆を深めてきたのだろう。1回目の立候補ですぐ当選するのは珍しいらしい。つまりはそういう事だ。
そして、残念ながら当選しなかった他の3カ国も含めてリガを祝った。討論会といえども、どこかの国の下品な選挙みたく相手を攻撃するような事などなく、あくまで自国の良いところだけをアピールし、平和的に開催国を決め、さらにそのなかで友情が生まれる。そんな事を心で感じながら、僕は落選したジャカルタメッセンジャー達を茶化していた。
余談になるが、そんな彼らも先日行われたCMWC2017モントリオールのオープンフォーラムにて、2019年のジャカルタ開催を勝ち取ったことを追記しておきたい。

メッセンジャースナップ

ハードコアメッセンジャーが送る旅紀行Vol.6「パリ編その4」

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■記事協力
最新のバイシクルカルチャー発信する『LOOP MAGAZINE
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■Profile
Kosuke Aoki
ニューヨークでミクストメディアアート、ノイズバンドの活動を経て、帰国後2007年より東京にてメッセンジャーとなる。同時に東京のメッセンジャーシーンをはじめ、様々なアンダーグラウンドカルチャーの撮影を開始し、フォトグラファーとしてのキャリアをスタート。現在は活動の幅を広げ、世界各地のメッセンジャーやそれにリンクするカルチャーの取材を精力的に続けている。
【Instagram】toydog88