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ランニング
【短距離走 or 長距離走】自分に最適なランニングを理解する
短距離と長距離、それぞれのメリットと相違点を学び、自分に合ったランニングスタイルを見つけよう!
Written by Natalie Hamingson
読み終わるまで:7分Published on
“ゆっくり着実に走ればレースに勝てる” は真実だろうか? ランニングの世界では、誰に訊ねるかでその答えが変わる。ランナーは大きく2つに分けることができる。短距離ランナーはスピードを最優先し、長距離ランナーは安定した持久力を重んじる(中距離種目は中間)。
ウルトラランナーでレッドブル・アスリートのディラン・ボウマンは、個人の好みは関係なく、あらゆるランニングスタイルがコミュニティを求めている私たちの本能にアピールするとしている。
ウルトラランナーのディラン・ボウマン
ウルトラランナーのディラン・ボウマン© Jed Jacobsohn / Red Bull Content Pool
「現代社会には帰属への深層的欲求がありますが、これを見つけるのは困難です」とボウマンは切り出す。
「私がランニングを始めたきっかけは、人間の限界に挑戦したいという好奇心でした。ですが、私にランニングを続けさせてくれたのはランニングコミュニティ、友情です」
彼の言葉は真実だ。能力を問わず誰もが参加できる【Wings for Life World Run】に参加しているランナーたちをはじめとするあらゆるランナーがコミュニティの "絆" を共有している。
自分のランニングコミュニティを見つけたいのなら、自分が短距離と長距離どちらのタイプか見極めるところから始めてみよう。スプリントの高揚感が好きだろうか? それとも、ボウマンのようにどこまで遠くへ走れるか確かめてみたいだろうか? 
今回は、最適なランニングスタイルを見つけるために、短距離と長距離それぞれのメリットと相違点について詳しく解説しよう。
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短距離走のメリット

ハイテンポで高強度なワークアウトに慣れ親しんでいる人なら短距離走向きかもしれない。
短距離走(主に400m以下)ではパワーとスピードを発揮することになる。“スプリント” としても知られている短距離走は瞬間的な爆発力を利用するため、「より速くなる=上達」ということになる。
短距離走では以下のような恩恵が得られる。
  • パワーと筋線維伝導速度の向上:短距離走では、自己ベスト更新に必要な爆発的エネルギーを支える身体の速筋線維を集中的に活用する。
  • スピードの向上:短距離走は他のスポーツにも応用できる有用なスキルだ。たとえば、野球でホームベースへの全力ダッシュをマスターしたいのなら、短距離走がトレーニングの助けになるかもしれない。
  • 心臓血管の状態向上:短距離走は脚部の筋肉量増加に加え、心臓の状態を向上させ、肺活量を増やすことができる。また、短距離走は高強度運動のため、より速くより大きなカロリー燃焼にも繋がる。
  • 大きな怪我のリスクを減らす:短距離ランナーは長期的な筋肉量減少のリスクが少ない。とはいえ、怪我のリスクはゼロではないため、他のすべてのスポーツと同様、適切な準備運動とストレッチが不可欠だ。
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長距離走のメリット

時間をかけてワークアウトに取り組むのを好んでいる、またはスタミナ増強を目指している人なら、長距離走が適しているかもしれない。
カザフスタンのアルマトイで2023年5月に開催されたRed Bull 400
カザフスタンのアルマトイで2023年5月に開催されたRed Bull 400© Victor Magdeyev / Red Bull Content Pool
厳密に言えば、長距離走は3,000m以上のすべての距離が含まれるため、対象範囲は広い。5km10kmレースなどの中級レベルから、マラソンディスタンス(26.5マイル / 42.195km)を超えて自分をプッシュするボウマンのようなウルトラランナーもいる。
長距離走は以下のような恩恵が得られる。
  • 持久力の向上:長距離ランナーは長時間に渡り酸素を燃料として効率的に利用する遅筋に頼っている。試合を通じて走り続けるバスケットボールのようなスポーツをしているなら、長距離走は持久力強化に役立つ可能性が高い。
  • 集中力の向上:長距離・長時間のランでストレングスを保つためには、フィジカルとメンタルをほぼ均等に動員する必要がある。そのため、日常的に長距離を走るようにすれば生活全般の集中力が向上する。また、ほとんどのエクササイズと同じく、最低30分のランニングを習慣化すればメンタルヘルスに大きな効果が得られる。
  • 慢性疾患リスクの減少:学術雑誌『Scientific Reports』が2022年に行った研究では、長距離走による心血管系の持久力向上は長期的な合併症を予防するという結果を出している。また、長距離ランナーは特定のがんや慢性心疾患、あるいは脳卒中の発症リスクも少ないと言われている。
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長距離走と短距離走の違い

両者の違いは距離やスピードだけではない。栄養管理からトレーニングプランの策定まで、長距離・短距離走ではそれぞれ異なるアプローチが必要になる。
長距離走と短距離走の主な相違点を以下に挙げていこう。

《トレーニングプログラム》

あらゆる運動トレーニングと同じく、身体がゆっくり力をつけていけるように自分が設定した目標へ向かって着実に取り組んでいくことが重要だ。ランニングでは走ることと同じくらいリカバリーが重要な意味を持っている。リカバリーの重要性は長距離と短距離の両方にあてはまるが、その方法はそれぞれ異なっている。
長距離は、2日連続で走るときに1日目に10マイル(16km)走ったなら、2日目は遅いペースで2マイル(約3.2km)走るだけにしておこう。長距離走は短距離走よりもメンタルを酷使するため、休息を設けることを意識しておこう。
時折スプリントを入れてスピード強化に取り組むのも効果的で、ランの間にストレングストレーニングウエイトトレーニングを挟むのも良いだろう。いずれにせよ、長めの距離をゆっくりめのペースで走りながら徐々に距離を伸ばしていくことが長距離走のトレーニングにおける主目標だ。
時間をかけて着実に取り組んでいく点は短距離走も同じだが、こちらは距離ではなくスピードの強化が主目標になる。ウォームアップを済ませたあと、30秒単位のスプリントに取り組み、各スプリント後はリカバリーのための休息を1〜2分挟もう。すべてのスプリントを終えたあとの軽めのジョグやウォーキングでのクールダウンも欠かせない。

《栄養管理》

良質な炭水化物栄養豊富な食品はランナーの親友だ。走る距離が長いほど、より多くの燃料が必要になる。大まかな目安としては、ワークアウト前に食事や軽食を摂っておけば1時間程度のランをカバーできる。20km以上を走るロングランでは補給プランを考える必要がある。

《ギア》

長距離を走り続けるのなら、耐久性が高いギアを使用する必要がある。良質なランニングシューズが特に重要で、長距離走では不可欠だ。
また、長距離走では発汗による汗疹(あせも)を防ぐために通気性に優れた素材を着用することも水分補給と同じく重要だ。タイムを記録して自分用のベンチマークを設定したいのなら、スマートウォッチランニング専用ウォッチも重宝するだろう。
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自分に合ったランニングスタイルを選ぶ

自分に適したランニングスタイルを選ぶときは、いくつかの要素を考慮する必要がある。まず、筋肉のつき方によって長距離向きか短距離向きかが変わってくる可能性がある。生まれつき速筋よりも遅筋が多い人がいれば、逆パターンの人もいる。筋肉がしっかりと温まるまで数kmかかるなら、その人は長距離走向きと言えるかもしれない。
とはいえ、多くの人にとって重要なのは長距離と短距離の間でバランスを見出すことだ。どちらかに対して特に強いこだわりがないのなら、長距離と短距離を交互に楽しみ、両方の恩恵を享受するのも良いのではないだろうか?
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自分だけの目標に向かって走る

「長距離か? 短距離か?」はどちらかが正しい / 間違っているという話ではない。【Wings for Life World Run】を見ても分かるように、あらゆるカテゴリーやレベルのランナーたちが自分に投資し、自分だけの目標を達成しようとしていることを讃えたい。とにかく外へ出て走り続けよう — 止めるものは何もない!
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