Wonderland Trail, Washington, USA
© Ryan Thrower / Red Bull Content Pool
ランニング
【ランニングのメリット】走ることで得られるコミュニティ感覚と帰属意識
ひとりで過ごす時間が増えている昨今、「どこかに所属している感覚」への希求が高まりつつあるが、ランニングはその願いを叶えるのに最適な方法のひとつだ。
Written by Trish Medalen
読み終わるまで:5分Published on
【Wings for Life World Run 2022】が開催される5月8日まで、様々なゲストを迎えて様々なテーマについて語るポッドキャスト【Why I Run】(英語音声)が毎週公開されている。エピソード5は米国人ウルトラランナーのディラン・ボウマンと英国人DJのチャーリー・ダークが、ランニングのコミュニティ感覚の素晴らしさについて語っている。
36歳のウルトラランナー、ディラン・ボウマンは、夜明けとともに起床して地元カリフォルニア州の山奥のトレイルを走っている。一方、詩人、教師、メンター、DJとして活躍している50代のチャーリー・ダークは深夜過ぎに英国・ロンドン市内を走っている。
異なる2人だが、揃って自分が走っている最大の理由に「コミュニティ感覚」を挙げている。また、2人は、あらゆる人種・年齢・運動能力の人たちで構成されるそれぞれのコミュニティを育てることで恩返しをしているところも共通している。
「今の世の中には、どこかに所属している感覚を得たいという深い欲求が存在しますが、そのどこかを見つけるのは簡単ではありません。私がスポーツの世界に足を踏み入れた理由は人間の挑戦に興味を持ったからですが、この世界に居続けている理由は、そこにあるコミュニティ感覚と友情です」
このように語るボウマンは、トレイルランニングはウルトラランニングと必ずしも同じではないと指摘する。突き詰めれば、トレイルランニングは「好きなスピードでオフロードを好きな距離だけ走る」スポーツであり、つまりは【Wings for Life World Run】のアプリランナーを含むほぼすべての人が楽しめるものだ。
ボウマンは「実はトレイルランニングでは “走る” 必要さえないのです。トレイルの上をいつもより少し速く動くだけで問題ありません。自然と繋がること、そして自分の好きなペースで無理なく動くことがより重要なのです」と続けている。
ディラン・ボウマン© Cameron Baird/Red Bull Content Pool
私がスポーツの世界に足を踏み入れた理由は人間の挑戦に興味を持ったからですが、この世界に居続けている理由は、そこにあるコミュニティ感覚と友情です
ディラン・ボウマン
ボウマンは、近年のトレイルランニング人気の高まりを間近で見てきた人物だが、彼はその成功の要因に親密なコミュニティを挙げている。
「トレイルランニングに不安を覚えている初心者でも、コミュニティが受け容れて喜んで手ほどきをしてくれます。このコミュニティはメンバーそれぞれの人生にとても大きな影響を与えており、彼らの個性やライフスタイル全体の中心に位置しています」
一方、ロンドンのダークは、自分にポジティブな変化を加えようとしているときにランニングと出会ったと語っている。
ダークは「私がランニングを始めたのは、自分の気持ちと身体に向き合わずにいたからです。ある日、鏡に映る自分を見て “これは誰だ?” と思いました。太りすぎでしたし、目から光が消えていました。ハッピーには見えませんでした」と振り返っている。
チャーリー・ダーク
チャーリー・ダーク© Simon Roberts
そして、彼は夜に走り始めた。なぜなら、走る自分を見られたくなかったからだ。しかし、しばらくすると、ダークは自分を見てもらいたいと思うようになった。若い世代と有色人種の人たちに “自分ができるなら誰でもできる” というメッセージを届けたいと思ったのだ。
「ランニングは私の生活にバランス平穏をもたらしてくれます。ある意味、私にとっては天からの恵みなのです。ランニングのカルチャーが好きになった私は、ランニングから得られる恩恵に気づき始めました。それで、日頃から付き合いのある若い世代や音楽業界の友人たちとこのアクティビティを共有できるのではないかと思うようになったのです」
そこでダークは【Run Dem Crew】を立ち上げた。これはロンドンに住む若い世代と組み、お互いを支え合える安全な環境 “ランニング” で自分たちが住む街を一緒に探索しながら、彼らにメンタリングやアドバイスを提供していくランニングコミュニティだ。
ロンドンを走るチャーリー・ダーク
ロンドンを走るチャーリー・ダーク© Adam Corbett
ランニングは私の生活にバランスと平穏をもたらしてくれます。ある意味、私にとっては天からの恵みです
チャーリー・ダーク
ランニングを通じてひとつになれるもうひとつのコミュニティが、【Wings for Life World Run】だ。2022年5月8日午後8時、このコミュニティの参加者たちは “走れない人たちのために走る” 。毎年参加しているボウマンは次のように話している。
「幸運なことに、私はアプリランとフラッグシップランの両方を体験済みですが、どちらも非常にパワフルな経験になっています。なぜなら、レース自体が楽しくてチャレンジングで走り応えがある上に、脊髄損傷を抱えているWings for Lifeアンバサダーの方たちと語り合うチャンスも得られているからです」
「彼らの話を聞き、彼らの前向きな姿勢を知ることは私にとってとても大きな気付きになりましたし、インスピレーションを得られています。正直に言えば、私のキャリアハイライトです。ですので、ランニングは私にとってとても重要なのです」
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世界最大規模のランニングイベント、Wings for Life World Run(ウィングス・フォー・ライフ・ワールドラン)は、通常のマラソンやランニングイベントにはないゲーム性の高い独自のルールで進められ、車椅子の使用者も参加できる。世界規模のチャリティイベントとして、参加費用をすべて研究団体に寄付し、ランナーたちは脊髄損傷の治療というゴールに向かって進む。

Dylan Bowman

Never one to shy away from a challenge, American ultrarunner Dylan Bowman can always be found at the front of the international field.

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