Gaming
ビデオゲームデベロッパーによる最新フォトモードの紹介やソーシャルメディアに流れてくるファンが撮影した画像などを通じて、ビデオゲームフォトグラフィ(バーチャルフォトグラフィ / インゲームフォトグラフィ)という言葉を一度は見聞きしたことがあるはずだ。
上記の呼び方だけではなく、デジタルフォトグラフィやキャプチャーアートとも呼ばれる「ビデオゲームのフォトモードを使用した写真撮影」は、ファンが新しい形で自分の愛するゲームとエンゲージできるモダンアートフォームとして扱われるようになっている。
現実世界のカメラを使用した撮影と同じような撮影ができるソフトウェアツールを駆使することで、バーチャルフォトグラファーたちはビデオゲームの中に存在する美しい世界を探索しながら、現実世界と変わらないユニークでアーティスティックな1枚を撮影している。
しかし、写真についてまったくの素人だったらどうすれば良いのだろうか? どこからインゲームフォトグラフィを始めれば良いのだろうか? ビデオゲームのフォトモードは、タイトルごとにそれぞれ弱冠異なる。しかし、いくつかの基本を押さえておけば、どのゲームのどのフォトモードでも撮影を楽しめるようになる。というわけで、今回の初級編では、フォトモードおよび写真撮影の基本用語を解説する。
フォトモード
《フォトモード》はゲーム内機能のひとつだ。このモードに入れば、プレイヤーたちはゲームをポーズして、バーチャルカメラを片手にシーンを自由に動き回れるようになる。というわけで、まずは、《フォトモード》の入り方を学ぶことが重要だ。《フォトモード》はポーズメニューから入れる場合が多いが、シャッターチャンスを逃さないための専用ボタンやショートカットが用意されているかどうかを確認しよう。
視野(Field of View / FOV)
リアル、バーチャルを問わず、【視野(Field of View / FOV)】とはカメラのレンズ越しに見える範囲、つまりは写真に映る範囲を決める値を意味する。「画角」と表現される場合もあるが、この角度を大きく設定すれば、それだけ見える範囲が広がる。次に説明する【焦点距離】と組み合わせて設定する場合もある。
焦点距離(Focal Length)
【焦点距離(Focal Length)】は写真用語のひとつで、カメラのレンズからフィルム面までの距離(単位:mm)を意味する。誰もが知っている “ズーム” とはこの距離を変える機能のことだ。ビデオゲームの《フォトモード》にレンズは存在しないが、この値を変えることでレンズ交換と同じ効果が得られる。
たとえば、12mmなどの短焦点距離では人工的な視点の “広角” ショットが撮影できる。また、逆に150mmのような長焦点距離では、画角が狭められた “ズームイン” ショットが手に入る。
1分
『Ghost of Tsushima』焦点距離比較
焦点(Focus)
"ピント" とも呼ばれる【焦点(Focus)】は非常にシンプルで分かりやすい。要するに “焦点が合っている” 状態なら、被写体がくっきり明確に見え、“焦点が合っていない” 状態なら逆に被写体がぼけて見えるのだ。
《フォトモード》では、プレイヤーが【焦点】を自由に合わせられるので、好きな場所や被写体を選べば良い。尚、プレイヤーがカメラを動かしても自動で【焦点】を合わせてくれるオートフォーカス機能が実装されている場合もある。
被写界深度(Depth of Field)
あらゆる写真撮影のカギを握る【被写界深度(Depth of Field)】は、被写体周辺の焦点が合っている範囲を指す。
【被写界深度】が “深い” は、手前も奥も焦点が合っている状態を意味し、【被写界深度】が “浅い” は被写体だけに焦点が合っていてその手前も奥も焦点が合っていない状態を意味する。言い換えれば、【被写界深度】が “浅い” 写真は被写体を強調することができる。
絞り(Aperture)
レンズの中に用意されている “光の量を調整する遮蔽物” を【絞り(Aperture)】と呼ぶ。この【絞り】の大きさが露出と被写界深度に影響を与える。もちろん、《フォトモード》には物理的な絞りは用意されていないが、被写界深度の効果を高める値として使用されている。【絞り】ではF値が使われ、F1.8のようにF値が小さい(開ける)ほど被写界深度が浅くなり、F22のようにF値が大きい(絞る)ほど被写界深度が深くなる。
被写体に焦点をしっかりと合わせた状態で【絞り】を開ければ、被写界深度が浅くなるため、鑑賞者の視点を被写体に集めやすくなる。
露出(Exposure)
【露出(Exposure)】とは、光にさらす量を決める単位で、写真の明るさに影響を与える。現実世界の露出は、いくつかの要素を組み合わせることで調整するが、ビデオゲームの《フォトモード》では、【露出(Exposure)】または【明るさ(Brightness)】で調整することが多い。
アスペクト比(Aspect Ratio)
写真の縦横比を指す【アスペクト比(Aspect Ratio)】は、要するにフレームの形状を決める比率だ。《フォトモード》のデフォルト値は “16:9” で、テレビと同じだが、“21:9” に設定すれば横幅が広がってシネマティックなショットが得られる。また、“4:3” に設定すればタイトなショットが得られる。
カラーフィルター(Color Filter)
《フォトモード》はデジタルアートツールのため、撮影前に写真をエディットできるという大きなアドバンテージがある。ロゴを上に重ねたり、フレームを飾り付けたりできる他、【カラーフィルター(Color Filter)】を使ってモノクロにしたり、特定の色を強調したりすることもできる。
三分割法(Rule of Thirds)
写真撮影テクニックのひとつとして広く知られている【三分割法(Rule of Thirds)】は、作品を9等分する直線上、または交点上に重要な要素を配置すれば、効果的でバランスに優れた構図が得られるという経験則を意味する。《フォトモード》によっては、グリッド表示機能が備わっており、それらをガイドラインとして使って構図を考えられるようになっている。この機能を使用する際は、撮影前にグリッドを非表示に戻すことを忘れないようにしたい。
PS4 / PS5
PS4には「SHARE」ボタン、PS5には「クリエイト」ボタンがコントローラーに配置されており、共にカメラのシャッターとして機能する。《フォトモード》で構図を考えたあと、ボタンを押して画像を捉え、「キャプチャーギャラリー」(PS4)、「メディアギャラリー」(PS5)にセーブすれば、SNSでシェアすることができる。
インゲームフォトグラフィに興味を持った人は、本稿を執筆したMik Bromleyの作品群をThe Fourth Focusでチェックしてみよう。
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