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F1スプリントレースとは?
スプリントとは、サーキット現地や世界各地で観戦するファンにさらなるエンターテインメントを提供することを目的とした短距離でエキサイティングなレース形式だ。
スプリントはグランプリ決勝レースの約3分の1となる100kmレースで構成される。オーバーテイクやトラック上でのアクションを促進するため、スプリント優勝者には8ポイントが与えられ、上位8名までのドライバーが選手権ポイントを獲得する。
F1 2025シーズンでは、決勝レースでのファステストラップを記録したドライバーに与えられるボーナスポイントが廃止されたため、全6戦開催されるスプリントが決勝レース以外での追加ポイントを獲得する唯一のチャンスとなる。
スプリントではピットストップを行う余裕がないため、オーバーテイクを狙い、ベストポジションを確保するためにバトルするドライバーたちのスキルにすべてがかかっている。
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スプリントの起源
F1でのスプリントレースは2021シーズンに初登場し、シルバーストンで史上初のスプリントが開催されたあと、モンツァとインテルラゴスでも開催された。その目的は、フリープラクティスをレースに置き換え、グランプリウィークエンドにこれまで以上の競争とスペクタクルを追加することだった。
その後、スプリントのフォーマットは微調整され、もうひとつのプラクティスセッションが別名シュートアウトと呼ばれるスプリント専用の短時間予選フォーマットと日曜日の決勝レースに向けた通常の予選へと置き換えられた。
2025シーズンは、シュートアウトが金曜日午後、スプリントが土曜日のランチタイムに行われ、通常の予選が土曜日の午後に開催される。
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スプリントシュートアウトの内容
シュートアウトは通常の予選と同様、3つのミニセッションで構成されているが、セッション時間は12分間(SQ1)、10分間(SQ2)、8分間(SQ3)に短縮されている。
このようなより短時間のセッションは各セッションでのタイムアタックを1回に抑えることを意図しているが、そのタイミングは極めて厳しく、サーキットによって状況は異なるとはいえ、SQ1、場合によってはSQ2で2回のタイムアタックを行える可能性は依然として存在している。
シュートアウトの各セッションで各ドライバーが使用できるタイヤセットはSQ1およびSQ2でミディアム1セットずつ、SQ3でソフト1セットしか認められていないため、一部のサーキットではこれが結果を左右することになるだろう。
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スプリントウィークエンドのスケジュール
フォーマットの変更は、スプリントレースウィークエンドが通常のグランプリウィークエンドとは異なったものになることを意味する。スプリントが行われるレースウィークエンド各日のスケジュールは以下の通りとなる。
- 金曜日午前:フリープラクティス
- 金曜日午後:シュートアウト
- 土曜日午前:スプリント
- 土曜日午後:予選
- 日曜日午後:グランプリ決勝レース
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スプリントでのポイントシステム
スプリントでは優勝者に8ポイントが与えられ、上位8名までのドライバーにポイントが与えられる。
2025シーズンはファステストラップを記録したドライバーへのボーナスポイントが廃止されたため、ドライバーが獲得できるポイントは年間で24ポイント少ない。つまり、スプリントレースはメインの決勝レース以外でドライバーたちがポイントを獲得できる唯一のチャンスとなる。
複数の強豪チームが先頭争いを繰り広げることになる2025シーズンは近年稀に見る接戦となることが予想されるため、ドライバーたちが土曜日と日曜日に最大限のポイントを獲得しようと全力アタックする姿が見られるはずだ。
スプリントレースで与えられるポイントは以下の通り。
- 優勝:8ポイント
- 2位:7ポイント
- 3位:6ポイント
- 4位:5ポイント
- 5位:4ポイント
- 6位:3ポイント
- 7位:2ポイント
- 8位:1ポイント
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スプリント開催スケジュール
2025シーズンのF1では、全6戦のスプリントウィークエンドが設定されている。スプリント開催サーキットの選定基準は、オーバーテイクのチャンスがふんだんに用意されていることだ。2025シーズンはスプリントが開催されないが、オーストリアのレッドブル・リンクが高い頻度でスプリント開催地に選ばれてきたのはこれが理由だ。
2021シーズン以来毎シーズンスプリントレースをホストしているブラジルのインテルラゴスは、スプリント開催地に毎シーズン選ばれている唯一のサーキットだ。オースティンとカタールは3回目のスプリント開催となり、中国とマイアミは2024シーズンに続いてスプリント開催地に選ばれた。
歴史の浅いスプリントフォーマットだが、F1カレンダーで最も古い歴史を持つベルギーのスパ・フランコルシャンでも再び開催される。全長7kmのスパ・フランコルシャンは現行カレンダー中で最長距離を誇るサーキットであり、アルデンヌを波打つように駆け抜けるこのロングサーキットには、オーバテイクチャンスが多数存在する。
《2025シーズン スプリント開催スケジュール》
グランプリ
サーキット
日程
中国GP
上海インターナショナル・サーキット
3月21日-23日
マイアミGP
マイアミ・インターナショナル・オートドローム
5月2日-4日
ベルギーGP
スパ・フランコルシャン
7月25日-27日
アメリカGP
サーキット・オブ・ジ・アメリカズ
10月17日-19日
ブラジルGP
インテルラゴス
11月7日-9日
カタールGP
ルサイル・インターナショナル・サーキット
11月28日-30日
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スプリントが日曜日のグランプリに及ぼす影響
スプリントレースのフィニッシュ順位はメインである日曜日の決勝レースのグリッドを決めるものではないが、ドライバーがスプリント後にグリッドペナルティを受けた場合や、クラッシュ後にチームが大規模なマシン修復を行う必要がある場合などは影響を与える可能性がある。そのような場合は、ドライバーは日曜日の決勝レースをピットレーンからスタートしなければならない。
影響が大きいのは、戦略とマシンセットアップ関係だ。なぜなら、ドライバーとチームがサーキットを理解してその週末に使用すべきセッティングやタイヤを解き明かす機会は金曜日のフリープラクティスしかないからだ。そのため、そのような作業の大半は、リザーブドライバーがシミュレーターで担うことになる。
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スプリント最強ドライバーは?
これまで開催されたスプリントレース18戦中で11勝を挙げているマックス・フェルスタッペンは、チャンピオンシップと同じくスプリントレースでも圧倒的な強さを示してきた。
2025シーズンの参戦ドライバーの中では、オスカー・ピアストリが2勝でマックスの記録に続いており、ランド・ノリスとジョージ・ラッセルはそれぞれ1勝ずつを記録している。
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