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2022年は任天堂製立方体コンソールのヨーロッパ発売20周年に相当する。区切りの1年を祝して、欧米でもリリースされた作品の中から不滅のクラシック20本をピックアップ!
ニンテンドーゲームキューブ(以下、ゲームキューブ)は日本では2001年9月、北米では同年11月に発売されたが、ヨーロッパでは少し遅い2002年5月にリリースされた。同じ第6世代のPS2やXboxに比べると販売台数はやや伸び悩んだが、それでも多くのファンを獲得することに成功した。同世代機の中で一番記憶に残っていると感じているゲーマーは特に多いだろう。
ゲームキューブのグラフィックスは第6世代の平均以上で、コントローラーは第一印象こそ奇妙だったが、両手にパーフェクトに収まる。しかし、何よりも素晴らしいのはそのカタログだ。本数はそこまで多くないが、優秀な独占タイトルと非の打ち所のない移植版がいくつも含まれている。
というわけで、今回はヨーロッパでの発売20周年を記念して、海外でもリリースされたゲームキューブタイトルの中からベスト20をピックアップして紹介する。尚、同じシリーズから複数の作品を選ばないようにした。
01
『スター・ウォーズ ローグ スコードロン II』
ゲームキューブは、ローンチタイトルに『マリオ』シリーズが含まれていなかった唯一の任天堂製コンソールで、北米とヨーロッパではその代わりにこの作品がローンチタイトルに含まれていた(日本は『ウェーブレース ブルーストーム』、『ルイージマンション』、『スーパーモンキーボール』)。
『スター・ウォーズ ローグ スコードロン II』は、リリースから20年が経過した今見ても、美しいグラフィックスを誇っているが、NINTENDO64でリリースされた『スター・ウォーズ 出撃!ローグ中隊』の続編に相当するこの作品は、ゲームプレイも優秀だった。
残念なことに、続編『スター・ウォーズ ローグ スコードロン III』は今作ほどの成功を収めることはできなかった。
02
『マリオカート ダブルダッシュ!!』
『マリオカート ダブルダッシュ!!』こそ『マリオカート』シリーズの頂点と信じているファンは今も多い。その優れた操作性は幾度となく称賛されており、シンプルなコントロールと微妙なドリフトワークを見事にブレンドされている。
また、『マリオカート ダブルダッシュ!!』は1台に2人が乗り込めるため、アイテムをストックできることも大きな特長だった。
03
『ビューティフルジョー』
『ビューティフルジョー』はゲームキューブ版がシリーズ第1作だったため、このクリシェ満載のカプコン製スーパーヒーロータイトルをゲームキューブと結びつけているゲーマーは多い。
プレイヤーは主人公ジョーとなり、映画館でのデート中にさらわれたガールフレンドのシルヴィアの救出へ向かうのだが、敵を倒したり、パズルを解いたりするためには敵の攻撃を美しくかわしたり、特殊能力が使えるようになるVFXパワーを使ったりする必要がある。
タイトルに相応しい美しいビジュアルとパーフェクトな操作性、そして荒唐無稽なストーリーがこの作品を今でも問題なく楽しめるタイトルにしている。
04
『ルイージマンション』
マリオがゲームキューブデビューを果たすよりも前に、ルイージがこのゲーム機でスポットライトを浴びた。『ルイージマンション』はこのゲーム機のローンチタイトルで、このゲーム機のために開発された。
プレイヤーはルイージとして “マリオ兄さん” を探すべく幽霊屋敷に飛び込み、オバキュームと呼ばれる掃除機で敵を吸い込んでいく。振動モーターとCスティックを備えるゲームキューブコントローラーが非常に良好な操作性を提供してくれる。
この作品に限らず、『ルイージマンション』はシリーズ全作品がユーモアとホラーを見事に組み合わせることに成功している。また、この第1作は2018年に3DSへ移植されている。
05
『バイオハザード』(リメイク版)
任天堂のゲーム機には「低年齢層向けのゲームしかない」というイメージがつきがちで、NINTENDO64とゲームキューブはその傾向が特に強かった。しかし、このリメイク版『バイオハザード』はこのイメージを払拭した。何しろ、“サバイバルホラー” の原点であり経典でもある作品なのだ。
さらにディテールが細かくなった背景とライティングによる陰影の強化でオリジナルの魅力をさらに高めていたこの作品には追加要素も加えられているため、オリジナルを新たに楽しむのには最適だった。ちなみに、のちに同じくゲームキューブでリリースされた新作『バイオハザード4』も、『バイオハザード』シリーズの新機軸を打ち出したことでクラシックとなった。
06
『ピクミン』
宮本茂は実生活からインスピレーションを得ていることで知られている。京都の森を散策していた幼少時の記憶が『ゼルダの伝説』シリーズに繋がり、木の葉を巣へ運んでいるアリたちを見ていた記憶が『ピクミン』に繋がった。
このストラテジーパズルゲームでは、プレイヤーは宇宙人キャプテン・オリマーとして不時着した星を探索し、散らばってしまった宇宙船のパーツを集め回ることになるのだが、その助けになるのがピクミンたちだ。こびとの視点で “地球” を見ることができるこのチャーミングな作品は長く愛されている。
07
『大乱闘スマッシュブラザーズDX』
ゲームキューブで最も大きな成功を収めたのがこの作品だ。『大乱闘スマッシュブラザーズDX』はひとつの世代を生み出した上に、eスポーツシーンにユニークなシーンも生み出した。バラエティに富んだキャラクター陣と優秀な操作性を備えているこの作品は、今でも同シリーズの後発作品群と同等、もしくはそれ以上の人気を誇る。
また、トーナメントプレイヤーの多くが、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』は他のシリーズ作品よりもテクニックの自由度と奥深さに優れていると断言している。
08
『テイルズ オブ シンフォニア』
ゲームキューブでリリースされたRPGタイトルはそこまで多くないが、その中の一部はゲームキューブのベストタイトルに含まれている。
そのひとつ、『テイルズ オブ シンフォニア』は、欧米における『テイルズ オブ』シリーズ第1弾だった。この作品までこのシリーズが欧米でのリリースチャンスを得られていなかったという事実は、今の人気を考えると理解するのが難しい。
この作品はPS2、PS3でもリリースされたが、ファンはゲームキューブ版への思い入れが強く、主人公ロイド・アーヴィングの『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズ参戦が期待されるほどだった。実際、その期待通りの展開となり、『スマブラfor』と『スマブラSP』ではロイドがMiiコスチュームとして販売されている。
09
『ゼルダの伝説 風のタクト』
『ゼルダの伝説 風のタクト』の存在が明らかになると世間は荒れた。骨太の『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』をプレイし、ゲームキューブのデモで非常にリアルに描かれていたリンクとガノンドロフを確認していたファンの多くが、この最新作で用意された可愛らしいトゥーンリンクの姿に落胆した。
しかし、そのトゥーンレンダリングによるグラフィックは今作の人気を長年保つ大きな理由となり、そのゲームプレイも『ゼルダの伝説』シリーズ屈指の人気を誇っている。
ちなみに、ゲームキューブ最後期に『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』がリリースされたが、こちらは当時の最新コンソールWiiでもリリースされたため、さほど話題にはならなかった。
10
『スーパーモンキーボール』
SEGAのゲームキューブヒットタイトルのひとつ、『スーパーモンキーボール』はエキサイティングなゲームプレイが特長のひとつだ。プレイヤーは迷路のようなコースを傾けてボールに入ったモンキーをゴールまで導いていかなければならない。そのため、操作性に優れているゲームキューブコントローラーの貢献度は非常に高い。
Switchでリメイク版がリリースされたことで、オリジナル版の物理エンジンと操作性の優秀さがあらためて浮き彫りになった。ちなみに、同じくゲームキューブでリリースされた続編も秀作で、Switchのリメイク版はこの2作の同梱版となっている。ちなみに、日本ではゲームキューブのローンチタイトルのひとつだった。
11
『メトロイドプライム』
2Dでしかリリースされていなかったシリーズが3Dの世界へ進出する瞬間はざわつきを生む。『メトロイドプライム』もそのような瞬間のひとつだった。
しかも、この作品は任天堂ではなく当時は無名だったレトロスタジオによって開発された。そのため、ファンの多くは、ゲームキューブでのサムスの冒険があの『スーパーメトロイド』を超えることはまずないだろうと踏んでいた。
ところが、彼らの見立ては間違っていた。『メトロイドプライム』はFPSの要素を取り入れながらシリーズの精神性を維持している素晴らしいアクションアドベンチャーに仕上がっていたのだ。結果、続編が2作も開発された他、現在『メトロイドプライム4』の開発も進んでいる。
12
『どうぶつの森』
正確には『どうぶつの森』はゲームキューブでリリースされたタイトルではない。日本ではNINTENDO64のタイトルとしてリリースされた。しかし、欧米での『どうぶつの森』、つまり『Animal Crossing』はゲームキューブでリリースされた。ややこしい話だが、欧米版『どうぶつの森』は日本の『どうぶつの森+』がベースとなっている。
この欧米デビューをきっかけに任天堂版ライフシミュレーションシリーズの人気は世界中で高まっていくことになり、2020年にSwitchでリリースされた『あつまれ どうぶつの森』でピークを迎えることになった。『あつまれ どうぶつの森』はオリジナルと比較するとかなりグレードとスケールが高められているが、基本部分はこの頃から変わっていない。
13
『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』
『バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海』は興味深いアレンジが加えてあるRPGで、カードを使用する斬新な戦闘システムが用意されているが、いわゆるトレーディングカードバトルとも異なり、武器攻撃、魔法、防御、回復などの入力をすべてカードで行っていく。
開発はのちに『ゼノブレイド』シリーズを生み出すモノリススタジオとトライクレッシェンドが担当した。
14
『スーパーマリオ サンシャイン』
ゲームキューブのローンチタイトルに『マリオ』シリーズは含まれていなかったが、ファンが長く待つ必要はなかった。『スーパーマリオ64』に続く新作『スーパーマリオ サンシャイン』は、前作の特長のひとつだった「複数のステージを自由に行き来できるバーチャルワールド」を引き継いでおり、プレイヤーが魅力的なステージ間を移動する方法はいくつも存在した。
また、この作品のマリオはポンプを使用してステージを攻略していくため、『ルイージマンション』と同じようにゲームキューブコントローラーの操作性が最大限活かされていた。
15
『Phantasy Star Online Episode I&II』
ドリームキャスト用にリリースされた『Phantasy Star Online Ver.2』の拡張版に相当する。このコンソール用MMOはタイトルとは異なりオフラインでもプレイ可能だった。ちなみに、『Phantasy Star Online Episode I&II』は最大4人の画面分割オフラインプレイにも対応している。
16
『エターナルダークネス 〜招かれた13人〜』
ゲームキューブのホラーヒットは『バイオハザード』だけではなかった。多くのプレイヤーが『エターナルダークネス 〜招かれた13人〜』も良く覚えている。その大きな要因はユニークなサニティ・システムの採用にある。
プレイヤーは、邪悪な覇道を受けると精神力(サニティ)が低下し、幻覚や幻聴、暗転などが起きるようになる。たとえば、ドアを開けて次の部屋に入ると「コントローラーが抜けている」と表示されてなすすべなく複数のゾンビから攻撃されたり、セーブ時にセーブデータが強制削除されてしまったりする。そしてそのあとにすべてが幻覚だったことに気付かされるのだ。
17
『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』
欧米のプレイヤーたちが『ファイアーエムブレム』シリーズの存在を知るきっかけになったのは『大乱闘スマッシュブラザーズ』だった。日本ではかなり前からいくつものシリーズ作品がリリースされており、日本国外でもゲームボーイアドバンス版からリリースされていたが、欧米での初のコンソール版が、この『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』だった。
尚、このニッチなストラテジーRPGシリーズが任天堂のメインシリーズのひとつにまで成長することを当時予想していた欧米のプレイヤーはほとんどいなかった。
18
『F-ZERO GX』
『ファイアーエムブレム』シリーズの新作が定期的にリリースされている一方、任天堂は『F-ZERO』シリーズの新作にはほとんど興味を示していないように思える。この人気レーシングシリーズの現時点でのコンソール版最終作はこの『F-ZERO GX』だ。
アーケード版『F-ZERO AX』も存在していたこのセガとのコラボレーション作品の技術は今も素晴らしく、複数のマシンが派手なエフェクトとともに60fpsで美しく動き、ローラーコースターのようなコースとメタルとテクノを組み合わせたサウンドトラックが、この作品をアドレナリン全開のレーシングゲームにしている。SFレーシングゲームのベストタイトルのひとつだ。
19
『エターナルアルカディア レジェンド』
ドリームキャストからゲームキューブへ移植されたRPGは『Phantasy Star Online』だけではなかった。『エターナルアルカディア レジェンド』は “レジェンド” の名に恥じない内容で、当時のJRPGのベストのひとつだった。
空飛ぶ帆船が行き交う時代という興味深い世界設定と空賊たちのバトルによって、さもなければ伝統的とも言えるゲームプレイが大幅に強化されており、この特色が今でも高く評価されている。
20
『ペーパーマリオRPG』
最後の1本もRPGだ。『ペーパーマリオRPG』はゲームキューブのベストタイトルのひとつであると同時に、『ペーパーマリオ』シリーズおよび『マリオ』シリーズにおけるRPGタイトルの頂点に立つ作品だ。アクション重視の戦闘システムと深みのあるキャラクター陣、そしてユーモアセンスを見事に組み合わせている。
残念ながら、『ペーパーマリオ』シリーズはこの作品の壁を超えることができずにいる。第6世代の最優秀タイトルのひとつに数えて良いだろう。
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