F1
過去19シーズンに渡りオラクル・レッドブル・レーシングを率いるチームプリンシパル兼CEOが、勝利と敗北から得た教訓やプライベートの大切さについて語ってくれた。
01
勝利は病みつきになる
「勝利は一度味わってしまうと病みつきになり、さらに勝利を手に入れようと駆り立てられるようになる。しかし、勝って当然と考えるのは禁物だ。ひとつひとつの勝利を祝うことが重要だ。なぜなら、どれも必死に勝ち取ったものだからだ。私は必ずすべての勝利を受け容れて祝うようにしている」
「勝利は大きな満足感をもたらす。仕事のすべての部分が組み合わさることで得られるものだからだ」
02
敗北もモチベーション
「レッドブル・レーシングはF1でかなりの実績を残している。これまで参戦した全レースの約30%に相当する100勝以上を記録している他、これまで参戦した全レースの半数以上で表彰台を獲得している」
「しかし、当然ながら私たちにも苦しい時期があった。自分たちにできるのは、勝利の興奮を目指して再び努力することだけだ。私たちは勝利のために努力を重ねている。そのため、メルセデスが最強チームだった時期も、勝利の感覚が私たちをあらゆる領域でプッシュさせてきた」
03
苦しい決断を下す必要性
「チームを立て直さなければならない時期は苦しい決断を下さなければならない。組織として進化していかなければならないからだ。継続性や安定性も確かに必要だが、突き詰めれば、チームが向上するためには進化するしかない」
「苦しい決断を下すのは気分が良いものではないが、そのおかげで私たちは今のような強さと豊富な才能を得られている。私たちは若い才能に投資し続けてきた。大学新卒や実習生、学生インターンとしてチームに加入してきたスタッフが現在第一線で活躍している様子を見るのは喜ばしいことだ」
04
チャンピオンドライバーは良い意味で要求が多い
「私たちが記録してきた勝利のうち、89勝はチャンピオンを複数回経験している2人のドライバー、セバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンによってもたらされた。チャンピオンになるようなドライバーは、他のドライバーとは違うのか? 答は “イエス” だ」
「チャンピオンドライバーは年齢とともに努力を重ねていく。マックスとセバスチャンはまったく異なるキャラクターと性格の持ち主だが、2人とも強い意志を持っている。パフォーマンスの追求において、彼らは絶対に手を抜かない」
「セバスチャンは細部への集中が高く、自分とマシンのパフォーマンスを精査することに強く拘っていた。一方、マックスはセバスチャンほど細部まで拘らない。マックスの場合、彼がマシンに乗り込めば110%のパフォーマンスを引き出すことが分かっているが、彼はチームに同じことを要求する。彼らのような偉大なドライバーはチームを動かす。チームは彼らのようなドライバーを失望させたくないのだ」
05
“人” こそ最大の資産
「私は23週間はチームプリンシパルだが、1年を通じてではハイテク企業のCEO(最高経営責任者)だ。そして、どのビジネスも同じだが、企業にとっては “人” こそが最大の資産だ」
「重要なのはその企業が備えるカルチャー、チームの協力の仕方、チームのコミュニケーションの取り方だ。チームのカルチャー、哲学、情熱が私たちの大きな強みとして捉えている」
06
チームを守ることが責任
「私がF1の世界に足を踏み入れた当初は、ロン・デニス、フランク・ウィリアムズ、ジャン・トッド、バーニー・エクレストン、マックス・モズレー、フラビオ・ブリアトーレと議論を交わしていた」
「当時のF1には強烈な個性を持った大物たちがいたが、全員に共通していたのは “情熱” と “負けず嫌い” だ。現在のF1首脳陣を見渡してみると、個性こそ以前とはまったく違うが、情熱と競争意識は同じだ」
「そのような人たちと対峙している私が彼らの陰口を叩くことはない。しかし、“強敵と書いて友と読む” 的な考えを支持したこともない。F1は競争だ。お互いをリスペクトするべきだが、クリスマスを一緒に過ごす必要はない」
07
家族との時間を大切にする
「F1は油断していると自分の人生を乗っ取られてしまう類のビジネスで、そうなれば燃え尽きてしまう。私が得た教訓は、時間をしっかり区切ることの重要性だ。家庭を持っている場合は特にそうだ」
「また、抱えすぎていない状態、疲れ切っていない状態の方がチームにより貢献ができることも分かっている。だからこそ、自宅にいるときは仕事を忘れ、家族との時間を大切にすべきなのだ。電話やiPadを極力触らないようにする。自宅に帰ったときはこれを徹底している」
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