レースのあり方を根本的に変える数多の新レギュレーションにより、2026シーズンのF1は新時代を迎えている。レギュレーションの変更は当然ながらいくつもの専門用語をもたらしており、その中には従来のF1では馴染みのなかったものもいくつか存在する。
では、“ブーストモード” と “オーバーテイクモード” には実際にどのような違いがあるのだろう? “スーパークリッピング” や “ディレート” の意味とは? 今シーズンのレースで頻出する新たな専門用語やエンジンモードの基礎知識を学んでいこう。
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ブーストモード
実は、ブーストはF1において目新しいテクノロジーではない。より分かりやすい名称が付けられたという話だ。今シーズンからボタンをひとつ押すだけで、ドライバーはエンジンから最大の電力放出を得ることができるようになった。
ブーストモードを使用することで、1周あたり約30秒間160馬力が追加で得られ、その合計は約475馬力(350kW)になる。新世代F1エンジンでは内燃エンジンと電気モーターの出力配分がほぼ50:50となっており、内燃エンジンと電気モーターの組み合わせで約1,000馬力を発生する。
ブーストモードの利点は、バッテリーに十分なエネルギーが残っている限り、ドライバーが好きなタイミングで使用できることだ。ブーストモードは前走マシンにアタックしたりオーバーテイクしたりするためだけでなく、ポジションを守るためにも使用できる。
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オーバーテイクモード
今シーズン、従来のドラッグ・リダクション・システム(DRS)に代わって登場したのがオーバーテイクモードだ。名称からも分かる通り、このシステムはオーバーテイク促進のために専用設計されている。DRSと異なるのは、リアウイングを可動させる必要がない点だが、実際はどのような仕組みになっているのだろう?
あるドライバーが検知ポイントで前走マシンの1秒差以内にいれば、オーバーテイクモードを作動できる権利を得る。結果、次の周回を通じて追加の電気出力を得てオーバーテイクを仕掛けられるようになる。
オーバーテイクモードの利点はこれだけではない。オーバーテイクモードでは、通常より多くのエネルギーを回生できるのだ。正確には1メガジュールの半分(0.5MJ)を回生できるようになるため、アタックするマシンはより高いスピードを長時間維持できる。
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リチャージ
リチャージとは、ドライバーがマシンのバッテリーを再充電する方法の総称だ。この回生システムは、エネルギーハーベスティングとも呼ばれている。
2026シーズンのF1マシンはその出力の約半分を電気モーターで賄うため、エネルギー回生が極めて重要になっている。また、独創的なチームはバッテリー再充電のありとあらゆる方法を見出している。そのいくつかの例を挙げよう。
- 回生ブレーキ
- ハーフスロットル、またはパーシャルスロットルでの加速
- コーナー進入前にスロットルから足を離して惰性走行する(リフト・アンド・コースト)
- スーパークリッピング
リチャージはマシン側が自動的に管理しているが、各チームは様々なエンジンモードを用意して、モードごとに蓄えられるエネルギー量を設定している。また、ドライバーは、レースエンジニアのアドバイスに従って、どのエンジンモードを使用するか選ぶことができる。
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スーパークリッピング
リチャージについての説明でも少し触れた “スーパークリッピング” とは、バッテリーの再充電方法のひとつだ。後ほど解説する “クリッピング” と混同しないよう注意してもらいたい。では、スーパークリッピングとは一体どのようなものなのだろう?
2026年に登場した完全な新現象 “スーパークリッピング” は、スロットルをリフトすることなく高速走行しながらエネルギーを蓄積する方法だ。したがって、当然ながら、スーパークリッピングはストレート終端部や高速コーナーで最も頻繁に確認できる。
スーパークリッピングの利点は、ドライバーが最大負荷状態で走行しながらもエネルギー回生が始まる点にある。反面、その欠点は、エンジンパワーが低下してスピードが落ちてしまうことにある。
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クリッピング / ディレート
近年のF1でドライバーがクリッピングやディレートについて不満を訴える場面を耳にしたことがあるだろう。クリッピングとディレートは相当な痛手になるため、彼らの不満も頷ける。
クリッピングとは、電気モーターが徐々に電力供給を停止することに他ならない。クリッピングが発生すると、内燃エンジンだけにパワーを頼らなければならなくなる。クリッピング自体には何の問題もなく、むしろそこが肝心だ。電気出力は主に加速時のみで使用され、できるだけ速くトップスピードに到達するために用いられる。
問題になるのは、クリッピングやディレートが予想よりも早く発生した場合だ。このような場合、求めているモーター出力を供給するために蓄積されたエネルギーが不足し、マシンのスピードが落ち、ライバルたちに対して無防備な状態になってしまう。観客の視点からは、マシン後部のライトが点滅していることでクリッピングやディレートの発生が分かるようになっている。
予選では早期のクリッピングが起こることはめったにないが、決勝でははるかに多く発生する。距離の長いサーキットでは特にそうだが、決勝の全周回でエンジンをベストな状態で機能させる十分なエネルギーを稼ぎ出すことは非常に難度が高い。
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アクティブエアロ
2026シーズンのF1マシンは従来とは明らかに異なるルックスだ。マシンの全幅は狭くなり、全長は短くなり、アクティブエアロダイナミクス(通称アクティブエアロ)が備わっている。2026シーズンのF1マシンはリアウイングだけでなくフロントウイングも可動し、さらには両ウイングを同時に可動させることもできる。
しかし、ドライバーたちはいつでもどこでも自由にウイングを動かせるわけではない。サーキット上でアクティブエアロの使用が許可されているエリアは決められており、通常はストレート区間が指定されている。現行F1マシンは、コーナーモードとストレートモードの2つのウイングモードを備えている。
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コーナーモード
コーナーモードでは、F1マシンの前後ウイングは閉じられている。ウイングを閉じているとより高いダウンフォースを発生できるので、コーナーリング中はマシンが最大のグリップを得て大きなアドバンテージを得られる。
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ストレートモード
ストレートモードとは、F1マシンの前後ウイングが開いている状態を指す。各チームはウイングの可動方式について独自の方法を見つけており、たとえばオラクル・レッドブル・レーシングとフェラーリのコンセプトは完全に異なるものになっている。
サーキット上では、過去のDRSゾーンと同様、このシステムを作動できるストレートモードゾーンが設けられている。ドライバーたちは、ステアリング上のボタンでストレートモードを作動させている。ブレーキング時には再びウイングが閉じ、コーナーモードに戻る。
DRSと異なるのは、ストレートモードゾーンの走行中は常時これを使用できる点で、このルールはフリープラクティス、予選、スプリント、決勝を問わず、どのセッションでも変わらない。オーバーテイクモードのように、ドライバーが前走マシンの1秒差以内に接近する必要はない。
ストレートモードの目的は簡潔で、より高いトップスピードを得るためにストレートでの空気抵抗を削減することにある。
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