Red Bull Motorsports
毎年F1イタリアGPの舞台となっているアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァは、今も昔もF1カレンダーの中で独特の存在感を放っている。「スピードの殿堂」とも称されるモンツァは、その名が示す通りF1最速サーキットだ。
自然吸気V10時代が全盛期を迎えた2000年代中盤には F1におけるあらゆるスピード記録が塗り替えられたが、それらすべてはこのマジカルなモンツァで記録された。今回は最速ラップ記録から最短記録まで、F1におけるあらゆる記録を振り返ってみよう。
48分
Unfiltered -最高幹部の戦略-
監督のクリスチャン・ホーナーと、チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューウェイはいかにしてレッドブル・レーシングをF1の頂点に導いたのか。彼らの素顔や今までの敗北の歴史から、勝利そして世界最高のタイトル獲得までの軌跡を語る。
01
最高平均周回速度
ファン・パブロ・モントーヤ(2004シーズン イタリアGP)
記録:262.242km/h
目覚ましいエアロダイナミクスの技術進歩と自然吸気V10エンジンが発生する強大なパワーがピークに達した2004シーズンのF1は、GP開催ごとに各サーキットのラップレコードが更新されていった。
同シーズン・イタリアGP予選でファン・パブロ・モントーヤが記録した最高平均周回速度は、10年以上経過した現在でもいまだ破られていない大記録だ。
予選第1セッションで、ウィリアムズFW26 BMWを駆るモントーヤは262.242km/hという驚異的な平均周回速度を樹立。しかし皮肉なことに第2セッションでのラップタイムが1位ルーベンス・バリチェッロ(フェラーリ)に届かず、モントーヤは2位で予選を終えた。
02
キャリア最短の罰金ペナルティ
セバスチャン・ベッテル(2006シーズン トルコGP)
記録:6秒
セバスチャン・ベッテルは最年少ワールドチャンピオンから最多連勝記録まで、F1史におけるあらゆる記録を塗り替えた経験を持つ。しかし、今回紹介する珍記録を知る人は決して多くないはずだ。
2006シーズンのトルコGP金曜フリー走行で、ベッテルはBMWザウバーのテストドライバーとしてF1公式セッションデビューを飾った。
しかし、セッション開始を知らせるシグナルが点灯し、意気揚々とアクセルを踏み込んでガレージから飛び出したものの、勢い余ってピットレーンの速度制限を超過してしまい罰金ペナルティを言い渡されてしまった。彼のF1キャリアが幕を開けてわずか6秒後の出来事だった。
03
予選での最小ラップタイム差記録
1997シーズン ヨーロッパGP
記録:1位〜3位が同じラップタイム(0.000秒差)
フェラーリのミハエル・シューマッハとウィリアムズのジャック・ヴィルヌーブがわずか1ポイント差で迎えた1997シーズン最終戦ヨーロッパGP(へレス)での直接対決は今も語り草だが、その予選での熱戦がレースにさらなる興奮を与えたことも忘れてはならない。
まずヴィルヌーブが1分21秒072で暫定ポールを奪うと、その数分後にシューマッハが同一のラップタイムを記録。さらにヴィルヌーブのチームメイトのハインツ=ハラルド・フレンツェンもタイトル候補2人と同一のラップタイムを記録した。マシン3台、ドライバー3人が1000分の1秒まで同一タイムで並ぶ熾烈極まる予選だった。
04
最速平均レース速度
2003シーズン イタリアGP
記録:247.587km/h
F1最速平均レース速度がモンツァで記録されたことに大きな驚きはないはずだ。
2003シーズンのイタリアGPを制したミハエル・シューマッハ(フェラーリ)は1時間14分19秒838で完走し、平均速度は247.585km/hを記録した。また、このレースはF1史上最短レースとしても記録に残っている(赤旗などで打ち切りになったレースは含まれない)。
05
最速トップスピード
ファン・パブロ・モントーヤ(2005シーズン イタリアGP)
記録:372.6km/h
直前の2004シーズンに同じくモンツァでF1最速平均周回速度を記録していたファン・パブロ・モントーヤは、次のシーズンでも同地で新記録を打ち立てた。彼が記録した372.6km/hというトップスピードはF1史上最速記録として現在でもまだ破られていない。
06
最小タイム差での優勝
1971シーズン イタリアGP
記録:1位~3位までのタイム差がわずか0.09秒
F1史に残るフィニッシュ・シーンは数多くあるが、マシン5台が互いのスリップストリームを利用し合いながらフィニッシュラインになだれ込んだ1971シーズン イタリアGPのフィニッシュ・シーンほど強烈なものはない。
優勝したピーター・ゲシン(BRM)と2位ロニー・ピーターソン(マーチ)のタイム差はわずか0.01秒。優勝したゲシンから0.09秒遅れで3位となったのはフランソワ・セヴェール(ティレル)で、4位マイク・ヘイルウッド(サーティース)が1位から0.18秒遅れ、5位ハウデン・ガンレイ(BRM)は1位から0.61秒遅れで続いた。
F1史でこれほどの僅差でトップ5がフィニッシュしたレースは他にない。
07
最短キャリア
マルコ・アピチェッラ(1993シーズン イタリアGP)
記録:走行距離800m
歴史を振り返ってみると、出走1戦だけでF1から去っていったドライバーは決して少なくない。しかし、1993シーズン イタリアGPで初出走を記録したマルコ・アピチェッラほど短いF1キャリアを持つドライバーはいないだろう。
全日本F3000選手権で活躍を見せていたイタリア人ドライバーのアピチェッラはエディー・ジョーダンの目に留まり、ジョーダンから1戦限りの契約で母国イタリアGPでF1デビューを飾ることになった。
しかし、アピチェッラはレーススタート1周目最初のシケインで起こった多重クラッシュに巻き込まれ、F1キャリアはあっけなく終わってしまった。スタートからわずか数秒のことであった。