1971年イタリアGPフィニッシュの瞬間
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F1

F1史における様々な最速記録

F1の歴史には様々な記録が刻まれている。その中から「最速・最小・最短」の記録を紹介しよう。
Written by Tom Bellingham
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毎年 イタリアGPの舞台となるアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァは、今も昔もF1カレンダーの中で独特の存在感を放ちつづけている。「スピードの殿堂」とも称されるモンツァは、その名が示す通りF1界で最速を誇る高速サーキットだ。
自然吸気V10時代が全盛期を迎えた2000年代中盤には F1におけるあらゆるスピード記録が塗り替えられたが、それらすべてはこのマジカルなモンツァで記録された。今回は最速ラップ記録から最短記録まで、F1におけるあらゆる記録を振り返ってみよう。
01

最速平均周回速度

ファン・パブロ・モントーヤ、2004年イタリアGP

記録:262.242km/h
目覚ましいエアロダイナミクスの技術進歩と自然吸気V10エンジンが発生する強大なパワーがピークに達した2004年。この年のF1シーズンは、レースが開催されるごとに各サーキットのラップレコードが次々に更新されていった1年だった。2004年イタリアGP予選時にファン・パブロ・モントーヤが記録したF1史上最速の平均周回速度は、10年以上経過した現在でもいまだ破られていない大記録だ。
2004年イタリアGP予選第1セッションにおいて、Williams FW26 BMWを駆るモントーヤは262.242km/hという驚異的な平均周回速度を樹立。しかし皮肉なことに第2セッションでのラップタイムは1位ルーベンス・バリチェッロ(Ferrari)に届かず、モントーヤは2位で予選を終えている。
F1史上最速の平均周回速度を記録したモントーヤ
F1史上最速の平均周回速度を記録したモントーヤ
02

キャリア最短の罰金ペナルティ

セバスチャン・ベッテル、2006年トルコGP

記録:6秒
セバスチャン・ベッテルは最年少ワールドチャンピオンから最多連勝記録まで、F1史におけるあらゆる記録を塗り替え続けている。しかし、今回紹介する珍記録を知る人は決して多くないはずだ。
2006年トルコGP金曜フリー走行で、BMW Sauberのテストドライバーとして初のF1公式セッション参加を果たしたベッテル。セッション開始を知らせるシグナルが点灯し、意気揚々とアクセルを踏み込んでガレージから飛び出したベッテルだったが、勢い余ってピットレーンでの速度制限違反により罰金ペナルティを言い渡されてしまった。彼のF1キャリアが幕を開けて、わずか6秒後の出来事だった。
03

予選における最小ラップタイム差記録

1997年ヨーロッパGP

記録:1~3位が同じラップタイム(0.000秒差)
Ferrariミハエル・シューマッハWilliamsジャック・ヴィルヌーブがわずか1ポイント差で迎えた1997年シーズン最終戦ヨーロッパGP(へレス)での直接対決は今でも語り草となっているが、その予選における熱戦もレースにさらなる興奮を与えたことも忘れてはならない。
まずヴィルヌーブが1分21秒072で暫定ポールを奪い、その数分後にシューマッハが同一のラップタイムを記録。更には、ヴィルヌーブのチームメイトのハインツ-ハラルド・フレンツェンもまた2人のタイトル候補と同一のラップタイムを記録した。3台のマシン、3人のドライバーが1000分の1秒まで同一タイムで並ぶという熾烈極まる予選だった。
04

最速の平均レース速度

2003年イタリアGP

記録:247.587km/h
F1史上における最速の平均レース速度記録がモンツァで記録されたこと自体に、そう大きな驚きはないはずだ。2003年のイタリアGPを優勝したミハエル・シューマッハ(Ferrari)は1時間14分19秒838でレースをフィニッシュし、平均速度は実に247.585km/hを記録。また、このレースはF1における史上最短のレースとしても記録に残っている(赤旗などで打ち切りになったレースは除く)。
シューマッハはF1史上最速の平均レース速度で2003年イタリアGPを優勝
シューマッハはF1史上最速の平均レース速度で2003年イタリアGPを優勝
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最速トップスピード

ファン・パブロ・モントーヤ、2005年イタリアGP

記録:372.6km/h
この前年にあたる2004年にモンツァでF1史上最速の平均周回速度を樹立したファン・パブロ・モントーヤは、翌2005年のイタリアGPでも新記録を打ち立てた。彼が記録した372.6km/hというトップスピードはF1史上最速の記録として現在でもまだ破られていない。
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最小タイム差での優勝

1971年イタリアGP

記録:1~3位までのタイム差がわずか0.09秒
F1の歴史において、記憶に残るフィニッシュ・シーンは数多くあるが、5台ものマシンが互いのスリップストリームを利用し合いながらフィニッシュラインになだれ込んだ1971年イタリアGPのフィニッシュ・シーンほど強烈なものはない。
優勝したピーター・ゲシン(BRM)と2位ロニー・ピーターソン(March)のタイム差はわずか0.01秒。優勝したゲシンに対し0.09秒差で3位となったのはフランソワ・セヴェール(Tyrrell)。4位マイク・ヘイルウッド(Surtees)は1位から0.18秒差、5位ハウデン・ガンレイ(BRM)は1位から0.61秒差という僅差でレースは決着を迎えたのだった。F1史上において、これほどの僅差でトップ5がフィニッシュしたレースは後にも先にも存在しない。
1971年イタリアGPフィニッシュの瞬間
1971年イタリアGPフィニッシュの瞬間
07

最短キャリア

マルコ・アピチェッラ、1993年イタリアGP

記録:走行距離800m
歴史を振り返ってみると、たった1戦の出走のみでF1を去っていったドライバーは決して少なくない。だが、1993年のイタリアGPにおいてたった1度の出走を果たしたマルコ・アピチェッラほど短いF1キャリアを持つ者はいないだろう。
全日本F3000選手権で活躍を見せていたイタリア人ドライバー、アピチェッラはエディー・ジョーダンの目に止まり、Jordanチームから1戦限りの契約で母国イタリアGPでF1デビューを飾ることになった。しかし、アピチェッラはレーススタート1周目最初のシケインで起こった多重クラッシュに巻き込まれ、そこで彼のF1キャリアはあっけなく終わってしまった。スタートからわずか数秒のことであった。