サイクリング
ジロ・デ・イタリア:F1ファンが観戦すべき6つの理由
F1 が好きなら世界で最もタフな自転車ロードレースも好きなはず! F1との共通点を解説しよう!
自転車ロードレース最高峰に位置するグランツール(年3戦・各3週間開催)の初戦、ジロ・デ・イタリア2025が現在開催中だ。今回は、F1マシンを愛する人たちが、イタリアで開催されているこのロードレースやグランツールをチェックすべき理由を示していこう。
01
チームの作戦が重要
F1では最初にチェッカーフラッグを受けたドライバーが優勝するが、必ずしもその日最速のドライバーまたはマシンがその栄光を手にするわけではない。なぜなら、チームの作戦が非常に重要だからだ。
ピットインのタイミング、タイヤの管理、DRSの使い方などが、超高速レースの最中にチームによって次々と判断されていく。そして、チームの準備が整っていない状態でのピットインや、摩耗したタイヤでのロングスティントなどの判断をひとつでも間違えれば、表彰台の順位に影響する。
ロードレースでもF1と同じくらいチームの作戦が重要だ。個人総合優勝を狙うライダー(エース)にはアシスト(ドメスティーク)と呼ばれるサポートライダーたちが用意され、各アシストにはチームから異なる仕事がアサインされる。チームカーからフードとドリンクを受け取ってエースに渡す、エースの前に出て風除けになるなど、ステージごとに複数の仕事が用意される。
エースを個人総合優勝へ導くために、他のライダーが犠牲になるときも少なくない。アシストがチームオーダーに従わない、または作戦の遂行を失敗すれば、レース全体に悪影響を与える可能性がある。
02
多種多様なバトルが存在する
F1ではすべてのチームが優勝を狙ってくるが、ロードレースではすべてのチームが個人総合を狙ってくるわけではなく、各チームは個人総合ではなく各ステージ優勝、山岳賞、ポイント賞などを狙って作戦を適宜変更してくる。尚、グランツール(およびロードレース一般)における山岳賞とポイント賞は、それぞれジャージが用意されるほど重要な位置づけとなっている。
山岳賞は、山岳ステージに用意されている山岳ポイントを最も多く獲得したライダーが獲得し、ポイント賞は中間スプリントポイントを含む各種ポイントを最も多く獲得したライダーが獲得する。
後者は主にスピード勝負で、各チームが車列(リードアウトトレイン)を組み、車列後方で体力を温存させていたスプリンターをゴールライン直前で一斉に送り出すステージ最終盤のバトルは特に見物だ。結果が写真判定までもつれこむときも少なくない。
しかし、このようなスプリントが必ず展開されるわけではない。格下のチームやワイルドカードチーム、またはあとがなくなったチームのライダーたちがステージのスタート直後から逃げのグループを形成してくるときがある。
このようなグループはほとんどの場合、ステージ中盤から後半にかけて後方から追い上げてくる大集団に吸収されるが、逃げに成功した場合は大番狂わせとなり、誰も予想していなかったライダーが総合首位に立つ可能性がある。
03
テクノロジーの重要性
ロードレースとF1においてライダーとドライバーが占める割合は50%だ。残りの50%はマシンが占める。プロロードレースチームが使用しているロードバイクは自転車におけるF1マシンで、地形とスピードに合わせてチューニングされており、風洞テストも行われている。
このようなロードバイクはレーシングマシンと同じで、レースまでの期間を使ってあらゆる部分が本番に最適になるように調整されている(タイヤの種類や空気圧、ギア比、ライダーのポジショニングなど)。
また、パンクやチェーンが外れるなどのトラブルが発生すれば、チームカーとメカニックがすぐにバイクを直してライダーをレースに復帰させる、あるいはチームメイトが自分のバイクを差し出して、タイムロスを最小限に留めようとする。
このような努力は空力の最適化だけに留まらず、ライダーが使用するテクノロジーにも及んでいる。ロードレースのライダーたちは心拍や出力(パワー)をリアルタイムでモニタリングしつつ、体力が枯渇しないように栄養・水分補給やエフォートレベルを調整していく(体力・脚力が枯渇した状況を “タレる” と言う)。
04
アスリートの個性とライバル関係
F1ドライバーはそれぞれユニークな性格とドライビングスタイルを備えており、サーキット内外でエゴを激しくぶつかり合わせている。
ロードレースも同じで、ペロトンを構成するライダーたちはそれぞれユニークな個性を持ち合わせており、長年続いているライバル関係も少なくない。
現時点のワールドツアーライダーの中でマックス・フェルスタッペンに相当するライダーがタデイ・ポガチャル(スロベニア)で、圧倒的な実力と豪胆な性格、そしてハードなライディングスタイルでライバルたちから頭ひとつ抜け出ている。
しかし、ジロ・デ・イタリア2024の個人優勝を記録したポガチャルは、ジロ・デ・イタリア2025に参戦していないため、今年は絶対的な優勝候補がいない混戦になることが予想されている。
一方、シャルル・ルクレールに相当するライダーが、レムコ・エヴェネプール(ベルギー)だろう。現在25歳のエヴェネプールは爆発力があり、これまでのキャリアを通じていくつものビッグタイトルを手にしているが、大きなミスをするときがあるのが欠点で、ポガチャルたちに一歩及ばない印象を与えている。
尚、エヴェネプールも怪我の影響でジロ・デ・イタリア2025出場を見送っており、グランツール第2戦ツール・ド・フランスに照準を合わせて調整を続けている。
他にも、ランド・ノリス的なポジションにノリスと同じ英国出身のトム・ピドコックがいる。ノリスとピドコックはともに優れた才能の持ち主だが、それぞれのスポーツ最大のタイトルを手にするには一貫性が不足している印象だ。
ルイス・ハミルトンと同じく円熟期を迎えているのがプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)だ。現在35歳のログリッチは多くのタイトルを手にしてきたがまだトップレベルに位置しており、今年はレッドブル=ボーラ=ハングスローエとともにキャリア2度目となるジロ・デ・イタリア制覇を狙っている。
05
アイコニックなロケーションと豊かな歴史
F1では、シーズンを通じてドライバーたちが世界的に有名なサーキットや歴史のある都市に設営される市街地コースを走行する。ロードレースも同じで、ライダーたちは世界各地を訪れながら、グランツールを頂点にした長い歴史を誇るレース群を戦い抜く。
グランツールはジロ・デ・イタリア(イタリア)、ツール・ド・フランス(フランス)、ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)の3戦だが、ジロ・デ・イタリアはこの中で最も美しく、最も厳しいとされている。
山岳ステージはスパ・フランコルシャンのようで、ステルヴィオ峠、モンテ・グラッパ、モルティローロ峠のクライムは、天候も影響してくる高難度と息を呑む絶景で有名だ。また、都市部のステージはモンテカルロ市街地コースのようで、第9ステージのフィニッシュ地点に設定されているシエナのピアッツァ・デル・カンポ周辺と最終ステージの舞台となるローマ市内は今年の大きなハイライトになる。
また、ジロ・デ・イタリアはただのロードレースではなく、イタリアのカルチャーを楽しめる時間でもある。すべての上りの沿道には熱狂的なイタリア人ファン(ティフォージ)が詰めかけ、都市部のフィニッシュ地点はモンツァやシルバーストンのグランドスタンドのような盛り上がりを見せる。
06
レッドブルのチームが参戦中
F1で20年以上トップチームとして活躍してきたレッドブルは、2024年のツール・ド・フランスからワールドツアーチーム、レッドブル=ボーラ=ハングスローエとしてロードレースにも本格的に進出している。
モータースポーツと同様、レッドブル=ボーラ=ハングスローエもただの数合わせではなく、グランツール通算5勝を誇るログリッチを中心にしたチームを用意して、個人総合優勝を狙っている。
ログリッチ以外のトップタレントには、ジロ・デ・イタリア2022個人総合優勝のジャイ・ヒンドレーや、ジロ・デ・イタリア2024個人総合2位のダニエル・フェリペ・マルティネスをはじめとするグランツールの経験が豊かなライダーたちが含まれているため、最終日まで大胆なアタックや逃げ、ハードレースが期待できる。
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