F1
F1 vs. 耐久レース:フェルスタッペンが直面する両カテゴリーの相違点
マックス・フェルスタッペンが5月に開催されるニュルブルクリンク24時間レースに挑戦する。耐久レースの世界で彼を待ち受けているチャレンジ、そしてF1との違いを詳しく解説しよう!
マックス・フェルスタッペンが2026年5月に開催されるニュルブルクリンク24時間レースに参戦することが決定した。耐久レースのニュルブルクリンク24時間レースは、彼がこれまで慣れ親しんできたF1の世界とは大いに異なり、考慮すべき未知の要素がいくつもある。
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フェルスタッペンがニュルブルクリンク24時間レース参戦を決めた理由
F1へ注力しながらレース活動の幅を広げているフェルスタッペンは、過去数年間でF1以外のカテゴリーにも参戦してきた。しかし、耐久レースへの挑戦は、28歳を迎えたフェルスタッペンにとって未知の体験だ。ニュルブルクリンク24時間参戦決定のアナウンス時、フェルスタッペンは次のようにコメントした。
「ニュルブルクリンクは特別な場所です。このようなサーキットは他にありません。ニュルブルクリンク24時間にはいつか参戦してみたかったので、今回実現することに大きな興奮を覚えています」
フェルスタッペンは自身のGTチームからF1以外のレースに参戦してきたが、耐久レースは初参戦となる。彼は準備が重要になることと、耐久レースがF1とは大幅に異なる体験になることを十分に認識している。
「昨年、ノルドシュライフェのDMSBライセンスを取得し、NLS9に参戦して優勝を飾ることができました。この挑戦には大きな価値がありました。多くの学びが得られ、今年の私たちのNLS2と24時間レースでのプログラムに活かせています」
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F1 vs 耐久レース:主な相違点
フェルスタッペンが最初に気付く違いは、彼がドライブするマシンだ。ニュルブルクリンクでのフェルスタッペンは、メルセデスAMG GTのステアリングを握るが、これは市販車をベースとしたGTカーで、レース仕様のシートやロールケージ、そして特別なタイヤを備えている。レッドブルのリバリーを纏っているが、メルセデス製のマシンであることも、フェルスタッペンにとってF1と大きく異なる点だ。
メルセデスAMG GTはGTカーとしてはトップクラスだが、フェルスタッペンが慣れ親しんでいるオラクル・レッドブル・レーシングのF1マシンほどパワフルではない。シートの着座位置も高く、ドライビング視点はF1と大いに異なる。
また、フェルスタッペンはチームメイト3人とマシンを共有することと、チーム全員が快適に乗りこなせるセットアップを引き出すことにも慣れなければならない。ニュルブルクリンク24時間に参戦する各チームは、3人もしくは4人のドライバーを登録し、交代でコックピットに乗り込ませる。
つまり、チームはF1のようにフェルスタッペンだけの好みに合わせてマシンをセットアップすることはできない。特定のドライバーに合わせたセットアップは他のチームメイトたちにとってドライブが難しくなる場合がある。ドライバーたちは、ピットストップでマシンのセットアップ変更に時間をかけることなく交代できる妥協点を見つける必要がある。
なぜなら、耐久レースはフィニッシュラインを最初にまたいだチームではなく、24時間で最も多くの周回を走破したチームが勝利するからだ。もちろん、スピードも必要だが、一貫性も重要になる。ほとんどのチームは、リードをキープするため、あるいは前走マシンとの差を縮めるために、スティントごとに目標ラップタイムを設定している。
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耐久レースで求められるスキル
ドイツ・アイフェルの山中にあるニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ(北コース)は1周25.3kmのサーキットだ。この距離はあらゆるF1開催サーキットよりも大幅に長いため、1時間あたりの周回数はこれまでフェルスタッペンが慣れ親しんできた数字よりも少ない。
耐久レースは要件もF1と異なっており、しかも24時間のレース全体を通じて変化していく。当然ながら、ニュルブルクリンク24時間では夜間のドライビングも含まれる。夜間のドライビングはドライバーたちを疲弊させ、コース上の視認性も悪化する。
各ドライバーは最長で3時間連続ドライブが許されており、スティント間に最低2時間の休息を取らなければならない。通常は、速いドライバーが他のチームメイトたちよりも長時間をドライブするが、責任はチームメイトたちと分かち合わなければならない。
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戦術の違い
耐久レースの戦術面もF1とは異なる。複数の異なるクラスのマシンが混走するため、他のマシンよりも圧倒的に速いマシンが同時走行することになる。最速はSP9クラスで、その次がSP10だが、その他にも多種多様な市販マシンが混走する。
つまり、耐久レースでは純粋なスピードよりも「生き残ること」が目的になる。24時間レースが続くことを考えれば、各チームはその時間の中で1分でも長くマシンを走らせる必要がある。他のマシンとのバトルに巻き込まれてしまえば、予期せぬ災難に見舞われる可能性がある。フェルスタッペンは慎重にトラフィックをかわしていく必要があるが、幸いなことに遅いマシンの大半はスムーズに道を譲ってくれるはずだ。
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その他の細かな相違点
視聴者やフェルスタッペンが慣れなければならない細かな違いは、他にも数多く存在する。まず、レーススタートの手順がF1と大きく異なる。ニュルブルクリンク24時間は、3グループに分かれた ローリングスタート制を採用している。この方式を採用することで、レースオーガナイザーはクラスの異なる各マシンを管理してスタート直後の過度の混乱を防いでいる。
また、各チームがレース中に使用するタイヤは、様々なサプライヤーから提供される複数の種類に分かれている。フェルスタッペンはF1と同じように、耐久レースでもタイヤパフォーマンスを最大限に引き出すマネジメントを行わなければならないが、自分好みのタイヤに交換したり、その時のチームの状況に最適なコンパウンドを選択したりできる。
そして、なんといっても、ニュルブルクリンクの天候は極めて予測不可能だ。雨が降るタイミングをドライバーたちが予測することはできず、雨が降れば、各チームは急遽ウェットタイヤを準備することになる。
F1で12シーズン目を迎えているフェルスタッペンにとって、今回のニュルブルクリンク24時間挑戦が全く異なる体験になることは間違いない。フェルスタッペンはレースが開催される5月中旬までにメルセデスのGTカーを習熟していくはずだが、耐久レース特有の複雑さは初めての経験になるだろう。
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