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合計16日間に及ぶ世界最大級のeスポーツトーナメントが終わると同時に、ヨーロッパで現在売り出し中のeスポーツチームRix.GGはキャリアを変える戦いも終わった。
2020年に結成されたeスポーツチームRix.GGは、2021年7月にRiot Gamesが512チームを集めて開催した《VALORANT 2021 CHAMPIONS TOUR》のヨーロッパ大会に臨み、《VALORANT 2021 CHAMPIONS Challengers》出場権を獲得した。これは世の中すべての『VALORANT / ヴァロラント』(以下、『VALORANT』)チームにとって素晴らしい功績と言える。たった数週間前にチームメンバー同士が現実世界で初顔合わせを済ませたばかりのチームにとっては尚更だ。
「Rix.GGのメンバー構成は、英国に数人、ポーランドにひとり、スウェーデンにひとりです。ですので、いつもはオンラインでコーチングしています」とRix.GGのコーチを務める元『CS:GO』プロプレイヤーのBrandon Weberは語る。「もちろん、COVID-19がありますので、現在の活動のほとんどはオンラインです。ですので、今回のブートキャンプの話にはいちもにもなく飛びつきました」
Discord上でストラテジーについて書かれたドキュメントやファイルをチェックするだけの1年を送ったあと、Rix.GGはロンドンへ向かい初のオフライントレーニングセッションに挑んだ。Red Bull Gaming Sphere Londonを訪れた現在売り出し中の『VALORANT』チームは、キャリア最大のトーナメントを前に結束力を高めていった。
「僕たちはRiot Gamesの《VALORANT 2021 CHAMPIONS TOUR》に参加していたんです。メインイベント進出を狙っていました」とJoseph “Luzuh” Looseは語る。「このツアーは年3回開催されるのですが、僕たちが参加していたのはその3回目でした。大きなチャンスでした。Red Bull Gaming Sphereに到着したタイミングですぐに予選が始まりました」
チーム史上最大のトーナメントのためにRed Bull Gaming Sphereに集い、一緒にトレーニングして一体感を高めていくことがRix.GGの狙いだった。しかし、ひとつだけ問題があった。隔離だ。プレイヤー数人の隔離が解除されなかったため、11日間予定されていたブートキャンプは突如として5日間に短縮され、そのホテルでの隔離が解除されたのは対戦のわずか数時間前だった。つまり、オフライン用に急造されたチームは、ギリギリのタイミングで初めてチームメイト同士で握手を交わしたのだ。しかし、そこにプレッシャーはなかった。
通常ならオンラインでプレイしていたはずの非常に重要な対戦をオフラインでプレイできたのは本当に最高でした
キャリアを決定づける重要なトーナメントの出場権が懸かっていたにもかかわらず、Rix.GGは同じ空間で一緒にプレイできることにただただ喜びを感じていた。
「ブートキャンプで一番良かったことは全員と並んでプレイできたことですね」とJosephは振り返る。「通常ならオンラインでプレイしていたはずの大一番をオフラインでプレイできたのは本当に最高でした。チームメンバー全員に実際に会えたことだけで興奮しましたね。フィストバンプをしたり、叫んだりしながらお互いを盛り上げていくのはボイスチャットでは不可能です」
時間がない中で重要な対戦に向けた準備を進めなければならなかったが、ようやく一緒に集まってトレーニングできたことが、勝利に必要なアドバンテージをRix.GGに授けることになった。Josephが話を続ける。
「ヨーロッパのトップ8に残ることができました。512チームが参加したトーナメントでトップ8に入れたんです。512チームですよ! ブートキャンプのすべてが素晴らしかったですね。勝利はもちろんですが、チームメイトに初めてちゃんと会えたのが良かったです」とチームマネージャーのJay Batzofinは振り返る。「奇妙な感覚でしたが楽しい経験になりました」
コーチのBrandonは、オフライントレーニングによっていつも以上にチームメンバーを細かくチェックできたことがRix.GGをネクストレベルへ押し上げたのは明らかだとしている。
「各プレイヤーが本来の実力を発揮していましたね。オンラインでのトレーニングよりも短時間で多くをこなせたと思います。なぜなら、自宅でのトレーニングは邪魔が多いからです。電話に出たり、Twitterをチェックしたりできます。オフラインでは、僕が伝えたことにちゃんと取り組んでいるかどうかを確認することができました」
「大げさに言っているわけではありませんが、ほとんどすべての面が急速に成長したと思います。通常なら、ビッグマッチの前はDiscordで画面共有をしたあと、マウスを使いながら対戦相手について “彼らがこう動いたらこうだ” などと説明しています」
「ですが、ブートキャンプでは、ビッグマッチの前に僕とBrandonが大型ディスプレイの前に立って指示できました。最高の準備ができたと思います。大型ディスプレイで説明する方が、より簡単に戦略を理解してもらえます。マウスを使いながらオンラインで説明しても、全員に理解してもらえたかどうかが分からないのです」
では、Rix.GGはこの環境によって波に乗れたのだろうか? 「いいえ、自宅に戻ったあとは負けてしまいました」とJosephは笑顔で話す。「先週トップ8以降が開催されたのですが、トップ4で敗れてしまいました。次のトーナメントと《VALORANT CHAMPIONS TOUR》を待つしかないですね」
世界中からプレイヤーを集めた多国籍eスポーツチームが増えている今、オフライントレーニングの効果が見過ごされているという印象を持つのは簡単だ。Rix.GGも多国籍eスポーツチームだが、彼らは同じ空間で一緒にトレーニングすることが生み出す効果を実体験した。そのため、同チームのeスポーツ部門のリーダーを務めるZack Chandlerは、プレイヤーたちがオフラインで集まれるチャンスを増やそうとしている。
「間違いなく今回のような機会の可能性についてさらに調べていくつもりです。なぜなら、私たちが抱える『ロケットリーグ』チームもこのようなブートキャンプから確実にアドバンテージを得られるからです」
「オフラインで一緒にプレイすることがプレイヤーにとって大きな恵みになることはすでに理解しています。成功するためのベストチャンスをチームに提供したい思っているあらゆるeスポーツオーガニゼーションにとってオフライントレーニングが最適解だということは、誰の目にも明らかです」
Rix.GGの『VALORANT』チームはまだ若いが、チームメンバーの大半が『CS:GO』のプロシーンで長年活躍してきた経験を持つ。『VALORANT』をプレイするようになってからまだ日が浅いが、彼らは10年以上プレイしてきたゲームよりもRiotの最新シューターの方が自信を持ってプレイできている。Josephは次のように語っている。
「実は『CS:GO』ではすべてがもっとゆっくりしていましたし、アップデートも小規模でした。Valveはそこまで大きな変更を用意していません。半年に1回のペースで植物を置き換えているくらいです。ですが、Riot Gamesは『VALORANT』を定期的にアップロードしたり、メタを変えたりしながら、2〜3ヶ月後にはフレッシュなゲームになるようにしています。定期的に新鮮な雰囲気が味わえるんです。これが『VALORANT』の良いところです」
より重要なポイントは、チームメイトたちと同じ空間でお互いを鼓舞しながら勝利の興奮を得られたことで、Rix.GGのメンバーたちがパンデミック期に結成された自分たちのキャリアの未来を具体的にイメージできるようになったということだ。Josephは次のように語る。
「オフラインの『VALORANT』トーナメントはまだあまり経験できていません。なぜなら、パンデミックなどの問題があるからです。ですが、僕たちが次にプレイするトーナメントはオフラインになると思います。ティア1のイベントでプレイできるようになり、ティア1プレイヤーとは何なのかを体験したいですね」
「僕は『CS:GO』時代はティア1プレイヤーではなかったのですが、『VALORANT』のRix.GGは全員がティア1〜2レベルです。真のeスポーツプロプレイヤーライフを体験できるようになることを楽しみにしています!」
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