岩佐歩夢
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フォーミュラレーシング

SUPER FORMULA完全ガイド:ドライバー編

レーシングドライバーの岩佐歩夢、レッドブル、Motorsport.comがタッグを組んで届けるSUPER FORMULA完全ガイド。ルール、マシン、戦略、ドライバーの見どころを基礎から分かりやすく解説。
Written by Kenichiro Ebii (Motorsport.com日本版)
読み終わるまで:10分Published on
日本最高峰のフォーミュラカーレース『SUPER FORMULA(スーパーフォーミュラ)』。そこで戦う選手たちとは、どんな人間なのか? 現役のスーパーフォーミュラ参戦ドライバーで、2025年の年間チャンピオンである岩佐歩夢の解説も交えながら紐解いていく。
岩佐歩夢

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記事の内容まとめ

Q&A

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スーパーフォーミュラにはどんな選手が出場している?

SUPER FORMULA

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2026年のスーパーフォーミュラには、全16チームから24名のドライバーがエントリーしています。代役参戦も含めると総勢25名。その内18名が日本人ドライバーで、7名が外国籍のドライバーです。

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最年少は20歳、最年長は40歳ですが、その大半が20代と、若いドライバーの割合が大きいことも特徴です。
また、スーパーフォーミュラ史上初の女性ドライバーとして、Juju(野田樹潤)が2024年に参戦。ヨーロッパを中心にレース経験を積み、18歳でスーパーフォーミュラデビューを果たしました。
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スーパーフォーミュラのドライバーになるには

岩佐歩夢

岩佐歩夢

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スーパーフォーミュラは、野球で言う日本プロ野球、サッカーで言うJリーグ(J1)のような立ち位置です。スーパーフォーミュラにたどり着くまでのルートは人それぞれですが、「10代からレーシングカートの世界で活躍した後、フォーミュラカーレースのピラミッドを登っていく」というキャリアパスが一般的です。
サーキットでの自動車レースに参加できる競技ライセンスは少なくとも高校生になるまでは取得できないため、プロのレーシングドライバーを志す子供たちの多くは幼少期からレーシングカートの世界で腕を磨きます。
サーキットでのレースにデビューしてからは、まずは入門レベルのフォーミュラカーレース(FIA F4やスーパーFJなど)に参戦し、結果を出して周囲に認められることで、より速いマシンで競われるレベルの高いレースへとステップアップしていきます。その先にあるアジアの頂点がスーパーフォーミュラであり、世界の頂点がF1です。
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スーパーフォーミュラ参戦を叶える上で、特に大変なことは?

スーパーフォーミュラへと辿り着く過程で多くのドライバーが直面するのが、資金の壁。モータースポーツはとにかくお金のかかる競技であり、カートレースの段階から、全国大会レベルで万全な体制の下でレースをするには年間で数千万円が必要になるとも。簡単に用意できる金額ではありません。
そのため彼らは、レースやオーディション(レーシングスクール)などで自らの実力を示すことで、自動車メーカーなどから金銭面や体制面のサポートを勝ち取り、最高峰の舞台まで這い上がってきたのです。
SUPER FORMULA

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岩佐 歩夢: 「正直僕は、資金的な問題は他のドライバーさんと比べてもかなりあったと思います。カートの全日本選手権に出ていた時に資金的に厳しくなり、特定のチームに所属せず家族チームで参戦していましたが、それでも苦しかったです。

一時はレースを続けることができない状況になりましたが、当時の所属チームやスポンサーさんが支援してくださったことによって、レース活動を続けることができました。スクール時代は、ここでトップを獲れないと世界のトップは獲れないと考えていたので、落選したらレース活動に区切りをつけようと考えていました」

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スーパーフォーミュラのドライバーがF1に参戦することもある?

スーパーフォーミュラで活躍したドライバーがF1に参戦することも、F1で活躍したドライバーがスーパーフォーミュラに参戦することもあります。
「スーパーフォーミュラからF1へ」の近年の代表例といえば、リアム・ローソンとピエール・ガスリー。彼らはどちらもレッドブルの育成ドライバーとしてスーパーフォーミュラに参戦すると、いきなりチャンピオンを争う活躍を見せ、F1デビューへの足がかりとしました。
リアム・ローソン

リアム・ローソン

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岩佐選手も、リザーブドライバーとしてF1チームに所属して大会中のフリー走行(練習走行)に参加したり、レースの事前シミュレーション作業に関わるなど、F1参戦に向けて着実に歩を進めています。
また、F1への参戦経験を持ち、日本人最高タイとなる3位表彰台を獲得した小林可夢偉は、2015年からスーパーフォーミュラに参戦しました。
ピエール・ガスリー

ピエール・ガスリー

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スーパーフォーミュラのドライバーは運転技術以外に何が求められる?

スーパーフォーミュラのマシンは、常人では考えられない勢いで加速・減速し、100km/hや200km/hといったスピードでコーナーを曲がることができますが、その度に強烈なGがかかり、身体に大きな負担を与えます。こういった負荷に耐え得る肉体をトレーニングによって作り上げることもレーシングドライバーの仕事のひとつです。
岩佐歩夢

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また、300km/hの世界では一瞬の判断ミスが文字通り命取りとなるため、反射神経を鈍らせないようなコンディショニングも重要となります。
レーシングドライバーは、コックピットに乗り込んでただクルマを運転しているだけ……そう思われがちですが、実はフィジカル的な負担が非常に大きいです。彼らも立派なアスリートなのです。
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スーパーフォーミュラのドライバーにかかる肉体的負荷はどのくらい大きい?

一例として、高速走行中にアクセルを離すだけでも、一般道で急ブレーキをかけた時のような衝撃がドライバーを襲うと言われています。またコーナーを曲がる際には、横から数百kgの物体にのしかかられる感覚に耐えないといけません。
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レーシングドライバーをよく見ると、首が太いことに気付くかもしれませんが、これも強烈なGをものともしないためのトレーニングの賜物です。
その他、ブレーキペダルも乗用車とは比べ物にならないほど重く、狭いコックピット内は灼熱地獄。レース中は何かと体力を消耗し、上記の負荷が重なってドライバーによっては心拍数が200回/分に達する者もいると言います。
岩佐歩夢

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岩佐 歩夢: 「僕はフィジカルには重点を置いていて、他がやっていないトレーニングも結構やっていると思います。そこは僕もトレーナーも自信を持っていますし、内容は企業秘密です!

簡単に言うと、クルマに乗り込んだ時に自分の100%に近いパフォーマンスをスピーディかつ確実に出せるようにするトレーニングです」

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スーパーフォーミュラのレース中、ドライバーは何を考えている?

レース中は常にライバルとの駆け引きが続きます。特に接近戦の場合は攻撃・防御において瞬時の判断が求められます。し、スーパーフォーミュラでは“オーバーテイクシステム”と呼ばれるブーストボタンが一定時間使用できるため、このブーストをどこでどう発動させるかも頭の使いどころとなります。
岩佐歩夢

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そしてそんな駆け引きをしつつも、タイヤのことも気遣う必要があります。バトルのために乱暴な走りを続けると、タイヤが消耗してグリップ(路面を捉える力)が下がり、結果的にペースが落ちてしまうからです。レース中のスーパーフォーミュラドライバーは、さながら「マラソンをしながら将棋を打っている」ような状態なのです。

岩佐 歩夢: 「レース中はタイヤと“会話”をしながら、グリップを最大限使って速く走らせつつも、タイヤをダメにしてしまわないようにマネジメントする必要があります。

ただ今となっては、そこは考えるというよりも『身体が勝手に反応してアジャストする』という領域になってきていると思います。そうすることで、レース戦略や駆け引きに頭を使えるキャパシティが作れますから」

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「速いドライバー」と「強いドライバー」は何が違う?

1周のタイムアタックを行う予選では、極限の集中力でミスなく0.001秒でもタイムを削り出す“速さ”が求められ、決勝レースではライバルとの駆け引きやタイヤマネジメントなど様々な要素がある中で、安定して周回を重ねる“強さ”も求められます。
ただモータースポーツは“クルマ”を使った競技であり、チームの調整によるマシンの仕上がりが結果に大きく影響します。したがって、予選順位の悪いドライバーは速さがない、決勝で順位を落とすドライバーはレースに弱い、などと一概に断じることもできないのです。
岩佐歩夢

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岩佐 歩夢: 「予選では少しでもミスがあったり、マシンの最大限の性能を引き出せないとポールポジションは獲れませんし、逆にドライバーが完璧なアタックをしても、クルマの仕上がりが良くなければポールポジションは獲れません。マシンとドライバーのパフォーマンスがうまく噛み合わないと、“速さ”には繋がりません。

ドライバーとしては、攻める立場なら相手の隙を見逃さずに確実にオーバーテイク(追い抜き)すること、守る立場なら相手に隙を見せないことが、レースでの“強さ”と言えると思います。あとはレースが進むにつれて、自分のフィジカルもタイヤも消耗していく中で、いかにマシンとタイヤをコントロールして、パフォーマンスを引き出すかも強さのひとつです」

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スーパーフォーミュラ参戦ドライバーのどんなところに注目すべき?

もちろん、レースでの速さや強さに注目するもよし、ドライバーのキャラクターやバックボーンなど人間的な部分まで深掘りするもよし、ビジュアルで決めるもよし……“推し方”には様々な選択肢があります。
岩佐歩夢

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スーパーフォーミュラには、様々なキャリアのドライバーが集まっています。これからF1を目指そうという者、F1の夢からは遠ざかってしまったが日本で再起を図る者、紆余曲折を経てようやくトップカテゴリーにたどり着いた者……彼らのキャリアを調べてみるのもいいでしょう。シンパシーを感じたり、応援したくなるドライバーが見つかるかもしれません。
またスーパーフォーミュラが提供しているデジタルプラットフォームの『SFgo』では、レース中の無線交信を聞くことができます。そこでは各ドライバーの性格も色濃く出ています。アツいドライバー、クールなドライバー、面白いドライバー……レース中はヘルメットを被っていて見えない彼らの奮闘と人間性が垣間見えます。
SUPER FORMULA

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岩佐 歩夢: 「自分で言うのもあれですが、僕はあまり目立たない人間だと思っています(苦笑)。いきなりヒーローになるタイプというより、着実に結果を積み上げていって頂点にたどり着いていくような人生なのかなと。

僕は最終的にF1でワールドチャンピオンになるという目標があるので、そこに向けてどんな戦いをして、どんな人生を歩んでいるかに注目していただきたいです」

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監修/協力

岩佐歩夢: 世界を舞台に活躍するレーシングドライバー。2020年にフランスF4選手権を制し、翌2021年にレッドブル・ジュニアチームに加入。FIA F3、FIA F2を経て、2024年からスーパーフォーミュラに参戦。2025年にはシリーズチャンピオンに輝いた。F1のリザーブドライバーとしても経験を積み、さらなる高みを目指して挑戦を続けている。
Motorsport.com 日本版: 世界規模で展開するモータースポーツ専門メディアの日本版(2016年配信開始)。F1をはじめ、MotoGP、スーパーGT、スーパーフォーミュラ、WECなど、国内外のさまざまなレースカテゴリーを網羅。世界各地のジャーナリストによる現地取材や独自の分析を通じて、最新ニュースからレース解説、ドライバーインタビューまで、モータースポーツの魅力を幅広く発信している。

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