スケートボード
“ストリート”と“コンテスト”の異なる世界。しかし、それは本当に対極のものなのか? ストリートで自らの表現を追求しながら、世界の舞台で戦い続ける堀米雄斗にとって、この2つのフィールドはどのような意味を持つのか、本人に尋ねてみた!
▶️ 堀米悠斗のプロフィールは【こちら】
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コンテストはストリートの延長上にある
一流のスケーターは数多く存在するが、その両方を極める者はごくわずかだ。そんな中、コンテストの舞台でもストリートの現場でもトップレベルの滑りを見せるのが堀米雄斗。彼にとって、これら2つはどんな意味を持つのだろうか?
「限られた環境でベストを尽くすコンテストの緊張感も好きだし、街を滑りながら、自分のやりたいことを自由に表現できるストリートの楽しさもある。どちらもスケートには欠かせない大事な要素だと思います」
自由な発想で魅せるストリートと、トリックを競い合うコンテスト。そのどちらにも魅力があると言う堀米はこう続ける。
「僕がスケートを始めたのは、近所の小さな公園やストリートでした。そこからスキルを磨いていくうちに、大会という舞台が見えてきた。だから、僕にとってコンテストはストリートの延長線上にあるもの。どちらかだけを特別視することはありませんね」
「ストリートの延長線上にコンテストがある」と捉え、その2つのカルチャーを行き来しながら、自分のスタイルを磨き続けるのが堀米雄斗というスケーターだ。
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コンテストとストリート、それぞれのいいところ!
どちらもスケートボード。その考え方こそ、「スケートの楽しみ方は一つじゃない」という何よりの証だ。堀米雄斗に、それぞれの魅力についてもう一歩踏み込んで聞いた。
「コンテストの魅力は、世界トップレベルのスケーターたちと直接ぶつかり合いながら、お互いを高め合えるところです。自分の限界を試す場でもあるし、その緊張感があるからこそ、成功したときの達成感が大きいんです」
一方、ストリートは「ライフスタイル」そのものだと、堀米は語る。
仲間と新しいスポットを探し、試行錯誤しながら映像を撮る。そこには、単に技を決めるだけではなく、その過程やストーリーを含めた総合的な楽しさがある。
「ストリートでは、その場のノリ、時にはハプニングすらも魅力の一部。スポットごとに難しさが違うし、あっという間にキックアウトされる(追い出される)こともある。でも、それも含めて挑戦するのが面白い」
堀米の語るストリートの魅力は、ただ街中で滑るだけにとどまらない。
「アフタースケートで仲間とご飯を食べに行ったり、滑り終えた後に家でゆっくり過ごしたりする時間も一部だと感じています。技だけじゃなくて、仲間との繋がりも含めてのもの。だから、ストリートでの時間は特別なんです」
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ストリートスケーターとして目指すもの
ストリートには、その場の空気、街の景色、仲間との時間……、すべてが詰まっている。
しかし、それをどう切り取るかは人それぞれ。だからこそ、堀米も映像制作には強いこだわりを持ち、日本や海外での撮影に意欲的だ。
どこで、どう滑るか、そしてそれをどう残すか。その瞬間の空気感やストーリーを映像作品として残すことは、スケーターにとって重要な意味がある。
「ビデオパート(映像作品)は、自分のスタイルや表現を伝えるもの。日本だけで撮った映像をまとめても面白いし、NYやパリみたいな都市で撮影するのも魅力的。場所ごとの雰囲気を生かしながら、自分ならではの映像を作っていきたいと思っています。アイデアはたくさんあるので、今後の活動を楽しみにしていてほしいですね」
そして、ストリートスケーターとして映像制作の目標を語りながら、日本のシーンを築いてきた先輩たちへの感謝を口にした。
「僕はストリートスケートを通じて多くのことを学んできました。それこそスケートボードがなければ今の自分はないと思っています」
ストリートは、単に滑る場所ではなく、カルチャーが生まれ、継承される場でもある。その未来をつくるために、堀米は今日もコンクリートの上を滑り続ける。
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コンペティターとしての挑戦
コンテストの舞台で戦うスケーターとして、堀米雄斗が何よりも大切にしていることは何か。その答えはシンプルだった。
「成長し続けること」
東京、パリと大舞台での金メダルを手にしても、彼は歩みを止めるつもりはない。次なる高みを目指し、日々のトレーニングを積み重ねているようだ。
「コンテストでは、新しい技を決めることが求められます。だからといって、難しいトリックをひたすら練習するんじゃなくて、自分のスタイルに合った技を見つけることが大事。だからこそ、常に新トリックを考えながら、自分をアップデートし続ける必要があると思っています」
技の精度と同じくらい重要なのが、メンタルのコントロールだ。限られた時間の中で完璧なランを作り上げるためには、観客の視線やプレッシャーに打ち勝つ強さが必要になる。
「大会はいつだって緊張するもの。でも、その緊張感があるからこそ、自分の限界を超えられるし、成功した時の喜びも格別なんです」
極限のプレッシャーの中で、自分自身と向き合い、進化し続ける。堀米雄斗にとって、コンテストとは単なる競技の場ではなく、自分を高めるためのフィールドなのだ。
「自分のことを完璧だと思ったことはないですね。まだまだ足りない部分があるので、日々さまざまなインスピレーションを自身のスタイルに昇華したい。成長し続けたいと思っています」
X GamesやWorld Championship、そしてOlympicsと、錚々たるタイトルを総なめにしてきた堀米。しかし、まだまだ極めたいことがあるという。それが、SLSのスーパークラウンやTampa Proの3連覇など。つまり、まだ誰も成し遂げたことのないこと。
堀米は、スケートボードの歴史に名を刻む偉業の数々を残すべく挑戦し続ける。
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レッドブルとのリレーションで叶えたい夢
だが、彼が目指しているのは、決して勝つことだけではない。
「このカルチャーの魅力を、もっといろんな人に知ってもらいたいんです。東京、パリを通じて僕のことを知ってくれた人も多い。これをきっかけにスケートボードの素晴らしさや魅力を伝えていけたらいいと思います」
最後にレッドブルへの加入で可能になる活動もあるのでは? という質問をぶつけるとこう返ってきた。
「お祭りでありコンテストでもあるレッドブル・オリジンのような大会をプロデュースして日本でも開催できれば面白いと思います。ストリートやコンテストの垣根を越えてスケートボードを愛するすべての人が集まれるポジティブなイベントにしたいですね。そうすれば、もっと多くの人にスケートの面白さを伝えることができるし、シーンはさらに大きくなる。自分一人ではできないようなことも、レッドブルとならできる。そういった未来を想像すると今からわくわくしてしょうがないですね」
▶️ 他にも堀米悠斗がレッドブルと歩む新しい未来について語った記事は【こちら】
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