Reichi
© Tasuku Amada
ミュージック

Reichiインタビュー「自分に正直に生きる。それで韻を踏めばバースになる」

シンプルなビートの上で64小節ものあいだひたすらスピットする【Red Bull 64 Bars】。このロングバースに挑んだReichiに、ヒップホップとの向き合い方や人生観についてストレートに切り込んだショートインタビュー。
Written by Tasuku Amada
読み終わるまで:4分Published on
— Red Bull 64Bars、挑戦してみてどうでしたか?
Reichi「最初はもうちょっとユルく考えてたんですけど、一発撮りって聞いて火がつきましたね。だから緊張もしたし、終わったあとは超気持ちよかったです(笑)。
『64Bars』はごまかしが一切効かない、本当に直球勝負ですけど、今日撮影現場にいる人たちに『お、うまいじゃん』って驚いてほしいと思ってました」
Reichi

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— 64小節のリリックを書いてる時はどんなことを考えてましたか?
Reichi「自分のパーソナルな部分を正直に書こうと思ってました。たとえばライブを見てくれた人とかが『かっこよかったです』って言ってくれたりもするけど、日常の私は結構抜けてるっていうか、ドジな部分も多かったりするんで。そういうところをうまく表現したいなと思って書いてました」
— そのなかでも気に入ってるラインはどのあたり?
Reichi「おっぱいでっかいラッパー 増えてしちゃうジェラシー
ってとこですかね。見た目気にしてダセーよって言われちゃうかもしれないけど、でも正直な気持ちが一行にこもってる気がするし、結構笑える。素直でいいなって感じですね」
Reichi

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— Reichiさんが音楽をつくる上で大切にしていることは何ですか?
Reichi「やっぱりお客さんがどう思ってくれるかも大事なんですけど、まずは自分がやって自分でぶち上がっちゃうっていう状態をきちんとつくれているかっていうのがいちばん重要なところだと思ってます。自分のキャリアもだんだん長くなってきて振り返ってみると、他の人が求める曲はこうだからって、自分ではあんまり気に入ってない曲もやってきたなって思うんですよね。自分のなかでいろいろ試してきたってことなんですけど。でも今は、自分が本当にこの曲をやりたいと思ってるか、これを本当に聴いてほしいって思える曲やラインになってるか、っていうのを大事にしてます」
Reichi

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— では、生きていく上で大切にしていることはどんなことですか?
Reichi「生きていく上でも、音楽に関しても、やっぱり“正直”っていうのを今は大事に思ってます。本当は賢くいたいけど、そうじゃないよっていうような素直さも含めて。たとえば自分はビッチじゃないよって本当は言い切りたいけど、今日のリリックにも書いたみたいに、ノリでお持ち帰りしちゃって次の日反省するようなことだってある(笑)。でもそういうのをバースにしたらおもしろいじゃん、って思うから。韻踏んだらそれがおもしろいバースになるじゃんって。そういう正直な自分で生きていられるのがいいなって思います」
Reichi

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— 日本のヒップホップシーンのなかでどんな存在でありたいと思いますか?
Reichi「日本のヒップホップの歴史を間違いなくつくってきた上の世代と、そこからトラップだったりハイパーポップだったり新しい流れを自由につくっている下の世代の、ちょうど間の世代だと思うんですよね。でも私自身は昔ながらのスタイルでヒップホップを学んできたと思うし、たとえば、ヒップホップは知識も大事で『知らなかったらダサい』っていう感覚で生きてきたB-BOYの人たちの感性を、私はかっこいいなって思うんです。そういう自分が受け継いできた感性をうまく体現できたらいいなと思います」
XLII & Reichi

XLII & Reichi

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— 最後に、Reichiさんが思う“ラッパーの理想像”とは?
Reichi「知性があって、でもそれをひけらかすことなく、遊び心に変えて表現できるような人が私は好きなので、理想像はそういうラッパーですね」
Reichi

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Red Bull 64 Bars - INTERVIEW