Elijah Hall trains in Los Angeles, CA, USA on June 1, 2023.
© Caydie McCumber /Red Bull Content Pool
ランニング

短距離走 / スプリント:おすすめテクニック・トレーニング方法

スプリンター / 短距離走をはじめたい初心者、またはもっと上達したい人のための練習方法やテクニックをまとめて紹介!
Written by Natalie Hamingson
読み終わるまで:8分Published on
短距離走に一生を賭けている人、あるいは日々のエクササイズルーティンの一部として扱っている人を問わず、走るたびに少しずつ速く、そして強くなっていけば誰でも嬉しいはずだ。しかし、怪我をすることなくスピードを高めるためには、正しいテクニックを身に付けることが重要だ。
01

短距離走の仕組みを学ぶ

カールステン・ワーホルムはスプリントのダイナミクスの重要性を熟知している

カールステン・ワーホルムはスプリントのダイナミクスの重要性を熟知している

© Herman Berger/Red Bull Content Pool

安全に正しく走れるようになる前に、スプリントおよび短距離走の生体力学的な仕組みを理解しておくことが重要だ。そこには、スタートポジション反応時間力の発生(推進させる力)テクニック神経など、走者のパフォーマンスに影響を与えるあらゆる生体力学要素が含まれる。また、追い風・逆風などの環境要素も影響する。
自分の走りに生物力学がどのように影響を与えているのかが理解できれば、どこに取り組めば良いのかが分かるので、テクニックをより簡単に向上できるようになる。たとえば、反応時間が遅いなら、そのスピードの微調整と集中力を鍛えていけば、号砲が鳴ると同時に超速で飛び出せるようになるだろう。
身体の姿勢とアライメントもパフォーマンスに大きな影響を与える。これらが正しければ、効率的に力を生み出しつつ、ストライドを伸ばすことができる。短距離走用の正しいフォームを身に付けるためには、頭・首・肩を臀部と直線にして、膝を高く上げる必要がある。
02

ウォームアップ&クールダウン

安全かつ効果的なスプリントのカギとなるのが正しいウォームアップとクールダウンだ。正しいウォームアップとクールダウンは、怪我の確率を最低限に下げ、リカバリー速度を高めると同時に、スプリントの最高速度を高めてくれる。
筋肉を温めて緩めておくことがトップスピード到達のカギ

筋肉を温めて緩めておくことがトップスピード到達のカギ

© Harrison Hill/Red Bull Content Pool

ウォームアップおすすめエクササイズ

  • ジョグ:数分間ジョグをしてゆっくりと心拍数を高めていく。
  • バットキック:ハムストリングをウォームアップするためのエクササイズ。両足を尻の幅に離して立ち、踵をゆっくりと臀部へ近づけていく。片足ずつ行う。最初はゆっくり、徐々にスピードアップしていく。
  • ハイニー:ハイニーで両脚と体幹をウォームアップできる。膝を胸へ近づけていくことで、大腿四頭筋、ふくらはぎ、ハムストリング、臀部、股関節屈筋がほぐれていく。スピードは自分の好みで問題ない。
  • ランジ:ランジはバランスと可動性を高めてくれるので、コーナーリングのテクニックが向上する。片足5回ずつが理想的な回数だ。
ワークアウト後のストレッチも重要

ワークアウト後のストレッチも重要

© Adam Klingeteg/Red Bull Content Pool

クールダウンおすすめエクササイズ

クールダウンもウォームアップと同等に重要だ。自分の身体を休息モードへ移行できるので、怪我の確率を下げることができる。以下のクールダウン用エクササイズを行おう。スプリントセッションを終えるごとに正しく休息すれば、身体の柔軟性を回復できる。
  • スロージョグ:2〜5分間イージーペースのジョグをすれば、心拍数をゆっくりと元に戻すことができる。
  • 大腿四頭筋のストレッチ:スプリントでは大腿四頭筋を酷使する。そこで、膝と太腿をくっつけてストレッチをしていく。右足を右手で持ち、臀部へ近づけていく。近づけた姿勢を10〜20秒維持したあと元に戻し、左右を入れ替える。
  • 膝を胸につけるストレッチ:このストレッチでは、両脚を伸ばした状態であお向けに寝る。右膝を胸へ近づけていき、腰がストレッチできていると感じたら、10〜15秒その姿勢をキープする。そのあと元の姿勢に戻り、左右を入れ替える。
  • スタンディング・ランジ:このエクササイズには筋肉の緊張をほぐし、怪我の確率を下げる効果がある。その場でランジの姿勢を取り、後ろ脚は伸ばしたまま、上半身を前方に傾けながら、前脚の膝を曲げていく。臀部がストレッチできていると感じるまで曲げていき、10〜15秒間キープする。元の姿勢に戻ったあと、左右を入れ替える。
03

スプリントの基本テクニック

初心者にとって最も重要なスプリントテクニックのひとつが、スターティングブロックでのポジショニングだ。両手・両足を地面につけながら、頭を持ち上げて前方を見て、号砲と同時にスタートする。この姿勢をマスターできれば安定性が増し、推進力を高めることができる。
短距離走を4段階に区切るアプローチを取れば、生体力学をさらに最適化してスピードアップができる。各段階でフォームとスピードを維持することが非常に重要だ。フォームは鏡を見ながら、またはコーチと一緒に練習することで向上させることができる。
スターティングブロックからの鋭くパワフルなスタートが重要

スターティングブロックからの鋭くパワフルなスタートが重要

© Miriam Lottes/Red Bull Content Pool

走行段階ではフロウに身を任せられるかどうかがカギになる

走行段階ではフロウに身を任せられるかどうかがカギになる

© Diego Menzi/Red Bull Content Pool

スプリントの4段階

  • スタート:この段階でスターティングブロックから飛び出してスプリントを始める。スプリンターの大半は利き足をフロントブロックに置いている。ブロックを足の裏で押して水平方向のパワーを発生させることで前方に飛び出す。
  • 加速:この段階ではパワーが水平方向から垂直方向へ切り替わる。最高スピードに達したいなら、脚をしっかりと伸ばすことが重要になる。この段階で正しい角度の前傾姿勢を取ることができれば、勢いを得ることができる。
  • 走行:この段階では身体を起こしてトップスピードで走行する。背筋を伸ばし、真っ直ぐ前を見ながら、フィニッシュラインへ向けて前進していく。
  • 減速:この段階では、疲労やその他の減速要因に対抗するため、パワーを下げて走行を続ける。最後の数秒を最大限活用するために、膝を高く上げ、肘を90℃に曲げた姿勢をキープすることが重要になる。
04

スプリンター用呼吸テクニック

呼吸法をマスターし、スピードトレーニングでスピードアップすれば、タイムが劇的に向上する。
スプリンター用呼吸法は非常に重要で、以下のやり方でマスターできる:
  • 口から深呼吸をする
  • 呼吸ごとに胃を膨らませる
  • ステップと呼吸のペースを合わせる
05

スピードアップ用エクササイズ

スプリントは様々な方法でテクニックを向上できる

スプリントは様々な方法でテクニックを向上できる

© Caydie McCumber/Red Bull Content Pool

呼吸の最適化はピークパフォーマンスのカギとなるが、レギュラーエクササイズもスピード向上のカギとなる。以下にいくつかの初心者用のスピードアップエクササイズを紹介する。
  • ヒルスプリント:レップごとに登坂距離を延ばしていくこのエクササイズを積み重ねれば、爆発力のあるスタートを切れるようになる。このエクササイズは背骨に沿った背中の筋肉群と両脚の裏側の筋肉群に効果がある。
  • パワースプリント:このエクササイズでは、休息を挟んで2本の高強度スプリントを行ったあと、イージーペースのジョグでリカバリーする。これを数セット繰り返してスプリントのパワーを向上させる。
  • 下り坂スプリント:スピードを徐々に高めるのに理想的なエクササイズで、1本ずつタイムを短くしながらスプリント3本を消化する。スプリント間はイージーペースのジョグでリカバリーする。
06

スプリントでよく見られるミスとその回避方法

短距離走は速く走れる才能の持ち主だけが活躍できる競技ではない。全員が特定のテクニックを用いてスピードを高める必要がある。以下に紹介するスプリンターが犯しがちなミスを避けて、フォームの向上と維持に努めれば、スピードを高めることができる。

腕を後方に振り抜いていない

腕を正しく振ることができれば、両脚がより速く振り出せるようになる。このときの “振り” で注意したいのが、前方ではなく後方にしっかりと振り抜くことだ。両手にハンマーを持って、自分の後方の壁に釘を打ちつけるイメージで振り抜こう。

つま先が外側(内側)に向いている

つま先が外側または内側に向いていると、直進方向から外れている分だけスピードが落ちてしまう。これを避けるためには直線を用意して、両足のつま先がその直線と並行になることを確認しながら走るトレーニングが有効だ。

膝を上げていない

膝が高い位置まで上がっていなければ、それだけストライドが狭くなる。ハイニーをウォームアップに取り入れて、膝を上げる癖をつけていこう

踵から着地する

距離の長短を問わず、ランニングでは踵ではなく母指球で体重の大半を支えることが重要だ。踵からの着地、いわゆるヒールストライクになっている場合は、ハイニーやウォールドリル(壁と向き合い、両手を壁に付けながら両脚を動かしてフォームを確認する練習)でフォームを改善していこう。
07

スプリントのメリット

スプリントや短距離走は特別な道具や場所がなくても楽しめるスポーツだ。また、ひとりでもチームでもOKで、ひとりでもコーチをつけても練習できる。自己ベストの更新を狙っている、または仲間と一緒にワイワイ走りたい人を問わず、今回紹介したテクニックをマスターすれば、短距離走がさらに楽しめるようになるだろう。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!