F1 2024シーズンのラスベガスGPで、 オラクル・レッドブル・レーシング に所属する マックス・フェルスタッペン が 4シーズン連続のワールドチャンピオン に輝いてからまだ数ヶ月しか経っていない。しかし、気が付けば、フェルスタッペンが王座防衛に、オラクル・レッドブル・レーシングがそのアシストとコンストラクターズタイトル奪還に挑む新シーズンの開幕がすぐそこまで迫っている。 全24戦 が設定されており、過去最長となるF1 2025シーズンの 開幕戦 は2024シーズンよりも2週間遅い 3月16日 に開催予定で、久々に オーストラリアGP がその大役を担う。一方、 12月7日 の シーズン最終戦 は例年通り アブダビGP となっている。
メルボルンが誇る アルバート・パーク・サーキット は1996シーズンからオーストラリアGPをホストしており、長年に渡りF1開幕戦を担ってきたが、近年はその役をバーレーンGPに譲っていた。しかし、2025シーズンは南半球で開幕戦が再び開催される。新たなドライバーたちとマシン群のデビュー戦を楽しみにしているファンたちが大挙するアルバート・パーク・サーキットは素晴らしい盛り上がりを見せるはずだ。
アルバート・パーク・サーキットが再び開幕戦を担う © Getty Images/Red Bull Content Pool
2024シーズンのオーストラリアGPはマックス・フェルスタッペンが唯一のリタイアを喫したレースで、さらにはオラクル・レッドブル・レーシングが表彰台を獲得できなかった5戦のうちのひとつでもあるため、どちらも雪辱を果たすべく高い意識で臨むことが予想される。
2025シーズンの中国GPと日本GPは昨シーズンよりも前倒しで開催される。歴史とレイアウトが大きく異なるこの2サーキットでの連戦は、全チームにとってユニークなチャレンジになるだろう。
近代的な上海インターナショナル・サーキット
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鈴鹿サーキットはF1屈指のクラシックサーキット
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4シーズンのブランクを経て2024シーズンにカレンダーへ復帰した中国GPは、超近代的な 上海インターナショナル・サーキット で開催される。同シーズンでは、接近戦には適していないとされるこのサーキットをマックス・フェルスタッペンが見事に攻略し、2位に13秒以上の差をつけて優勝。セルジオ・ペレスも3位に入った。
暖かさ・豪華さ・楽しさの3項目で満点を取れるF1グランプリがあるとすれば、 マイアミGP しかないだろう。バーレーンGPとサウジアラビアGPを経て第6戦として開催される2025シーズンのマイアミGPは、同シーズンに3戦組まれている米国開催GPの初戦となる。
2022シーズンにデビューした マイアミ・インターナショナル・オートドローム は、NFLマイアミ・ドルフィンズの本拠地 ハードロック・スタジアム の周辺施設を使用して一時的に設営されるサーキットで、米国流エンターテインメントのノウハウが備わっている。
最高の気候とレースが楽しめるマイアミGP © Getty Images/Red Bull Content Pool
そのため、マイアミGPは まさに “アメリカン” なF1レース となっており、VIPエリアにはハリウッドセレブやトップアスリートたちが詰めかける。F1観戦のために休暇を取ることを考えているなら、マイアミGPはリスト最上位に置くべきだろう。
フェルスタッペンは過去3シーズンで優勝・優勝・2位を記録しているため、本人とRB21がトップフォームなら、2025シーズンも19個のコーナーを擁するこのタイトなサーキットで好成績を残すだろう。
F1 2025シーズン第7戦が終了したあとは、いよいよヨーロッパラウンドが始まる。その初戦を2シーズン連続で担うのが イモラ・サーキット で開催される エミリア・ロマーニャGP だ。
フライアウェイとなるカナダGPを除く、5月18日のエミリア・ロマーニャGPから9月7日のイタリアGPまでの10戦中9戦がヨーロッパで開催される。ヨーロッパラウンドに組み込まれているサーキットはどれもF1の歴史を支えてきたクラシックサーキットとして名高い。
イモラ・サーキットはフェラーリのホームだが、2024シーズンはフェルスタッペンが制した © Getty Images/Red Bull Content Pool
長い歴史を誇るイモラ・サーキットは反時計回りの高速サーキットで、 アックエ・ミネラーリ や ピラテッラ のようなアイコニックなコーナー群を擁しており、ドライバーたちの限界が試される。2024シーズンはフェルスタッペンが優勝した。
長期的視点から見れば、その未来は約束されていないが、カレンダーに含まれている間は、 モナコGP が F1史上最も有名で豪華絢爛なグランプリ であり続けるだろう。2025シーズンもその評価は変わらない。
F1のアイコン、モナコGP © Getty Images/Red Bull Content Pool
オラクル・レッドブル・レーシングは2022シーズンと2023シーズンのモナコGPを制していたが、2024シーズンは非常に苦しい結果となった。そのため、2025シーズンは再び優勝して、毎年港に集結する豪華ヨット群の中で勝利を祝おうとするはずだ。
F1の夏の代名詞は イギリスGP だが、2025シーズンはオーストリアGPとベルギーGPが前後で連続開催される。この ヨーロッパ3連戦 は今シーズン屈指のエンターテインメントを提供するはずだ。
その初戦は レッドブル・リンク で6月29日に開催されるオーストリアGPだ。最も美しい景観が楽しめるサーキットのひとつに数えられるこのサーキットは、 オラクル・レッドブル・レーシングのホームサーキットのひとつ で、これまでにフェルスタッペンが4勝を挙げている。また、レッドブル・リンクはフェルスタッペンファン(オレンジアーミー)が大挙するサーキットのひとつでもあり、毎年 カレンダー屈指の盛り上がり を見せることでも知られている。
レッドブル・レーシングのホームサーキット、レッドブル・リンク
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高難度サーキットとして知られるスパ・フランコルシャン
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第2戦を担うのは、1948年からF1をホストしているレジェンドサーキット、 シルバーストン だ。F1の夏の代名詞と言えるサーキットだが天候は不安定で、雨が降るときも少なくない。しかし、晴雨を問わず、毎年必ず大きな盛り上がりを見せているため、今シーズンもハイライトのひとつになるはずだ。
2024シーズンは ルイス・ハミルトン がフェルスタッペンを抑えて優勝したため、英国人F1ファンにとっては最高のレースウィークエンドとなったが、2025シーズンはフェルスタッペンが雪辱を果たそうとするだろう。
そして3連戦の最後となるのが、世代を超えるF1ドライバーたちに愛されてきた名サーキット、 スパ・フランコルシャン だ。
シルバーストンと同じく数十年に渡ってF1グランプリをホストしてきた、アルデンヌの森に広がるこの起伏の大きいサーキットは、最もタフなサーキットのひとつとして知られており、かの有名な オー・ルージュ をはじめとする様々なセクションがドライバーとマシンの限界を試す。また、このサーキットは悪天候も有名で、天候が崩れたときのベルギーGPはサバイバルの様相を呈してくる。2025シーズンの勝者は7月27日に明らかになる。
8月31日に ザントフォールト で開催されるオランダGPは端から端までオレンジ色で染まることになる。オランダ全国民の半数が集まっているようにも見えるその大観衆が応援するのは、もちろん、マックス・フェルスタッペンだ。
オレンジアーミーが集結するザントフォールト・サーキット © Getty Images/Red Bull Content Pool
フェラーリファンが集結する モンツァ も、4シーズン連続ワールドチャンピオンを応援する大観衆が見守るザントフォールトにはまったく及ばない。この起伏の大きい海岸線のサーキットでは実に見事な雰囲気が作り出される。フェルスタッペンが優勝した2021、2022、2023シーズンはひときわ素晴らしかった。
2026シーズン限りでこのサーキットでのF1開催が一旦終了することが決定しているため、2025シーズンは例年以上の大観衆が集まることが予想される。フェルスタッペンも残り少なくなった母国レースでの優勝を間違いなく狙ってくるだろう。
9月7日のイタリアGPで最後のヨーロッパラウンドが終わると、F1チームたちは荷物をトランクに詰め込んでシーズン最終8戦へ向かって出発する。
そして、アゼルバイジャンGPとシンガポールGPが終われば、 北米・中米・南米を巡る大興奮必至の4戦 が待っている。クラシックレース、熱狂的なファン、ナイトレースが含まれるこの4戦にはF1のあらゆる魅力が詰まっている。
すべてが “アメリカン” なCOTA
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野球場跡地を走行するメキシコGPは非常にユニーク
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初戦は10月19日に米国テキサス州オースティン郊外の サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA) で開催されるアメリカGPだ。
広いコース幅と大きな起伏、そして世界中の名サーキットからインスピレーションを得たコーナー群が特徴のCOTAは近代F1を代表するサーキットのひとつで、レッドブル・レーシングが長年得意にしてきたことでも知られる。レースウィークエンドを通じてピットレーンとスタンドではカウボーイハットが多く見られるはずだ。また、カウボーイハットと並んでオーバーテイクのチャンスも多いため、毎年素晴らしいレースが展開されている。
翌週にCOTAから少し南下して国境を越えれば、F1カレンダー最高高度とシーズン屈指の熱狂的なファンが集結するメキシコGPのサーキットが見えてくる。
メキシコシティの オートドローモ・エルマノス・ロドリゲス・サーキット は 海抜2,240m に位置しており、ドライバーたちには通常より多くの負荷がかかるが、メキシコ人ファンたちの情熱と彼らが生み出す素晴らしい雰囲気には、その負荷に耐えるだけの価値がある。特に、 野球場跡地のスタンド に陣取ったファンに囲まれるセクションはF1史に残るユニークなシーンを作り出す。
唯一の南米開催GPの舞台となるインテルラゴス
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派手なナイトレースとなるラスベガスGP
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その次は、2025シーズン唯一の南米開催となるブラジルGPだ。タイトに曲がりくねる インテルラゴス・サーキット は非常に高難度で、精確なドライビングをしなければスピードを得ることができない。
この難度が情熱的なブラジル人ファンたちに魅力的なレースを提供しており、熱帯地方特有の豪雨が降ればその魅力がさらに増す。2024シーズンも豪雨となったが、フェルスタッペンが17番グリッドから猛追して優勝を飾った。2025シーズンも同様の展開が期待される。
そしてアメリカ大陸縦断4GPの最後を飾るのが、11月22日に開催される ラスベガスGP だ。今シーズンで3回目の開催となるこの市街地サーキットは、世界的に有名な目抜き通り、 ラスベガス・ストリップに建ち並ぶ高級ホテル群 の間を縫うようなレイアウトが用意されている。
もちろん、歴史的観点から見ればクラシックレースとは呼べないが、米国が世界に誇る “歓楽街” が舞台となるこのナイトレースの景観は実に素晴らしく、レースウィークエンドを通じたプロダクションクオリティも非常に高い。2024シーズンはフェルスタッペンが5位でフィニッシュし、ワールドチャンピオンを確定させた。今シーズンも同様の展開になるのだろうか?
最近は ヤス・マリーナ・ベイ市街地コース で開催されるアブダビGPでシーズンが幕を閉じるのが恒例となっており、2025シーズンも12月7日の同GPで終了する。しかし、当日はどのようなレース展開になるのだろうか?
最終戦を担うアブダビGP © Getty Images/Red Bull Content Pool
2021シーズンのアブダビGPはワールドチャンピオンが懸かった最終戦となり、近年のF1史に残るフィナーレを演出した。ファイナルラップでフェルスタッペンがルイス・ハミルトンにオーバーテイクを仕掛け、キャリア初のワールドチャンピオンに輝いたのは誰もが覚えているだろう。
F1ファンはこのようなタイトル決定戦を兼ねたシーズン最終戦になることを毎年期待しているが、そのようなシーズンフィナーレは上記の2021シーズンが最後だ。とはいえ、低速コーナーと幅の広いストレートを擁するこのサーキットは例年好レースを提供しているため、2025シーズンも最後の最後までF1を楽しめるはずだ。
2024年夏、FIAとF1が2025シーズンのスプリントレース開催地を発表した。導入5シーズン目となる今シーズンはフォーマットが多少変更され、オーストラリアGPが外れる一方、2024シーズンに外れていたベルギーGPが復帰する。この結果、インテルラゴスが5シーズン連続でスプリントレースを開催する唯一のサーキットとなる。2025シーズンのスプリントレースは 全6戦 が予定されている。