HYROXはランニングと本格的なファンクショナルトレーニングを組み合わせたフィットネスレースで、1kmラン(合計8本)を終えるたびに筋力・持久力・メンタルを鍛えるワークアウトステーションに取り組む。
近年、このユニークなフィットネスレースは世界中のジム好きからマラソン好きまでのあらゆるレベルのアスリートたちを惹きつけているが、シーンを最近知ったばかりの人は、専門用語に頭を悩ませてしまう可能性が高い。そこで本記事では、HYROXアスリートが知っておくべき基本用語をまとめてみた。
01
Roxzone
Roxzone(ロックスゾーン)は各アスリートが1kmランからワークアウトステーションに切り替えるトランジションエリアで、すべてのセクションに繋がるHYROXレースのハブとして機能する。
「Roxzoneで休んだり、仕切り直したりすればよいのか」と思う人もいるかもしれないが、Roxzoneの滞在時間もレースタイムにカウントされるので、ゆっくり歩いたり、呼吸を整えたりしようとすれば、それだけタイムが遅くなってしまう。つまり、自己ベスト更新を狙うためにはRoxzoneでも集中して効果的に移動していくことがカギになる。
02
プロ
HYROXのプロはオープンよりもウエイトが重くて高難度なカテゴリーだ。1kmラン8本と8種類のワークアウトステーションというレース構成は変わらないが、より高いレベルで自分のフィットネス能力を試してみたい経験豊富なアスリートのためのカテゴリーとなっている。
03
オープン
HYROXのオープンとは、その名の通り誰にでも門戸が開かれているカテゴリーで、初心者とあらゆるレベルのフィットネスファンに適している。元々、HYROXはランジやローイング、ウォールボールのようなジムでよく見られるワークアウトが含まれており、誰でも簡単に理解・挑戦できる。
ウエイトに振り回されることなく活気に満ちた環境でレースを楽しみたい人やフィットネス初心者におすすめのカテゴリーだ。
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ダブルス
HYROXのダブルスはアスリート2名でペアを組んで出場するカテゴリー。初心者に適しており、チーム力も問われるため、最も人気の高いカテゴリーのひとつとなっている。
ダブルスではひとりずつ1kmラン8本を完了する必要があるが、ワークアウトステーションは2人で取り組むことができる。この特徴が友人やカップル、トレーニングパートナーと一緒に何かをやってみたいと思っているアスリートたちの興味を引いている。
ダブルスは男子、女子、混合の3種類に別れている。また、プロとオープンにも別れており、前者は通常のプロと同じようにより高難度の基準が設定されている。チームメイトと一緒により高いレベルで実力を試してみたいアスリートに適しているのがプロダブルスだ。
2025年のHYROX世界選手権では、プロダブルス上位ランカーだけが出場できるプロダブルス・エリートがデビューを飾った。
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リレー
HYROXのリレーは完全に異なるレース体験が得られるチームカテゴリーだ。アスリート4名でチームを組み、1kmラン8本と8種類のワークアウトステーションを分担する(1名あたり1kmラン2本と2種類のワークアウトステーション)。
セグメント間にはハンドオーバーゾーン(交代ゾーン)が設けられており、ここでアスリートは休憩できる。非常にハイペースで激しいレースフォーマットなので、身体に強い負荷をかけながらレース戦略も楽しみたいアスリートたちに人気がある。
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ジャッジ
HYROXのジャッジは、参加アスリートたちがルールの範囲で動作を行えているかどうかを確認する重要な役割を担っている。
HYROXでは正しいフォームで一貫した動作を行うのは簡単ではない。たとえば、バーピーブロードジャンプでは、ジャッジたちはアスリートたちがジャンプしたあと手を床につかずに両足同時に着地できているかどうかを確認している。
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ウォールボール
ウォールボールはHYROXレースの最終ワークアウトステーションで、持久力とメンタルの真のテストになる。
このワークアウトは深く沈み込むディープスクワットと爆発力が必要なボール投げを組み合わせており、アスリートはメディシンボールを抱えてスクワットしたあと、身体を伸ばしながらボールを投げてターゲットに当てる必要がある。
ここまでで1レップだが、スクワットで尻を膝より低く落とし、ボールをターゲットに当てないとカウントされないという厳しいルールが用意されている。最後のステーションということもあり、最もタフなワークアウトに感じられることも多い。
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バーピーブロードジャンプ
バーピーブロードジャンプは爆発力と全身の筋力が問われるワークアウトだ。一般的なバーピーからスタートし、床に胸をつけて元の姿勢に戻ったあと、両足で大きく前に踏み出すジャンプをして両足で着地する。シンプルに思えるかもしれないが、両脚が疲労していて、呼吸も苦しくなっているときはかなりキツい。
このワークアウトではフォームが重要視される。ジャンプは助走が認められず、着地時に両手をついてもいけない。また、両足が同時に床から離れて同時に着地する必要もある。これを80m続けるためには筋肉の協調性とパワー、スタミナが必要になるので、心身両方にかなりの負荷がかかる。
09
ファーマーズキャリー
ファーマーズキャリーは簡単に見えるかもしれないが、実際はかなりハードなワークアウトだ。このワークアウトステーションでは、重いケトルベルを片手に1個ずつ合計2個持って200m移動するため、筋力・体幹・メンタルの強度が問われる。
歩くアスリートがいれば、走るアスリートもいるこのワークアウトで使用するケトルベルの重量はカテゴリーごとに異なり、女子オープン16kg・女子プロおよび男子オープン24kg・男子プロ32kgとなっている。腕が疲労しており、呼吸も乱れてくるレース後半に取り組まなければならないので、かなり厳しいステーションになる。
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スレッドプッシュ
スレッドプッシュはHYROXレースで最も大きな負荷がかかるワークアウトのひとつだ。重いスレッドを50m(12.5m x 4本)押して移動させるこのワークアウトでは、下半身の筋力と体幹、優れたテクニックが求められる。スレッドの重量は以下のように規定されている:
- 女子オープン:102kg
- 女子プロ:152kg
- 男子オープン:152kg
- 男子プロ:202kg
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スレッドプル
スレッドプルは、重いスレッドをロープで50m(12.5m x 4本)牽くワークアウトで、背中・腕・肩・体幹に強い刺激が入る。
スレッドは滑らかな床面に置かれており、両足で踏ん張ってある程度の距離を一気にプルするアスリートがいる一方、数歩ずつプルしていくアスリートがいる。尚、スレッドがレーンから外れてしまうとペナルティの対象になる。スレッドの重量は以下のように規定されている:
- 女子オープン:67kg
- 女子プロ:117kg
- 男子オープン:117kg
- 男子プロ:167kg
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エリート15
エリート15はHYROXの頂点に位置するカテゴリーで、男女それぞれのワールドランキング15位以上のみが出場できる。この30人がHYROX世界選手権で世界一の称号を競うことになる。2025年の同選手権では、男子はティム・ヴェニシュ(ドイツ)、女子はリンダ・マイアー(ドイツ)が優勝した。
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ペース配分
HYROXは長丁場のレースなので、前半で燃え尽きてしまわないように賢いペース配分をすることが重要だ。レースが終わるまでパフォーマンスレベルをキープすることが成功のカギになる。ペース配分はあらゆる持久系のスポーツで重要だが、ランとワークアウトを繰り返すHYROXでは特に重要で、コミュニティ内でトピックとして取り上げられるときが多い。
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