Mattia Cattaneo, Jan Tratnik, and Nico Denz power the Red Bull – BORA – hansgrohe team during Stage 8 of the 113th Tour de France from Perigueux to Bergerac, France, July 11, 2026.
© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool
サイクリング

グランツールの “ボーナスタイム” とは?

ボーナスタイムはグランツールの総合順位に大きな影響を及ぼす可能性を秘めており、総合優勝を左右するときもある。3週間も続く過酷なレースの “数秒” の重要性を解説!
Written by Ollie Smith
読み終わるまで:5分Published on
ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャを含むグランツールでは、ほとんどのロードステージで上位3名のライダーボーナスタイムが用意されており、ステージ優勝者には10秒2位には6秒、そして3位には4秒が与えられる。
今回のガイドでは、このボーナスタイムがレースに与える影響、ボーナスタイムが重要となる理由、そしてボーナスタイムの存在がレースをさらにエキサイティングにする仕組みについて解説していこう。
01

グランツールではすべての順位が重要

ツール・ド・フランスではマイヨ・ジョーヌが最高の栄誉となるが、総合順位3位以内、トップ5、トップ10、あるいはトップ20以内に入るだけでも、貴重なUCIポイントや年々増加している賞金、そしてライダーたちのキャリアを通じて残る一定の評価を得ることになる。
数千kmの走行距離、無数の峠、そして完走が求められる21ステージが待ち構えるグランツールでは、何が起きてもおかしくない。しかし、レースやバトルの決着がほんの数秒で決する場合もある
ツール・ド・フランス2025でマイヨジョーヌを着用するタデイ・ポガチャル

ツール・ド・フランス2025でマイヨジョーヌを着用するタデイ・ポガチャル

© Kristof Ramon/Red Bull Content Pool

02

ボーナスタイムとは?

タイムトライアルを除くツール・ド・フランスの全ステージでは、フィニッシュした上位3名のライダーにそれぞれ10秒・6秒・4秒のボーナスタイムが付与される。これは、ステージ終盤で優勝を目指してアタックを仕掛けるライダーにとって有利に働く。ステージ優勝と2位の差がわずかでも、総合順位でのライバルたちとのタイム差を広げられるからだ。
10秒は大した差ではないように思えるかもしれないが、この「たった10秒」がマイヨ・ジョーヌを着用する者とそれを追う者、あるいは表彰台フィニッシュと表彰台圏外を分ける違いになり得るのだ。
ボーナスタイムはステージ終盤でフルアタックできるライダーに恩恵をもたらす

ボーナスタイムはステージ終盤でフルアタックできるライダーに恩恵をもたらす

© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool

もちろん、グランツールの総合優勝は秒単位ではなく分単位で決まることがほとんどだが、プロロードレースのような多くの変動要素が絡むスポーツでは1秒が重要な価値を持つ。10秒・6秒・4秒のボーナスタイムを積み上げていくことで、ライバルたちを徐々に退け、総合優勝を確実にするマージンを築くことができる。

オリジナル缶

レッドブル エナジードリンク

Red Bull Energy Drink
ボーナスタイム導入以前に行われた1989年のツール・ド・フランスで総合優勝を飾ったグレッグ・レモンと2位ローラン・フィニョンの差がわずか8秒だったことは広く知られている。
また、2024年のツール・ド・フランス・ファム・アヴェク・ズイフト(ツール・ド・フランスの女子版)では、カシア・ニェアドマがわずか4秒差でデミ・フォレリングを上回り、同レース史上最小僅差での優勝となった。
03

ボーナスタイムが重要な理由

ボーナスタイムはアグレッシブなレースを奨励すべく導入された。パワーメーターが普及したことと、チームスカイ時代の綿密にペースコントロールされた山岳ステージによって、総合優勝争いが退屈で味気ないものになりつつあると批判されていたからだ。
厳しい山岳ステージ終盤での爆発力が今ではカギとなっている

厳しい山岳ステージ終盤での爆発力が今ではカギとなっている

© Maximilian Fries / Red Bull Content Pool

しかし、最近はボーナスタイムがレースの戦い方を変化させている。総合優勝を争うGCライダーたちはボーナスタイムが付与される厳しい山岳ステージ終盤のスプリント勝負に絡めるよう爆発力を磨かなければならなくなった。ライバルたちよりも速くクライムするだけではもはや十分ではなく、スプリントできる力も備えていなければならないというわけだ。
すべてのゴール前スプリントが更なる戦略的判断を生むことになるボーナスタイムは、総合タイムへの影響と同じくらい心理面への影響も大きい。
GCライダーはほんの数秒のボーナスタイムを得るためにゴール前スプリントに絡むべきなのだろうか? チームメイトはリーダーを有利なポジションに導くために自分たちを犠牲にすべきなのだろうか? リーダーのマージンを維持するためにライバルたちからボーナスタイムを奪い取るべきなのだろうか?
このような判断が日々積み重なっていき、総合優勝争いに影響していくことになる。
ボーナスタイム制度はファンに更なる興奮をもたらしている

ボーナスタイム制度はファンに更なる興奮をもたらしている

© Maximilian Fries/Red Bull Content Pool

ボーナスタイムの恩恵はレース結果に影響を与えるだけでなく、レースそのものを形作る。山岳フィニッシュまでのショートスプリントが突如としてGCライダーたちの見せ場となり、終盤のアタックがステージ優勝以上の意味(つまり、ライバルの総合タイムから貴重な数秒を奪い取る)を持つようになった。総合優勝を争うチームは、平坦ステージでもゴール前スプリントに絡めるチャンスがあるなら仕掛けざるを得なくなった。
すべてのボーナスチャンスが、新たな戦術のパズルを生み出す。ボーナスタイム制度は、「守りのレースをする者」よりも「攻めのレースをする者」に与する。これは、ロードレースファンにとっては、よりエキサイティングなレースをより頻繁に楽しめることを意味している。
レッドブル=ボーラ=ハンスグローエに所属するスロベニア人ベテランライダー、プリモシュ・ログリッチ以上にボーナスタイムの重みを深く理解しているライダーは多くない。ログリッチは2020年のブエルタ・ア・エスパーニャでリチャル・カラパスに対して24秒差をつけて総合優勝を手にしたが、この24秒はボーナスタイムだけで築かれたものだった。
3週間にも渡る過酷なレースでは、勝利は単発のビッグアタックを仕掛けたライダーの手に渡るとは限らない。小さなアドバンテージをひたむきに追い求め続けたライダーが勝つときもあるのだ。
ボーナスタイムの価値を熟知しているプリモシュ・ログリッチ

ボーナスタイムの価値を熟知しているプリモシュ・ログリッチ

© Dani Sanchez/Red Bull Content Pool

▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!

関連コンテンツ

レッドブル=ボーラ=ハンスグローエ

グランツールでの活躍と次世代スター育成の両立を目指すドイツのUCIワールドチーム

プロフィールを見る