G2 Caps playing during Red Bull League of Its Own 2025
© Marius Faulhaber
eスポーツ

eスポーツネーションズカップとは?:eスポーツワールドカップとの相違点

2026年はEWCの姉妹イベントENCが初開催を迎える。この新イベントの特徴と両イベントの違いについて解説する。
Written by Enzo Brûlé
読み終わるまで:14分Published on
eスポーツ版ワールドカップが爆誕! クラブチームのエンブレムではなく国旗を賭けて世界各国・地域の代表チーム同士が対戦するeスポーツトーナメントが開催される。
Esports Nations Cup 2026(ENC2026:eスポーツネーションズカップ)はEsports Foundation(EF:eスポーツ財団)がサウジアラビア・リヤドで開催する複数タイトルを集めた巨大なトーナメントで、参加プレイヤーたちは普段所属するeスポーツチームの代わりに自分たちの国を代表する。

オリジナル缶

レッドブル エナジードリンク

Red Bull Energy Drink
本記事では2026年秋に開催されるこのトーナメントの詳細と、同年夏にフランス・パリで開催されるEsports World Cup(EWC:eスポーツワールドカップ)との違いを解説していく。
01

eスポーツネーションズカップとは?

ENCはeスポーツオーガニゼーションではなく国にフォーカスしている、新フォーマットのトーナメントイベントだ。つまり、ファンはG2 Esportsなどのeスポーツチームの代わりに、フランス、ブラジル、韓国などの国を応援することになる。
記念すべき第1回は2026年11月2日から29日までサウジアラビア・リヤドで開催される予定で、賞金は16タイトル合計4,500万USドルが用意される。開催期間は約1ヶ月だが、週ごとに特定のタイトルのトーナメントがメインステージを担う。
これまでのeスポーツシーンでほとんど見られなかった、純粋な「国代表同士の対戦」を楽しめるのがeスポーツネーションズカップ最大の魅力だ。
02

eスポーツワールドカップとの共通点

eスポーツネーションズカップはeスポーツワールドカップの延長線上に位置するイベントで、哲学を共有する同じスタッフが手がけている。
eスポーツネーションズカップは、eスポーツ財団が主催するeスポーツワールドカップの姉妹イベントだ。EWCはプロオーガニゼーション同士の対戦にフォーカスしているが、ENCは国代表チーム同士の対戦にフォーカスしている。この2イベントの共存は、クラブチームと代表チームのビッグイベントが共存する伝統的なスポーツのエコシステムを真似ている。
一部のファンはサッカーと比較して、EWCをチャンピオンズリーグ、ENCをワールドカップに喩えている。ちなみに、ENCの “国代表” フォーマットはeスポーツ初ではなく、これまでに『PUBG』『オーバーウォッチ』『StarCraft II』で採用されてきた。
03

国かクラブか

ここが最大の違いだ。EWCではファンがKarmine CorpやTeam Vitalityのようなプロオーガニゼーションを応援するが、ENCでは国の代表チームを応援することになる。
ENC出場を希望する国は、National Team Partners(NTP:ナショナルチームパートナーズ)になるための申請を行い、参加資格を得る必要がある。どのような団体(eスポーツオーガニゼーション、エージェンシー / 国のeスポーツ統括団体など)でも申請は可能だ。NTPは国の正規代表として機能するため、属する全チーム・プレイヤーの責任を負うことになる。
NTPは、National Team Manager(NTM:ナショナルチームマネージャー)を指名し、NTMはeスポーツ財団との折衝・連絡業務と、各チームの編成を担うコーチ陣との連携・連絡を担う。NTMが存在しない場合はeスポーツ財団が独自にリージョナルマネージャーを指定して、国代表として参加できるように取り計らう。
国代表チームのメンバー構成に関しては、潤沢な資金を持つビッグクラブが国代表としてENCに参加して他を圧倒しないように厳格なルールが用意されている。5v5のタイトルでは、1チームにつき同じeスポーツオーガニゼーションに所属するプレイヤーは3名までしか登録できない。また、二重国籍を持つプレイヤーはENCの1シーズンを通じてどちらか片方の国しか代表できない。
フランス代表を例に挙げて説明しよう。『リーグ・オブ・レジェンド』のフランス代表チームは経験と才能を重視した編成となっており、Adam SkewMondnucCalisteZoelysをヘッドコーチZephがまとめ、Hans SamaSheoがベンチに入る。普段は異なるeスポーツチームで活動しているプレイヤーたちが国の代表として集結しているこの編成は、EWCでは実現不可能だ。
04

eスポーツオーガニゼーションの立場

Team VitalityのCEOを務めるNeoは、ENC2026における自分たちの考えを次のように明らかにしている。
「私たちは、eスポーツオーガニゼーションとしての自分たちを国代表よりも優先する必要があります。これは非常に残念な結論ですが、経済面を安定させなければならないのがeスポーツオーガニゼーションのビジネスの現実なのです」
これはつまり、Mathieu “ZywOo” Herbaut とDan “apEX” MadesclaireがENCに参加しないことを意味するため、『カウンターストライク』フランス代表チームにとっては大きな痛手になる。
この点におけるサッカーとの共通性は非常に印象的だ。ヨーロッパのサッカークラブが所属選手をFIFAの管轄外であるオリンピック代表チームに派遣するのを嫌がるときは少なくないが、ENCでも同じ動きが起きている。Team Vitalityはグランドスラム連覇を達成しているトッププロチームであり、彼らにとって、このような成績と評価はまだ海のものとも山のものとも分からないENCよりも重要なのだ。
これがまだ1回も開催されていないENCが直面している問題のひとつだ。主催側は、ENCが出場する価値のあるイベントであることをeスポーツオーガニゼーションに理解してもらう必要がある。
05

賞金総額の違い:7,500万USドル vs 4,500万USドル

数字だけを比べてみるとその差は非常に大きい。2026年のENCの賞金総額は16タイトルで4,500万USドルだが、これは同年のEWCの賞金総額7,500万USドルの6割程度でしかない。
しかし、この2イベントを単純比較することはできない。なぜなら、EWCは賞金総額の大半をクラブチャンピオンシップに振っているからだ。クラブチャンピオンシップのイベントフォーマットは、ENCのそれとは大きく異なる。
さらに重要なのは、ENCは、各国の代表活動費(移動・トレーニング・インフラ整備を含む)を支援するための予算をeスポーツ財団から得ているという事実だ。ENCは参入障壁を取り除き、各国代表チームに参加を続けてもらうことを目標に設定している。
また、ENCではすべてのタイトルで得られる収入は均等に分配される。ランキングによって分配比率が変わることはない。
06

採用タイトル

ENC 2026は16タイトルが採用されており、週ごとに特定のタイトルのトーナメントがメインステージで開催される。eスポーツシーンの人気タイトルが選ばれているため、EWCと重複するタイトルも見られる。注目は世界中で高い人気を誇る『ロケットリーグ』だ。また、アジア圏で人気の『モバイル・レジェンド:Bang Bang』や1v1の『EA Sports FC 26』も含まれている。

タイトル

日程

賞金総額

出場チーム / プレイヤー数

『Dota 2』

11月2日-8日

150万USドル

32チーム

『チェス』

11月2日-8日

60万USドル

128プレイヤー

『PUBG MOBILE』

11月3日-8日

132万USドル

32チーム

『ロケットリーグ』

11月3日-8日

132万USドル

48チーム

『VALORANT』

11月8日-15日

150万USドル

32チーム

『カウンターストライク2』

11月10日-15日

132万USドル

24チーム

『PUBG: BATTLEGROUNDS』

11月11日-15日

112万USドル

24チーム

『餓狼伝説 City of the Wolves』

11月11日-15日

25万USドル

32プレイヤー

『EA FC 26』

11月17日-22日

60万USドル

128プレイヤー

『レインボーシックスシージ』

11月18日-22日

132万USドル

24チーム

『ストリートファイター6』

11月18日-22日

88万USドル

24チーム

『Trackmania』

11月19日-22日

25万USドル

32プレイヤー

『リーグ・オブ・レジェンド』

11月21日-29日

150万USドル

32チーム

『モバイル・レジェンド:Bang Bang』

11月23日-29日

150万USドル

32チーム

『Honor of Kings』

11月24日-29日

132万USドル

24チーム

『エーペックスレジェンズ』

11月26日-29日

120万USドル

40チーム

07

韓国代表を巡るトラブル

開催前からeスポーツオーガニゼーションと国代表の温度差が明確になった事件が起きている。
2026年4月、韓国eスポーツ協会(KeSPA)が、eスポーツ財団から特定のプレイヤーを代表に選出するように圧力を受けたことを理由として、ENC参加を取りやめることを発表。しかし、その1ヶ月後、両団体は和解し、KeSPAがプレイヤーとチームを選出する権利を有する韓国代表の公式団体としてENCに参加することになった。
このような問題はEWCではまず起きない。EWCではeスポーツオーガニゼーションがチーム編成やプレイヤー獲得に関するあらゆる権利を有しており、EFが介入できる余地はない。しかし、ENCは国が絡んでくるため、政治的・構造的問題が発生しやすいと言えるだろう。
08

ジェンダーの壁を取り払うチャンス

【Red Bull Home Ground 2024】に出場したmimi

【Red Bull Home Ground 2024】に出場したmimi

© Red Bull Content Pool

ゲーミングシーン全体を見渡すと、昔からすべてのジェンダーに対して門扉は開かれていたと言ってよいだろう。しかし、eスポーツイベントで男女が対戦する機会は非常に少ない。『VALORANT』に至っては男女を明確に分けており、女子チーム専用部門Game Changersを創設している。
デンマークを例に挙げて説明しよう。『VALORANT』デンマーク代表チームには、2015年からトップレベルで活躍している現G2 Gozenインゲームリーダー(IGL)のMichaela "mimi" Lintrupと、Shopify Rebellion GoldのトッププレイヤーNicole “Noia” Tierceが含まれている。また、同チームはGame Changersで参加プレイヤーのみで構成されている唯一の国代表チームでもある。
この結果、『VALORANT』のeスポーツシーンを熱心にフォローしているファンたちはすぐにデンマーク代表を最強と称賛し、mimiとNoiaが含まれるチームは実質チートと指摘した。
このシンボリズムには単なる競技上のメリットを超えた意味がある。このトーナメントは、eスポーツの真の試金石となり、同シーンのジェンダーの分断が人為的であることを明らかにする可能性を秘めている。
ENCには男女の配分規定も、シンボリズム的ジェスチャーも存在しない。単純に十分なスキルがあるという理由だけで選ばれた優秀なeスポーツプレイヤーだけが出場する。おそらくこの点が、ENCがもたらす真の革新なのだ。
09

ENCの出場権獲得方法

ENCの出場権獲得方法はタイトルによって異なるが、基本は同じで、2ステージの予選が設定されている。
フランス人トッププレイヤーCaliste

フランス人トッププレイヤーCaliste

© Yanis Larras

ステージ1:国別予選(オープン)

国別オープン予選は誰でも自由に参加できる。たとえば、『カウンターストライク2』では、96の国と地域から3,000チーム / 15,000人が国別予選に参加し、同タイトル史上最多参加数を記録した。各国で32〜64チームがシングルエリミネーション方式のトーナメントを戦い、優勝チームが決定する。

ステージ2:地域予選(国対抗)

各地域(西ヨーロッパ / 東ヨーロッパ / 北米 / 南米 / アジア太平洋 / 中東・北アフリカ / アフリカ)の上位国同士が残りの出場枠を賭けて対戦する。シードはENCのランキングまたはタイトルごとのリザルトによって決められる。

ENCトーナメントフォーマット

タイトルによって異なるが、基本的には24〜48の各国代表チームがグループに分けられてラウンドロビン方式で対戦したあと、シングルエリミネーションのトーナメントに進出する(BO3 / グランドファイナルのみBO5)。シングルプレイヤー用タイトル(『EA Sports FC / チェス / 餓狼伝説』)には32〜128名が参加する(各国代表2名まで)。
10

よくある質問

eスポーツネーションズカップ2026の開催地は?

eスポーツネーションズカップ2026はサウジアラビア・リヤドで11月2日から29日まで開催される。週ごとにタイトルが振り分けられており、メイン会場にはBoulevard Cityが設定されている。ENCは2年に1回世界の大都市を転戦する形で開催が続く予定。

eスポーツネーションズカップ2026に『リーグ・オブ・レジェンド』は含まれている?

『リーグ・オブ・レジェンド』はeスポーツネーションズカップ2026の16タイトルに含まれており、11月21日から29日までトーナメントが開催される。32チームが出場し、賞金総額は150万USドルとなっている。ENC2026に向けては、112の国と地域が代表チームを用意した。

eスポーツネーションズカップ2026に『レインボーシックスシージ』は含まれている?

『レインボーシックスシージ』もeスポーツネーションズカップ2026の16タイトルに含まれており、11月18日から22日までトーナメントが開催される。24チームが出場し、賞金総額は132万USドルとなっている。

eスポーツネーションズカップ2026に『VALORANT』は含まれている?

『VALORANT』もeスポーツネーションズカップ2026の16タイトルに含まれており、11月8日から15日までトーナメントが開催される。32チームが出場し、賞金総額は150万USドルとなっている。ENC2026に向けては、110の国と地域が代表チームを用意した。デンマークなど、Game Changersで活躍するプレイヤーたちで構成される代表チームがいくつか含まれていることもあり、ENC2026で最も注目されているタイトルのひとつとなっている。

代表チームのメンバーをファンが投票で選ぶことは可能?

タイトルごとの代表チームメンバーは各国のNTMが選出したヘッドコーチによって選出される。ヘッドコーチは参加資格(国籍や年齢など。タイトルによって異なる)を満たしているプレイヤーの中から最適なプレイヤーを選出する。オールスターイベントのようなファン投票は存在しない

eスポーツネーションズカップの予選フォーマットは?

予選フォーマットはタイトルごとに異なるが、基本的には2ステージ制となっており、国別予選(オープン)が開催されたあと、地域予選(同地域内の国同士)が開催される。たとえば、『カウンターストライク2』では、96の国と地域から3,000チーム / 15,000人が国別予選に参加した。参加資格とシード権はValve Regional Standingsに基づいたCS2 National Team Rankingによって決定される。

ENC2026の賞金総額と分配方法は?

ENC2026の賞金総額は4,500万USドルで、16タイトルの間で均等に分配される。つまり、どのタイトルでも順位ごとの賞金は同じになる。『Dota 2』は32チームに対して総額150万USドルが用意され、『カウンターストライク2』は24チームに対して総額132万USドルが用意される。『VALORANT』も32チームに対して総額150万USドルだ。
また、プロチームに所属しているプレイヤーがチームの許可を得て出場して賞金を獲得した場合(トップ16から賞金が獲得できる)、その賞金の40%が所属チームに支払われる。そのための資金として総額500万USドルが別途確保されている。
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!